注目映画紹介:「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」ブライアン・ウィルソン公認の自伝的物語

映画「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」のワンシーン (C)2015 Malibu Road,LLC. All rights reserved.
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映画「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」のワンシーン (C)2015 Malibu Road,LLC. All rights reserved.

 米カリフォルニアのロックバンド「ザ・ビーチ・ボーイズ」のブライアン・ウィルソンさんの半生を、本人公認で映画化した「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」(ビル・ポーラッド監督)が8月1日に公開される。人気絶頂で創作意欲にもあふれるもプレッシャーに押しつぶされそうになっていた1960年代と、精神的な問題を抱える中で妻のメリンダと出会う80年代という二つの時代のブライアンさんのエピソードを中心に構成。本人が抱えていた苦悩や名曲誕生の裏側に隠された真実へと迫っていく。

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 1960年代、発表する曲はすべて大ヒットを記録するなど「ザ・ビーチ・ボーイズ」は人気の頂点にいた。中心メンバーのブライアン・ウィルソン(ポール・ダノさん)は、新たな音を求めてスタジオで曲作りに専念するも、新作へのプレッシャーで精神的に追い込まれ、次第に薬物に依存してしまう。それから二十数年、低迷するブライアン(ジョン・キューザックさん)は美しく聡明な女性メリンダ(エリザベス・バンクスさん)と出会い……というストーリー。

 ザ・ビーチ・ボーイズというバンドをオンタイムでは知らなくても、楽曲を聴けばどこか耳にしたことがあるだろう。サーフロックというジャンルを確立し、数多くのアーティストに今もなお影響を与えているバンドだが、その道のり、特にブライアンさんには紆余(うよ)曲折が多々あった。その頂点からどん底までを経験した半生が垣間見られるというのは、同バンドのファンならずとも音楽ファンなら見逃せない。曲作りの苦悩やメンバーとのいさかい、そして精神科医とのやり取りまでつまびらかに描写されていて、ヘビーを通り越して思わず身の毛がよだつ。天才と称される人物も当たり前だが一人の人間であることを改めて認識させられた。物語も単純に時系列に沿って進むのではなく、60年代と80年代を交互に描くことでトリップ感を演出し、ブライアンさんの生きざまを知る上で効果を発揮している。仮に同バンドに興味がない人が見ても、一人のミュージシャンの物語として十分楽しめる完成度だ。角川シネマ有楽町(東京都千代田区)ほか全国で公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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