朗読少女:乙葉しおりの本の小道 第114回 谷川流「涼宮ハルヒの憂鬱」

「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん
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「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさん

 美少女キャラクターが名作を朗読してくれるiPhoneアプリ「朗読少女」。これまでに100万ダウンロードを突破する人気アプリとなっている。「朗読少女」で、本の朗読をしてくれるキャラクター、乙葉しおりさんが名作を紹介する「乙葉しおりの本の小道」。第114回は谷川流(ながる)の「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」だ。

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 皆さんこんにちは、乙葉しおりです。

 4月14日は「SOSの日」。日常で誰かに助けを求める際の言葉のひとつに「SOS」がありますが、本来は航空機や船舶が遭難した際に発せられる「救難信号」のことを指しているのは皆さんもご存じだと思います。

 この「SOS」、「Save Our Souls(我々を救って)」「Save Our Ship(我々の船を救って)」「Send Out Succour(救助信号送信)」などの略称だと言われることがありますが、実はそういう意味はなく、モールス符号の中で最も簡単に打てる符号が「SOS」だからなんだそうです。

 確かに救難信号のサインを打つような非常時には、船や飛行機が揺れていたり、ケガをしたりしている可能性がありますし、そんな時に組み合わせの難しい信号を打つのは大変ですよね。

 では、なぜSOSの日が4月14日に定められているのでしょうか? それは今から101年前の1912年に、「タイタニック号沈没事故」が発生した日だからなんです。

 当時、世界最大級を誇った豪華客船タイタニック号。船が氷山に衝突した午後11時40分前後から、沈没する翌15日午前2時20分までに起こった悲劇は、後の数多くの創作作品にも影響を与えました。

 たとえば宮沢賢治さんの「銀河鉄道の夜」では家庭教師と2人の子供が登場しますが、彼らは銀河鉄道の乗客になる前、乗っていた船が氷山にぶつかって沈んだと語っています。

 はっきりと船名が出てくるわけではないのですが、作中での彼らの説明からは、タイタニック号の事故と一致するエピソードが語られているんですよ。

 では続いて、朗読倶楽部のお話……朗読倶楽部顧問・癸生川新先生のこと・第12回です。

 普段のどこか疲れているようなその雰囲気から「枯れている」と言われていた先生……。でも、その過去は、まさに燃え尽きたとしても無理のないものでした。

 私が軽々しく聞いてしまったことを後悔していたとき、それまでディレクターさんの隣で表情を変えず黙って座っていた先生が、初めて口を開いたのです。

 その時の先生の言葉を要約すると、次のようなものでした……。

 バンドという、自分の中でとても大事にしていた大きなものが、ある日突然なくなってしまった。抜け殻のようになり、このまま消えてしまいたいと思ったこともあったが、仲間に恵まれていたおかげである程度持ち直すことができた。それでも「新しい大事な何か」だけは見つかることがなく、心の隙間が埋まることのないまま社会人になり、空虚な日々を過ごしていた……。

 「そんな時、お前たちがやってきたんだ」

 部の存続で困っていたみかえさんと私を見るに見かねて手助けしたものの、初めは気乗りしなかったという朗読倶楽部。でも……。

 「あてられた……と言うのかな、お前たちが熱を入れている様子を見ているうちに、その手助けを続けていくのも悪くないと思えるようになった」

 先生は、朗読倶楽部に新しいやりがいを見いだしてくれたのでしょうか……と、いうところで、今回はここまでです。

 次回もまた、よろしくお願いしますね(*^^*)

■しおりの本の小道 谷川流「涼宮ハルヒの憂鬱」

 こんにちは、今回ご紹介する一冊は4月14日の「SOSの日」にちなんで(?)、谷川流(ながる)さんの「涼宮ハルヒの憂鬱」です。

 06年と09年にテレビアニメ化、10年には劇場映画にもなった「涼宮ハルヒシリーズ」の原作であり、その第1作となるこのお話は03年に発表されました。

 季節は春、高校に進学した新入生の「俺」ことキョンさんは、美人ながら変わり者の涼宮ハルヒさんと同じクラスになります。

 何事も普通じゃつまらない、変であればあるほど面白いと考える彼女は、新入生の中でもひときわ浮いた存在。

 たとえばクラスでは、「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」などとトンデモな自己紹介をして、「普通」なクラスメートとの会話を拒絶してしまうほど。

 彼女はその奇行により、1カ月を経ずして学校中に知らぬ者がないほどの有名人になっていました。そんな彼女にとっては全く興味がない「ただの人間」を自認するキョンさんでしたが、席が近いために話しかけたことがきっかけで、クラスで唯一の、「彼女と会話できる人間」になります。

 その後、学校のクラブ活動全てに体験入部するも、「面白い」部が全くないために自分の部を作ると言い出したハルヒさん。彼女は休部寸前の文芸部部室を占領した上、その唯一の部員である長門有希さんのほか、2年生の朝比奈みくるさん、新入学直後に転校してきたという古泉一樹さん、そしてもちろんキョンさんをも巻き込み、S(世界を)O(大いに盛り上げるための)S(涼宮ハルヒの)団こと、「SOS団」を作り上げてしまいました。

 名前だけでは何の部かさっぱりわからないSOS団の目的は「不思議」を探すこと。そんなものが簡単に転がっているわけがないと嘆息するキョンさんでしたが、なんと思いもよらない身近な場所に「宇宙人」「未来人」「超能力者」は存在していたのです……。

 ※本コラムをしおりさんが朗読する「乙葉しおりの朗読倶楽部」がiPhoneアプリ「朗読少女」のコンテンツとして有料配信しています。

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