女優の蒼井優さん(31)の約8年ぶりの主演映画「アズミ・ハルコは行方不明」(松居大悟監督)が公開された。2001年に岩井俊二監督の「リリイ・シュシュのすべて」のヒロイン役で映画デビューし、数々の映画に出演してきた蒼井さんの約8年ぶりの映画単独主演作で、同い年の松居監督、枝見洋子プロデューサーと作り上げた。2人との出会いを「心強かった」と振り返り、今作で「初めて、映画界にいる人間なんだと実感した」という蒼井さんに同作への思いを聞いた。
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「アズミ・ハルコは行方不明」は、13年に発表された山内マリコさんの小説が原作。蒼井さんが演じる地方都市に住む独身、恋人なし、実家暮らしの安曇春子(あずみ・はるこ)の失踪を軸に、キャバクラ嬢の(高畑充希さん)や、男だけを無差別に襲う女子高生ギャング団のエピソードを、時間軸を交錯させながら描く青春ストーリー。
「僕ら世代にしかできないものをやりたい」と考えていた松居監督が約3年前に原作と出合った。当時、原作の主人公・春子も松居監督らと同い年だったことから、同世代にこだわって蒼井さんに春子役をオファーした。
これまでの俳優人生を「一人で歩いている気がしていた」と表現した蒼井さん。「制服を着ている(役の)時は、同級生の役とかで、同い年の宮崎あおいちゃんとか(同世代の)女優さん、俳優さんが一緒だったんですけど、制服を脱いだらみんなバラバラに散ったんです。それから先輩たちの背中を見ながらずっと一人で歩いていて、27~28歳ぐらいで満島ひかりちゃんとか松田翔太君とか、同い年の俳優さんと仕事をする機会が増えてきて、すごくうれしくて、心強くてしょうがなかった」と振り返る。
さらに今回、同い年の監督、プロデューサーに出会ったことで「俳優部以外にも仲間を見つけられたのが、すごくうれしかった。この心強さがあればどこまででも飛べるぞと思ったんです」と目を輝かせ、「いつも台本は、読んでいると自分の中で映像化できるんですけど(今回は)脳内で見ることができなかった。そこに引かれた。可能性を秘めた台本でした」と出演への経緯を語った。
演技では「何もしない」ことに挑戦。「やったのは、ただカメラの前に立つことだけ。怖いんですけど“丸腰”でした」という。台本の段階で、自身を含め、多くの女性スタッフが「安曇春子は私だ」とキャラクターに強く共感していたことから「要素を足して(女性たちが)『私じゃない』と感じてしまうと、台本の面白みが減る。だから引ける限り引こうと思いました」とその意図を明かした。
2人との出会いは作品への意識も変え、「初めて、自分は映画界にいる人間なんだなっていうことを実感した」という。「今までは1本作ってまた1本……という作業の繰り返し。いつも役者をずっと続けていくかということも考えないぐらい作品に没頭するんですけど、今回は「『私たち世代がこれから作っていく映画』という広い目を持ちながら作品を作ることができた」と手応えを感じている。
「この3人でまた(チームを)組めるなら、この年代が作る、この年代の話を作りたいと思う。映画人として、3人で成長を見守り合うこともできる」という蒼井さん。そして「ふざけたことをしたら本当に許してもらえないと思う。同い年だからこそ、許せないことも絶対に出てくる。心強くもあり怖くもありますね」と笑顔を見せた。
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