テレビ質問状:ノンフィクションW「六百年の『今』を舞う~狂言師・野村萬斎」狂言の現在形を追求

ノンフィクションW「六百年の『今』を舞う~狂言師・野村萬斎」の一場面 「ボレロ」撮影:政川慎治」
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ノンフィクションW「六百年の『今』を舞う~狂言師・野村萬斎」の一場面 「ボレロ」撮影:政川慎治」

 WOWOWは、毎週金曜午後10時に「ノンフィクションW」枠を設け、オリジナルのドキュメンタリー番組を放送中だ。この枠では、見る人を新しい世界へと誘うフルハイビジョンの“ノンフィクションエンターテインメント”番組をWOWOWプライムで毎週、テーマを変えて放送している。5月31日に放送される「六百年の『今』を舞う~狂言師・野村萬斎」を担当したWOWOWの制作部の射場好昭プロデューサーに番組の魅力を聞いた。

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 −−番組の概要と魅力とは?

 今、萬斎さんの大きな変革期。生まれたときから狂言を続けてきている萬斎さんが、さまざまな試行錯誤、挑戦を繰り返してきた、その実りの収穫期です。1人のアーティストが豊かな果実を生み出していく貴重な時期をたっぷりと取材できました。600年の歴史を持つ「狂言」をさまざまな形で“現在形”として追求する野村萬斎の姿をニューヨーク「マクベス」公演、同地のグッゲンハイム美術館「三番叟(さんばそう)」公演の模様を中心にご紹介します。

 −−今回のテーマを取り上げたきっかけと理由は?

 萬斎さんのいままでより一層の充実した活動ぶりの中に、長い歴史を持つ伝統芸能の流れの中での“現在形”がくっきりと表れており、注目せざるをえない魅力を感じました。その力に、呼び込まれて取材させていただいたという印象です。

 −−制作中、一番に心掛けたことは?

 明晰(めいせき)な言葉を備えた狂言師である萬斎さんの、言葉を超えた狂言に懸ける情熱、まさに狂言師である自らの本質をエネルギーの限り深く追求しようとする姿を、できる限り率直に映し出したいと、心掛けました。

 −−番組を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったエピソードは?

 ほとんど神がかりのような集中力で臨んだ「三番叟」の場面。グッゲンハイム美術館の丸い中心部の庭のような場所での公演でしたが、設計した建築家のフランク・ロイド・ライトが、そこを「スピリチュアルな場所」と定義づけていたことを大胆に証明する公演となりました。あまりに素晴らしい瞬間に立ち会えたことと、この空気ごと映し出したいという不可能な願望にとりつかれてしまい“大変”でした。

 −−番組の見どころを教えてください。

こんな萬斎さん見たことないという映像がたっぷりです。伝統の重みを軽やかにしたたかに“現在”に開花させている一人のアーティストの誠実な戦いぶりに、私たち普通人の心を打つところがたくさんあると思います。

 −−視聴者へ一言お願いします。

 今の「野村萬斎」が知りたい人、必見です。もしも伝統芸能の家系に生まれて、もしも神様から才能を授けられていたとしたら、その力をどのように「世界」に提示することができるか、それは萬斎さんだけの“宿命”のようでいて、アーティストを通じて私たちが、私たちの時代が「実現できる何ものか」を表しています。

 WOWOW 制作部 プロデューサー 射場好昭

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