2014年に亡くなった映画俳優・高倉健さんについてのドキュメンタリー作「健さん」(日比遊一監督)が20日から公開される。マーティン・スコセッシ監督、ジョン・ウー監督、山田洋次監督ら映画人や、元付き人、映画支配人、実妹ら国内外20人以上のインタビューから、生前語られなかった高倉健さんについて浮き彫りにしていく。
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「単騎、千里を走る。」(2005年)で共演したチュー・リンさんが、健さんの主演作を上映する大阪の名画座に入る。「健さんは大スターだと聞いていたが、若手俳優にも優しくしてくれた」と撮影当時を懐かしむチュー・リンさん。続けて「ブラック・レイン」(1989年)で共演したマイケル・ダグラスさんが健さんから感銘を受けたことを語り、健さんの代表作「君よ憤怒の河を渉れ」(76年)の再映画化を福山雅治さん主演で進めているジョン・ウー監督。さらにマーティン・スコセッシ監督、降旗康男監督、山田洋次監督ら国内外から健さんゆかりの人々が登場して思い出を語り出す……という展開。
高倉健さんゆかりの人々の証言を使って、その足跡を追う旅のような作品だ。国境を越えて親しまれた人物像が浮かび上がってくる。登場するのは、巨匠と呼ばれる世界的な監督、海外の俳優、日本の監督など仕事関係者だけではない。健さんの実の妹、元付き人、映画館を訪れた一般の人、さまざまな人にカメラは向けられる。マーティン・スコセッシ監督の語る知られざる交友話も、喫茶店の主人が語る思い出話もすべて同列に扱われている。そして、健さんについて語るとき、誰もが優しい表情になる。スクリーンの中のみならず、健さんは出会った人みんなを一瞬にしてファンにしてしまうのだろう。
中でも健さんのことを親しみを込めて「だんな」と呼ぶ、元付き人さんが語る思い出話は楽しい。元付き人さんの御子息の結婚式でスピーチするプライベート映像もある。お二人の交友の深さが感じられて、目頭が熱くなる。健さんの肉声や、写真もちりばめられて、さまざまな表情が登場する。「一生懸命な男を演じたい」「むしろ言葉が少ないから伝わるものもある」……そんな健さんの人生哲学も紹介され、映画隆盛の時代とともに存在した一人の俳優の人生に、じんわりと胸を熱くさせられる。語りを中井貴一さん、音楽を「レッドクリフ Part1」(08年)や「利休にたずねよ」(13年)などで知られる岩代太郎さんが担当している。20日から渋谷シネパレス(東京都渋谷区)ほかで公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。今作を見ながら私も「健さん」と呼びかけたくなりました。
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