全世界でシリーズ累計30億ダウンロードという大人気スマホゲームを劇場版アニメ化した「アングリーバード」(ファーガル・ライリー監督、クレイ・ケイティス監督)が、10月1日から公開される。丸っこい図体の鳥たちが、緑色のブタを体当たりでやっつけるという極めてシンプルな内容のゲーム。制作したロヴィオ社には「なぜ鳥たちはそんなに怒っているのか」という質問が一番多く寄せられるのだという。そこに目を付けた劇場版アニメ「怪盗グルーの月泥棒3D」(2010年)のプロデューサーが、鳥とブタの争いの起源にまつわる物語に仕立て上げた。
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飛べない鳥たちが平和に暮らす島“バードアイランド”。ところが、ぶっとい眉毛に赤く丸っこい図体のレッド(声:坂上忍さん)は、いつも怒ってばかりいることから、ほかの鳥たちから厄介者扱いされていた。ある日、島にピッグ軍団なる緑色の豚の集団が友好を求めてやって来る。ほかの鳥たちが歓待する中、レッドだけは、ピッグ軍団に疑いの目を向ける。やがて、ピッグ軍団が鳥たちの卵を盗もうとしていることに気付いたレッドは、お調子者のチャック(声:勝杏里さん)や小心者のボム(声:乃村健次さん)とともに、このピンチを切り抜けるため、伝説のヒーロー、マイティ・イーグル(声:山寺宏一さん)を探す旅に出る……というストーリー。
主人公のレッドは確かに怒りんぼうだが、理不尽なことは何一つ言っておらず、ただ、自分の心に正直なだけだ。むしろ権力におもねることなく、正義にあつく、ここぞというときには仲間のために立ち上がる、いわゆる“一匹狼型のヒーロー”だ。そんな彼を中心に、びっくりすると爆発するボムや、“伝説のヒーロー”のくせに態度がまったくヒーローらしくないマイティ・イーグルなど、擬人化された鳥たちは、どれも“人間社会にもこんな人いるいる”と思わせるキャラクターばかり。
つぶらな瞳とぽよぽよ毛並みのひな鳥たちの愛らしさも悶絶もの。レッドたち鳥チームとピッグ軍団とのバトルシーンではスピード感や浮遊感が味わえ、もちろん、レッドのリーダーとしての成長ぶりを見守りながら、仲間や友情のありがたみを実感することもできる。子供はもとより大人も、いや、むしろ大人の方が、「あのキャラ、自分に似ている」と共感しながら楽しめるのではないだろうか。なお、日本語吹き替え版のみの上映で、俳優の坂上さんがレッドの声を担当するほか、元サッカー日本代表の前園真聖さんが声優初挑戦ながら、イケメン鳥ジョニーと悪者ブタのピッグ7の、一人二役を演じるという“離れ業”をやってのけている。10月1日から新宿バルト9(東京都新宿区)ほか全国で公開。3Dも同時公開。 (りんたいこ/フリーライター)
<プロフィル>
りん・たいこ=教育雑誌、編集プロダクションを経てフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。
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