47都道府県芸人グルメ便:東松山の「焼き鳥」 埼玉・天狗

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 吉本興業の若手芸人が、47都道府県に住んで地元に密着した活動をする「あなたの街に住みますプロジェクト」。全国に住む「住みます芸人」の皆さんに各地のおいしいものを紹介してもらいます。今回は、埼玉に住むお笑いコンビの「天狗」が、豚肉を使うことで知られる東松山の「焼き鳥」を紹介します。(毎週日曜更新)

ウナギノボリ

 焼き鳥。鶏肉を一口サイズに切り、焼いたものを数個串に刺したものである。

 もし、クイズで「焼き鳥とは何の肉を使っているでしょうか?」という問題が出たなら、間違いなく「鶏肉」と大多数の方が答えるはずだ。

 しかし、埼玉県東松山にある「桂馬」という焼き鳥屋は豚肉を出していると聞いた。鳥ではなく豚を使い、名前には馬が入っているなんて、これは「アカンで!!」と思い調べにいった。

 店は昭和の雰囲気が漂い清潔感があり落ち着いた感じだ。店内は有名人のサインがずらりと並んでいる。東松山で有名な店みたいだ。

 そして、店主さんにどうして鶏肉ではなく豚肉を使用してるのか聞いてみた。

 そもそも昭和23年ごろから東松山市では駅周辺にリヤカー屋台が出現し始め、その後「焼き鳥屋」が誕生し始めたのが昭和30年代のようで、このあたりが東松山の焼き鳥のルーツのようだ。やはりこの時代、食糧難はまだ完全に解消されたころではなく、鶏肉はまだ少なく高い時代だったようで、最初は加工肉食品の材料に使用されていたホルモンなどが売られていたという。

 そして、屋台が主流だったこの時代で提供していたのは、この当時あまり食べられていなかった白モツを焼いて甘いしょうゆタレで食べるものだったようだ。しかし、小腸を使っていた当時の白モツは、ゴムのような食感でかみ切れず食べづらかったようで、いまひとつ不人気だったそう。

 そこでホルモンに代わるものを探し始めた。安価な肉はそう簡単に手に入らなかったが、ホルモンと同じ加工肉食品の材料に使われていた「カシラ肉」が安価だったためこれを使い始めたのだという。カシラ肉は豚のほほとこめかみの部位で、1頭で約1.5キロあり、余分な脂身を除いても約1.2キロという効率の良い部位だったことも安い理由の一つだったようだ。それ以来、東松山の焼き鳥といえば、豚肉に唐辛子などをブレンドしたみそだれを塗って食べるのが主流になったのだという。

 以前、東松山にも鶏肉を使った焼き鳥屋ができたらしいが、全くはやらずつぶれてしまったらしい。そこで気付いたのだが、店主さんは俳優の仲代達矢さんに似ている。

 そんなことを思いながら、桂馬さんの焼き鳥を食した。やわらかな豚肉に濃厚な辛みそダレが絶妙なハーモニーを奏でる。間違いなくビールに合う味。

 皆さん!ぜひとも桂馬さんの焼き鳥を食べてみてください! 食べないと……アカンで!!(取材協力:桂馬 0493・22・0549)

 ◇天狗のプロフィル

 川田哲志(神戸市出身)と横山裕之(同)のコンビ。埼玉県の住みます芸人として13年1月から活動している。毎日午後10時からYNN(よしもとネタネットワーク)埼玉(http://www.ynn47.jp/saitama/)をユーストリームで生配信中。

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