薬屋のひとりごと
第39話 氷菓
4月18日(金)放送分
この秋、二つの「ガンダム」が地上波で放映されている。一つは「ガンダム Gのレコンギスタ」、もう一つは「ガンダムビルドファイターズトライ」だ。同じタイトルを冠するテレビシリーズが並行して公開されるのは、ロボットアニメとしてはまれなことだ。お台場に実物大のロボット像が建ち、玩具やファッションなどあらゆる媒体に拡散しながらも、それらの中核にある「ガンダム」とは何なのだろう。
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その原点は、1979年に放映された「機動戦士ガンダム」、通称「ファースト」にある。異星人の侵略ではなく、同じ人類同士が国家の存亡を懸けて宇宙と地上とで戦線を展開し、量産型のロボット兵器(モビルスーツ)が投入される……。そうした「戦争」を持ち込むことで、本作はロボットアニメのジャンルに革命を起こした。
現在もなお「ガンダム」市場が活気にあふれているのは、ファーストが不朽の名作と言われる完成度を誇っていたことが理由に挙げられる。主役メカのガンダムや魅力ある量産モビルスーツたち、複雑な内面を持つキャラクターと彼らが織りなす人間ドラマ。しかし、名作や傑作が“過去形”で振り返られる例はいくらでもある。なぜ「ガンダム」は、35年たったいつまでも“現在形”でいられるのか。
「ガンダム」を構成する要素の一つは「ガンプラ」だ。日本では戦車や戦艦など兵器のスケールモデルに源流のあるプラモデルは、元々は高年齢層向けであり、子供向けとされたロボットアニメとはあまり縁がなかった。しかし、その前にヒットした「宇宙戦艦ヤマト」によって創出された「アニメのプラモ」の需要が、やはり年齢が高めの若者に人気だったガンダムに引き継がれたのだ。さらにアニメ本編では登場していないMSV(モビルスーツバリエーション、外伝的な機体のバリエーション)のガンプラが発売されたことは、市場のみならず世界観の拡大ももたらした。
二つ目のカギは「宇宙世紀」だ。西暦と区切られた時間軸である「宇宙世紀」はファーストからあったが、「もう一つの歴史」として確立したのは続編の「機動戦士Zガンダム」以降だ。前作から7年後の設定だった「Z」は、映像化された枠の外にも人々が生を営み社会が変化していく時間の流れがあることを示した。テレビシリーズの間に生じた空白の期間は、小説やゲーム、コミックなどが想像力を広げる“遊び場”を提供したのだ。
3番目のキーワードが「アナザーガンダム」だ。アナザーとは「宇宙世紀ではない」世界のこと。劇場版「逆襲のシャア」(1988年)を経て「機動戦士Vガンダム」(93年)と続くにつれて宇宙世紀ファンの年齢層も高くなった中、設定を一新した「機動武闘伝Gガンダム」(94年)が登場。格闘家たちがガンダムに乗って世界の覇権を争う破天荒さは、「ガンダム」を何でもありの器とした。女性人気を勝ち得た「新機動戦記ガンダムW」や、ファンの若返りを実現した「機動戦士ガンダムSEED」など、一作ごとに設定がリセットされるアナザー作品は、ガンダム入門のハードルを下げた。主に玩具やゲーム、コミックで子供向けに展開された2等身の「SDガンダム」も、広い意味での「アナザー」と言えるだろう。
そして2014年、ファーストの富野由悠季監督による「Gのレコンギスタ」は宇宙世紀の延長にありつつ、はるか未来の世界ということで「アナザー」の側面を備える。かたや「ガンダムビルドファイターズトライ」は主人公たちがガンプラを“操縦”して戦うというガンプラと「アナザー」を統合した“全部盛り”の作品だ。ファーストで育ったかつての“子供たち”が、大人向けに作られた「機動戦士ガンダムUC」の劇場公開やブルーレイを楽しみながら、家族連れでお台場ガンダムを見に行く。「ガンダム」は、世界に例のない「生涯コンテンツ」に成長を遂げているのだ。(多根清史/アニメ批評家)
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