本郷奏多:俳優業に強いこだわり 「年をとってもお芝居したい」

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 映画監督の岩井俊二さんが初めて連続ドラマの企画プロデュースと脚本を担当する話題作「なぞの転校生」(テレビ東京系、毎週金曜深夜0時12分)が放送中だ。中村蒼さん、桜井美南さんとともに主演を務め、“謎の転校生”典夫を演じるのは2002年に俳優デビューし、昨年は連続ドラマ単独初主演も果たすなど俳優として着実に経験を積み重ねてきた本郷奏多さんだ。「息を長く(俳優を)やっていたい」「年をとってもお芝居したい」と語る23歳に、撮影のエピソードとともに俳優業への思いを聞いた。

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 ◇新人がうらやましい 23歳で「年をとったな」

 「なぞの転校生」は、1970年代に話題を呼んだ眉村卓さんのSFジュブナイル(10代向けの小説)で、1975年にNHKでドラマ化、98年には映画化もされた作品で、今回のドラマ化は実に39年ぶり。映画「夜のピクニック」の長澤雅彦監督がメガホンをとり、ミッキー・カーチスさん、京野ことみさん、濱田マリさんらも出演する。本郷さんが演じるのはSF好きの高校2年生・広一(中村さん)の隣に引っ越してきた“謎の転校生”典夫で、今回の台本は「ものすごく面白かった。普段とは質感の違うビビビッとくるものがあったので、そんな作品に参加させていただくのはうれしかった」と笑顔を見せる。

 02年に俳優デビュー後、映画「NANA2」「GANTZ」など話題作に次々と出演し、昨年は「リアル鬼ごっこ THE ORIGIN」で連続ドラマ単独初主演、「Moonlight Rambler」で舞台初主演を務めるなど経験を積んできた本郷さん。撮影現場では若手メンバーも多く、広一の幼なじみのクラスメート・みどり役で連ドラ初出演となる新人女優の桜井さんについては「最初はどうなるのか大丈夫かなというのがあったけど、これから頑張らなきゃというのを理解して、努力して、勉強して毎日挑んでいた。若いのにプロ意識が高かった」と明かし、「純粋にうらやましい」と続ける。

 ◇経験を積むことによる葛藤 撮影方法で「初心に」

 たくさんの現場を経験し、役者として成長をする一方で、経験を積むことによって悩みも生まれる。「(芝居において)求められることをやるのが、果たして100%正解なのかというのは違うことだと思う」と持論を語った本郷さんは、「現場で何が欲しがられているのかは、(経験を積むと)わかってきてしまう」と葛藤を明かす。「求められているからやる」のではなく、「自分が思ったからやる」という感覚は「どうしても失われていく」といい、23歳ながら「自分も年をとったんだな」としみじみと語る。

 そんな葛藤を明かした本郷さんだが、今回の現場では「初心に帰らされた」という。通常のドラマでは「頭から順番に撮っていって、撮ったところは(何度も)やらない」ことが多く、「こなれてくると『(今自分はカメラに)写ってないな』という意識になってしまうこともある」と率直に明かしたが、今回のドラマでは芝居の流れを大切にするため、同じシーンを「頭から最後までカメラの向きを変えて、いろんな人を狙って」何度も撮影する方法だった。どの部分を切り取られるかわからない今回の撮影方法によって「一瞬も『その人物じゃなくなってはいけない』という当たり前のことを再認識できた」と振り返る。

 ◇演じてみたいのは「社会人」

 俳優業について「息を長くやっていたい」と話す本郷さんにとって、今後、演じてみたい役とは何なのか。「ちゃんと働いている人を演じたことがないので、社会人役が増えるといいな。今回は高校生だし」と笑みを浮かべる。「大学も卒業して、仕事一本になったから、生きていくためにやらないといけないと思う。常に一線にいるのってものすごく難しいし、特別な才能がある人しかできないと思うので、それは難しいことだと思う」と厳しく自己分析してみせる。それでも、「やっぱり息を長くやっていたい」と俳優業への強い思いを明かした。

 今作は「しっかり見ないと置いていかれてしまうタイプの作品。できれば一生懸命見てもらいたい。細かいちりばめられたいろいろな物がつながって、本当にいい作品と言ってもらえると思う」と自信をのぞかせた。

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