テレビ質問状:「WHO I AM」 パラリンピックドキュメンタリー第4回は競泳・片脚のエース

「パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM」のエリー・コール選手(豪州)
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「パラリンピック・ドキュメンタリーシリーズ WHO I AM」のエリー・コール選手(豪州)

 IPC(国際パラリンピック委員会)とWOWOWが共同で立ち上げたパラリンピックドキュメンタリーシリーズ「WHO I AM」。リオパラリンピックが開催された2016年から、東京大会が開催される2020年まで5年にわたり、世界最高峰のパラアスリートたちに迫る大型スポーツドキュメンタリーシリーズだ。10月から第1シーズンとして、8人のパラアスリートに密着した放送がスタートする。第4回は12日午後9時から競泳の片脚のエース、エリー・コール選手(豪州)をフィーチャーした回がWOWOWプライムで放送される。番組プロデューサーを務めるWOWOW制作局制作部の太田慎也チーフプロデューサーに番組の魅力を聞いた。

ウナギノボリ

 ――エリー・コール選手に注目した理由は?

 2015年夏のプロジェクト立ち上げ直後、私たちはスコットランド・グラスゴーで開催されたIPC水泳世界選手権の会場を訪れました。その大会で5枚のメダルを獲得し、輝きを放っていたのが、「競泳大国の片脚のエース」エリー・コールでした。とても明るく誠実で、オーストラリア代表の中でもキャプテンシーがあり、魅力的なアスリートである彼女をぜひ取材したい、というのが第一印象でした。しかし、彼女について調べていくと、2008年北京大会でパラリンピックデビューを果たし、4年後のロンドン大会で金メダルを獲得した彼女がその後に歩んできた3年間は、あまりに壮絶なものだったと知りました。そんな彼女のアスリートとしての物語にとても興味が湧いたのです。

 「人々が障害者を見た時に“何ができないか”ではなく、“何ができるか”に目を向ける日が来てほしいの」という彼女の言葉に、私たちがこのシリーズを通して伝えたいメッセージとの共通項を感じたのです。実際に、彼女は私たちが想像していた何倍も魅力的な女性でした。プロジェクト立ち上げ以降、私たちスタッフもたくさん価値観の変わる経験をしましたが、その多くはエリー・コールの影響だったといっても過言ではありません。

 ――エリー・コール選手との撮影中のエピソードは?

 エリー・コールは、3歳の時に病により右脚膝上を切断していますが、「片脚を失ったことは人生に起きた最高の出来事」と笑顔で話してくれます。そう思うに至った、自らの生い立ちや経験してきたことを、惜しげもなく私たちに語ってくれました。そうすることで人々の価値観を変えられるかもしれないと、彼女は分かっているのかもしれません。

 そして、取材を進めるとその裏には、彼女の人生に対する信念のような「物事の考え方」がありました。私たちが「WHO I AM」シリーズを通して描きたい、伝えたいと思っていたことを、彼女はたくさんたくさん言葉にしてくれたのです。それは決して彼女が「障害者だから」というものではありません。徹底的に自分と向き合い、人生をエンジョイし、輝いている人だからこその言葉ばかりです。つまり、社会に暮らす私たち一人一人が「自分のこと」として受け止められることばかりでした。壁にぶつかった時、つらい時、明日への力が湧かない時、彼女の言葉の中にきっとヒントがあると信じています。もちろん、ハッピーな時にもっとハッピーになれる方法も、彼女は誰よりも知っています。

 ――視聴者へ見どころをお願いします。

 昨夏にエリー・コールと出会って以降、今年9月のリオパラリンピックまで長期にわたって取材をさせていただきました。彼女の人柄だけでなく、その輝かしいキャリアと、その裏側にあった壮絶な物語、そして運命のリオまでの軌跡を、じっくりと味わっていただければと思います。

 今年10月、シリーズ放送スタートを前に、彼女は日本に来日してくれました。番組スタッフだけでなく、来日中に彼女と出会った多くの日本の皆さんを一瞬にして虜にしてしまったほど、魅力を振りまいて帰っていきました(笑い)。

 オーストラリアの大地で、すてきな家族の愛情をたっぷりと受け、さんさんと輝く太陽の下ですくすくと育ったのだろうなあと思わせてくれる彼女は、一度出会うと忘れられなくなる不思議な魅力を持っていると思います。しかも彼女は、既に「4年後の東京大会が本当に楽しみ!」と話してくれています。ぜひ、エリー・コールと出会っていただけたら幸いです。彼女はきっと「どうすれば自分の人生は輝くのか」のヒントをくれることと思います。

 WOWOW 制作局制作部 チーフプロデューサー 太田慎也

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