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小野憲史のゲーム時評:PS4とXboxONE ソフトに見る戦略の違い

コラム ゲーム
11月に発売されたプレイステーション4(左)とXboxONE

 超硬派のゲーム雑誌「ゲーム批評」の元編集長で、現在はゲーム開発と産業を支援するNPO法人「国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)」代表の小野憲史さんが、ゲーム業界の現在を語る「小野憲史のゲーム時評」。今回は、北米で発売された新型ゲーム機「プレイステーション4」と「XboxONE」について語ります。

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新型ゲーム機、プレイステーション(PS)4が11月15日、XboxONEが11月22日にそれぞれ米国などで発売された。PSとXboxの新機種が同時期に発売されるのは初めてのことだ。

XboxONEが、ボタンでなくゼスチャーでも操作できる周辺器機のキネクト2をセットにし、499ドルで販売したのに対して、PS4は周辺機器をつけないシンプルな商品で399ドルに抑えた。両雄の激突に売れ行きが注目されたが、ともに100万台を出荷する好調なスタートとなった。一方、海外のことではあるが、本体同時発売ソフトのラインアップから、デジタル流通への対応で興味深い違いがみられた。

タイトル数はPS4が24本、XboxONEが21本だが、自社販売タイトルはソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が5本、マイクロソフト(MS)が7本だ。またPS4はパッケージソフトが15本、ダウンロード専売が9本で、そのうち3本がF2P(フリー・トゥー・プレー=基本プレー無料・アイテム課金型)だ。一方XboxONEはパッケージソフトが17本、ダウンロード専売が4本で、F2Pは1本だった。

パッケージゲームのアキレスけんは、拡大する中古流通だ。もっとも、不要なゲームを換金できるのは消費者の権利でもある。6月にアメリカで開催されたゲーム見本市「E3」では、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)がいち早く中古容認を打ち出し、ネットユーザーの喝采を浴びた。そのためマイクロソフト(MS)がE3後に、中古容認を改めて示す一幕もあったほど。ただSCEはデジタル配信に力を入れることで、結果的に中古対策となっている点が印象的だ。

ネットワークの戦略も異なり、SCEは、新たにクラウド技術を提供する構想を打ち出した。一方のMSは、現行のXboxLiveのサービスに力を入れる模様で、ここでも対応が分かれている。共通するのは、現行機のPS3、Xbox360との互換性がない点で、今後はこの点をカバーする戦略に注目が集まりそうだ。

MSはXboxLiveサービスでデジタル流通に先行したが、F2Pには慎重な姿勢を保ってきた。ソフトの単価が10~20ドルで、サードパーティから一定の支持を得ているからだろう。対するSCEはPS3とPSVita向けに、F2Pタイトルのリリース数で先行している。もっともXboxONEのF2Pタイトルが新作なのに対して、PS4のF2Pタイトルは共にPCゲームなどの移植作と、目新しさに欠ける点は否めない。

ポイントはスマートフォンアプリの普及で、両社ともそれを踏まえた対応策が求められていることだ。特に日本ではモバイル・ソーシャルゲームのF2P市場が大きく、パッケージゲームを超えたという調査データも出ている。PS4は14年2月22日に発売予定だが、XboxONEの発売時期は「14年」としか発表されておらず、まだ将来的な優劣を論じることはできない。しかし、従来の常識にとらわれない施策を打ち出せるかが、両ハードの生き残りに大きく左右するだろう。

◇プロフィル

 おの・けんじ 1971年生まれ。山口県出身。「ゲーム批評」編集長をへて2000年からフリーのゲームジャーナリスト。08年に結婚し、妻と猫3匹を支える主夫に“ジョブチェンジ”した。11年から国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)代表に就任、12年に特定非営利活動(NPO)法人の認定を受け、本格的な活動に乗り出している。

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