名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
ドラマ化もされた「チーム・バチスタ」シリーズの10年後を描いた海堂尊さんの新作「アクアマリンの神殿」(角川書店、7月2日発売)は、「ナイチンゲールの沈黙」や「モルフェウスの領域」などに登場する少年・佐々木アツシが主人公となる先端医療エンターテインメント小説だ。世界初の「コールドスリープ<凍眠>」から目覚め、未来医学探究センターで暮らす少年・佐々木アツシは、深夜にある美しい女性を見守っていたが、彼女の目覚めが近づくにつれて重大な決断を迫られ、苦悩することになる……というストーリー。マンガ家の深海魚(ふかみ・さかな)さんのカラーイラスト付きで、全24回連載する。
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◇夏美の学園生活編 1 有言実行のヒロイン
七月。
一学期の期末試験でもぶっちぎりのトップを取った麻生夏美は、学園内での地位を完全に確立した。これ以降、麻生夏美の悪行三昧は完全に黙認されることとなった。
麻生夏美は一躍、桜宮学園中等部の輝ける星になり、有言実行のヒロインになった。
優等生デビューは三年の初夏。これは中等部の先生たちにとって、途方もない福音だ。
入学時から優秀な優等生は、教師の手柄にならない。でも麻生夏美は違う。中等部二年の時は真ん中より下、それが三年になって開花した。これこそ教育の賜物だ。
すると、麻生夏美の才能を開花させたのは担任のゲタということになる。まことに皮肉な話だ。そもそも教育者としてのゲタのレベルは、あまり大したことはない、と見切られていた。でも更に残念なことに桜宮学園には、ゲタ以外にも教育技術の低い先生はうじゃうじゃいた。
英語の非常勤講師のエドモンドがそのいい例だ。クイーンズイングリッシュを標榜しながら、実はひどいブロークン。スペルミスも数知れず、英語は彼の母国語ではない、とささやかれている。
エドモンドが東の横綱なら、西の横綱は数学の今野だろう。サインとコサインを逆さまに書き、調子が悪いと累乗と平方根をごっちゃにする。加減乗除の加減はさすがに大丈夫だが、乗除になるとかなりあやしい。これでよく数学の教師になれたものだと感心してしまう。
そもそも、進学校の教師の教育技術は最低だという、パラドキシカルな現象はよく出現するらしく、私立学校には時々、こういう名物迷惑教師が横行してしまうようだ。
<毎日正午掲載・明日へ続く>
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2024年12月23日 02:00時点
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