長澤まさみさん主演の映画「嘘を愛する女」(中江和仁監督)が20日からTOHOシネマズシャンテ(東京都千代田区)ほかで公開される。愛する恋人のすべてがうそだったことを知った女性が、恋人の過去を探っていく中で、真実と自らの内面に向き合うことになる異色のラブストーリーだ。ミステリアスな内容もさることながら、長澤さんや恋人役の高橋一生さんらの演技に魅了される。
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大手食品メーカーで活躍する川原由加利(長澤さん)には、一緒に住むようになって5年目となる研究医の恋人、小出桔平(高橋さん)がいる。ある夜、自宅に警官がやって来る。桔平がくも膜下出血で倒れ、意識不明で発見されたという。さらに警官は驚くことを由加利に告げる。桔平の持っていた運転免許証や医師免許証は全て偽物で、名前すらうそだというのだ。彼は一体誰? 由加利は私立探偵の海原匠(吉田鋼太郎さん)と共に桔平の素性を調べ始めるというストーリー。
ほかに、DAIGOさん、川栄李奈さん、黒木瞳さんらが出演。松たか子さんが作曲を担当した主題歌「つなぐもの」を、自ら歌い上げている。
酔いつぶれた由加利をベッドまで運んだり、風邪気味の由加利の喉の奥をのぞき込んだりと、至れり尽くせりの桔平を見ながら、由加利がうらやましくなった。それだけに、桔平の過去を探る由加利の必死の形相からは、自分にうそをついてきた桔平に対する怒りや無念、己への嫌悪感が伝わってきて身につまされた。
柔らかかったり、寂しそうだったり、いろんな笑顔を浮かべる高橋さんと、大笑いしたり、甘えたり、時にはキツイ言葉を吐いてしまったりと、桔平への愛をいろんな形で表現していく長澤さんの演技が調和して、思わずスクリーンに引き込まれる。
無愛想ながら頼れる探偵、海原に扮(ふん)した吉田さんも渋くてすてきだ。アピールしたいのは、ゴスロリファッションに身を包み、変な日本語を話す、イラっとくる女子大生役が妙にハマっていた川栄さんと、海原の助手役のDAIGOさんだ。特にDAIGOさんのなり切りぶりはすごく、最初は彼と気付かないほどだった。
新たな才能の発掘を目指す「TSUTAYA CREATORS’PROGRAM FILM 2015」の初代グランプリに輝いた企画を、企画者の中江さん自ら脚本を書き、監督した。実在する新聞記事に着想を得て作られたという今作からは、大切な人には日々素直に思いを伝えていかないといけない、というメッセージを受け取った。さて皆さんは、どんなメッセージを受け取るだろうか。(りんたいこ/フリーライター)
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