朝ドラ:18年後期は「まんぷく」 脚本は福田靖 インスタントラーメンを作った夫婦の物語

2018(平成30)年度後期の連続テレビ小説「まんぷく」の脚本を担当することになり、NHK大阪放送局で会見する福田靖さん
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2018(平成30)年度後期の連続テレビ小説「まんぷく」の脚本を担当することになり、NHK大阪放送局で会見する福田靖さん

 NHKは14日、2018(平成30)年度後期の連続テレビ小説朝ドラ)が「まんぷく」に決まったと発表した。脚本はドラマ「海猿」や「ガリレオ」、NHK大河ドラマ「龍馬伝」などを手がけた福田靖さん。インスタントラーメンをこの世に生み出した実業家・安藤百福(ももふく)さんとその妻・仁子(まさこ)さんの半生をモデルに、戦前から高度経済成長時代にかけての大阪を懸命に生き抜く夫婦の成功物語を描く。同日、NHK大阪放送局で行った会見で発表した。99作目で大阪放送局制作の朝ドラとしては42作目。福田さんは会見で「僕自身が楽しんでエンターテインメントを届けたい。大阪でやるというのも気合の入る要素の一つ。頑張って最後まで走り抜きますので、よろしくお願いいたします」と意気込みを語った。

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 舞台は戦前の大阪。3人姉妹の末っ子で、貧しいながらも愛情をいっぱい受けておおらかに育ったヒロイン・福子。ある日、父親代わりとなって母子家庭を支えた長姉が、病気で亡くなってしまう。次姉も結婚で家を出ていたため、「私がしっかりしなければ!」と、人生で初めての岐路に立たされ、けなげに頑張ろうと決意する福子。そんな時に出会った運命の人はバイタリティーあふれる青年実業家・萬平だった。やがて2人は恋に落ち、結婚することになる。萬平はメリヤス、航空機エンジン、製塩、食品加工、金融など、次から次へと事業を手がけ、大成功したかと思えば大失敗、敗者復活戦の繰り返し。

 「日本一の商売人」を目指して前に進み続け、穏やかな生活など考えもしない夫。武家の末えいで、商売に理解が乏しく、娘の結婚生活に口をはさまずにはいられない母。その間に立たされて、子どもを育てる福子に必要なのは、究極のマネジメント能力だった。初めは夫に振り回され、耐えるだけだった福子は、やがて夫を支え、背中を押し、引っ張っていく強い女性になっていく。そして、すべてを失ったどん底からの最後の敗者復活戦、ついに夫婦は「インスタントラーメン」を作り出す。実在の人物がモデルだが激動の時代を共に戦い抜いた夫婦の愛の物語として大胆に再構成し、登場人物や団体名は改称した上、フィクションにするという。

 福田さんは「『まんぷく』は安藤百福夫人の仁子さんをモデルにした福子さんのドラマです。ただ、実は仁子さんを取材した本は一冊も出ていません。ネットや過去の雑誌を検索しても、仁子さんに関する記事は皆無です。ということは福子さんは、ほとんど架空の人物になるわけです。もちろん、関係者の方々への取材は可能な限りしました。百福さんが成し遂げられた偉業の事実は萬平さんがドラマチックに再現してくれるはずです。でも、夫を支える妻、夫婦と共に暮らす妻の母、鈴さんの3人が織りなす物語は、限りなくフィクションになるでしょう。だったら、誰もが元気になれる楽しい朝ドラにしなければ意味がありません。『毎朝15分の美味しいエンターテインメント!』をお届けします!」とコメントを寄せている。

 制作統括の真鍋斎さんは「半年間のドラマを描いていくにあたって、『これです』と言い切れるたった一つのテーマを提示するのはなかなかに難しいことです。『まんぷく』も多くのテーマを含んでいますが、それでは何も語ったことにはならないので、あえて一つ、このドラマの大切なテーマを申し上げるとすれば、これは『復活の物語』であるということでしょうか。脚本をご担当いただく福田靖さんにご提示いただいたテーマの一つです」と語っている。

 さらに「福子さんと萬平さん夫婦は、激動の昭和を生きる中で、さまざまな浮き沈みを経験します。いわれなき罪で当局に捕まってしまったり、事業に失敗して財産を失ったり……。そこから何度もはい上がって、世紀の発明を成し遂げたときには、2人は40歳をゆうに超えていました。心折れるときも、きっとあったと思います。しかし、彼らは高らかに言うでしょう。『人はいつだってやり直せる』と。そうした物語のテーマを共に見つけてくださった福田さんとは、私は7年ぶりのお仕事となります。大河ドラマ『龍馬伝』でご一緒したときに、脚本の随所にちりばめられたユーモアが、比較的ハードな内容の大河ドラマの中にあって、キラりと光っていました。そのセンスをもって、いつか朝ドラをご執筆いただきたいと思っておりましたところ、念願かなって『まんぷく』で結実いたしました。楽しくて明るい、それでいて実のある朝のドラマを目指します」とコメントしている。

 タイトルの「まんぷく」については、「物語のヒロイン『福子』と、実業家の夫『萬平』の夫婦の名前を合わせました。食と幸せのシンボル『満腹』という意味と、日本の朝に『福=幸せ』がたくさんあふれますように、という願いも込めています」としている。

 2018(平成30)年10月1日から19(平成31)年3月30日まで全151回を予定している。来年1~3月で出演者を発表し、同5月にクランクイン予定。
 朝ドラは現在、葵わかなさん主演の「わろてんか」を放送している。京都の老舗薬種問屋の長女で、笑いをこよなく愛するヒロイン・藤岡てん(葵さん)が、大阪を日本一の笑いの都にしていく姿を描く一代記。18年4月からは、永野芽郁さん主演で「恋愛ドラマの神様」の異名を持つ脚本家の北川悦吏子さんのオリジナル作「半分、青い。」を放送する。

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