特撮ドラマ「獣電戦隊キョウリュウジャー」の映画版「劇場版 獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリンチョ・オブ・ミュージック」(坂本浩一監督)が3日に封切られる。今作は、恐竜をモチーフにした特撮ヒーロー番組のシリーズ37作目の劇場版で、ミュージカル仕立てとなっているのが話題。敵側のキャラクターとしてゲスト出演している、「レムネア」役の女優・桃瀬美咲さんと「アーシー」役の女優・佃井皆美さんに、悪役を演じることや特撮の魅力、アクションシーン撮影時のエピソードなどを聞いた。(遠藤政樹/毎日新聞デジタル)
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出演が決まったとき佃井さんは、「周りにファンも多く憧れの“戦隊もの”だったので、劇場版に出られると聞き、とてもうれしかったです」と笑顔を見せた。一方、悪役の桃瀬さんは「レムネアという悪役であることやアクションができる女の子としての話と聞いていたので、プレッシャーがとてつもなかった。悪役をどうやればいいのか不安もありましたが、嬉しかったです」と喜びと不安が入り交じった心境だったことを明かす。「獣電戦隊キョウリュウジャー」のイメージを、佃井さんは「すごく元気になるような、キャラクターも明るく、すごい楽しいと思える作品」と明るさを強調し、桃瀬さんは「“戦隊演技”というか『やるぜ』みたいなポーズがあり、子どもに分かりやすい見やすい演技をする作品というイメージがありました」と独特の表現で魅力を語る。
“悪役”を演じることについて、桃瀬さんが「絵コンテの衣装からは悪役を想像できない感じでした。衣装はどうでしたか?」と佃井さんに確認すると、「私は完全に悪役(だと思った)。2人はコンビですが白と黒という色分けがあって、美咲ちゃんが白で、私の方は黒い衣装だったので」と笑う。佃井さんは「(衣装が)本当に凝っていて、最初のフィッティングから『ここに爪が付きます』とか(造形が)すごかった」と驚き、桃瀬さんは「(私たちの)衣装はアシンメトリー(非対称)。後ろに爪が付いていて、(2人には)“営業の立ち位置”があるのですが、立ち位置を間違えると(衣装が)当たって立っていられないぐらい」と笑う。
佃井さんは「悪役ということよりも、美咲ちゃん(の役)は楽しんでいて、こっちはクール系ですましている。そのバランスなどを考えていました。美咲ちゃんがキュートセクシーな感じで、私はクールセクシーという役割があったので、そういう意味ではすごくやりやすかった」と役作りについてコメント。桃瀬さんも「2人でせりふの言い方や立ち方、目線を合わすタイミングなど、いろいろ細かく話し合いました」とコンビとしてのバランスを考えていたことを明かす。
今作は子どもが主な客層だが、佃井さんは「以前、悪役を演じさせていただいたとき、親せきの子どもが(放送を)見ていて、会いに行くとすごく怖がられました。今回も嫌われると思い、少し不安でした」と苦笑いを浮かべ、「(東京ドームシティ・シアター)Gロッソで、子どものエキストラさんもいる中、2人とも怖い顔をしながら歩くシーンを撮ったのですが、子どもたちが私たちを見て泣いてしまって……」と桃瀬さんが撮影秘話を明かした。佃井さんは「大人はキレイとか言ってくれるますけど」と言いつつ、桃瀬さんは「カットがかかるたびに、2人して『すみません』と言いながらやりました」と明かし、「(怖がらせることが)少し快感だったかも(笑い)。悪役としては正解かもしれない」など、演技と同じく息ぴったりに冗談を交じえ声をそろえる。
ワイヤやナパーム弾といった派手なアクションも今作の魅力だが、「戦隊でしかできないようなアクションが結構あって、皆美さんがものすごい。皆美さんがアクションやナパーム弾をされているときは、皆さんモニター前で見て拍手するくらいカッコ良かったです」と桃瀬さんがほめると、「ナパーム弾が取り直しがきかないので本当に怖かった」と佃井さんは恐縮する。
自身のアクションシーンでお気に入りの場面は、佃井さんは「アーシーという役名もあり足技と剣を使い、足技を使う(キョウリュウ)ピンクのアミィちゃんと、剣を使う(キョウリュウ)グリーンのソウジ君を相手にする2対1は面白かったです。両方を同時にやっていて構成がすごく面白いと思いました」と紹介。桃瀬さんは「手から光線が出る役と知ったのは(撮影)現場。『空手を崩したアクションになりそうです』といわれていたので突きとか蹴り技を練習していました(笑い)。戦いを楽しむキャラクターだったので、ニコニコしながら撃つという新しい悪役像を楽しくやらせていただきました」と振り返る。
撮影中のエピソードについて、桃瀬さんは「音楽やミュージカルがテーマなので、美琴というアイドルの設定のキャラクターがいてコンサートを開き、そこに私たちは登場するのですが、裏では一緒に踊ったり、ライブを2人ですごく楽しんでいました(笑い)」と語れば、佃井さんは「エンディングでサンバの曲を踊らせていただいてうれしかった。私(の演じたキャラ)は口ぐせが『とろけちゃう』。ちょいちょい言いますが、自分の中で一番お気に入りです」と笑顔を見せる。
お気に入りのキャラクターは、2人とも敵側のキャンデリラやラッキューロを挙げる。キョウリュウジャーのメンバーに絞ると、佃井さんが「ゴールドのしゃべり方や『ござる』みたいな感じがすごい好きですね」と言えば、桃瀬さんは「(ゴールドの)『いざ尋常に』というせりふの意味を聞いたら、(本人も)『僕も分からん』って(笑い)。最初はずっと隅の方にいたのですが、皆さん優しく、特にブルーさんやゴールドさんが年上ということもあり(気を使って)話をしてくれました。ブルーさんは裏でもダジャレを言ったりしてムードメーカーでした」と、ゴールド役の丸山敦史さんとブルー役の金城大和さんの現場での素顔を明かす。
悪役を演じてみた感想と映画の見どころを、桃瀬さんは「怖い顔とキュートな感じを合体させた役は初めてだったので、(見た人が)『あの白、面白いな』ということだけでも思っていただけたらと思って演技したので、そういう部分も楽しんでいただきたいです。(見どころは)今回ミュージカルというのでそこはノリノリで見て、最後は私たちも楽しんで踊った曲を一緒に踊ってもらえれば」とコメント。佃井さんは「『キョウリュウジャー』はものすごく元気をもらえる作品。ミュージカルという部分でも楽しい作品だと思いますし、アクションも盛りだくさん。楽しんで見ていただければと思います」とメッセージを送った。映画は「劇場版 仮面ライダーウィザード イン マジックランド」と2本立てで、新宿バルト9(東京都新宿区)ほか3日から全国で公開。
<桃瀬美咲さんのプロフィル>
1993年3月6日生まれ、岡山県出身。第33回「ホリプロタレントスカウトキャラバン」で審査員特別賞を受賞しデビュー。主な出演作は、テレビドラマ「古代少女隊ドグーンV」(2010年)で主演、映画「ゴスロリ処刑人」(10年)など。地元岡山のJリーグ「ファジアーノ岡山特命PR部女子マネジャー」に任命される。
<佃井皆美のプロフィル>
1987年12月18日生まれ、埼玉県出身。主演映画「芸者VS忍者」(08年)をはじめ、数多くの作品で得意のアクションを生かし活躍。舞台出演作も多い。今後も「パラノイアショー Vol.10 日々。繰り返しの、」や「鬼切丸」「Steins;Gate」などが控えている。
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