放課後カルテ
第10話(最終話) これからも健康でいてほしい
12月21日(土)放送分
ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組について、放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は、宮部みゆきさんの同名小説(新潮文庫)が原作のスペシャルドラマ「荒神(こうじん)」(NHK BSプレミアム、17日午後9時から)だ。
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関ケ原の戦いから100年後の太平の世、朱音(あかね=内田有紀さん)が大けがをして運び込まれた少年を手当てする場面から始まる。敵対する隣の藩の村が怪物に襲われたと知った朱音は、浪人の榊田宗栄(平岡祐太さん)、絵師の菊地圓秀(柳沢慎吾さん)、鉄砲撃ちの源一(大地康雄さん)と共に怪物退治に挑む。一方、朱音の兄で藩の重臣・曽谷弾正(平岳大さん)は、怪物を操ろうと暗躍する。そして怪物誕生の意外な真相、罪深い人の業が明らかになる……というストーリーだ。
原作者の宮部さんが「熱のこもった企画をNHKさんから届いた」と言うだけのことはあり、フルCGの怪物をよくここまで作り込んだなあ……というのが第一印象。最初は怪物が付けた傷や足跡が映し出され、とりでが攻撃されるシーンの二つで、圧倒的な存在感を感じさせてくれる。そうやって視聴者の興味を引きつけておいて、満を持して怪物をチラ見せ。椅子から跳びはねそうなぐらい驚いてしまった。そして朱音の村を襲う怪物は「恐ろしい」の一言だ。
怪物だけでなく、中盤以降急展開するストーリーにもくぎ付け。怪物の正体、人の業の深さなど、序盤の謎が次々と明かされていく。後味は決して良いわけではないが、心の中に残るものがあるのも確か。ヒロイン役の内田さんのちょっとだけ色っぽいシーンがあったり、怪物の残虐なシーンがあったり、「あのNHKがよくOK出したなあ」と思ったのは内緒。個人的には、特に柳沢さんの演技が見事で、本当にイラッとさせられました。必見。
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