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親が先生芸人
10月31日(木)放送分
放送も残り2週間となった葵わかなさん主演のNHK連続テレビ小説「わろてんか」。語る上で避けては通れないのが、秦野リリコを演じた広瀬アリスさんの存在だ。娘義太夫から映画女優、そして女漫才師に。葵さん扮(ふん)するヒロインてんにとっては恋敵から無二の親友へと、一つのドラマの中で役柄や役割を変化させた。物語が進むにつれ日増しに女優としての評価を高めてきた広瀬さん。現場では意外な才能を発揮して絶賛されていたという。制作統括の後藤高久プロデューサーと脚本を手掛けた吉田智子さんに、撮影の裏話を聞いた。
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ドラマの放送開始から5カ月以上が経過し、今や準主役といってもいいほどのポジションを確立した広瀬さん。後藤プロデューサーも「もちろん広瀬さんの凜(りん)とした感じ。美人で気の強そうなところは、リリコに合うだろうと思ってキャスティングしたんですけど、まさかあそこまでとは思ってはいなかったですよね。できるとは思っていたけど、僕らの期待をはるかに突き抜けてしまった」と驚きを隠せない。
中でも後藤プロデューサーが「一番、驚いた」のが、“女漫才師リリコ”としての広瀬さんの演技だ。今回、漫才指導にあたったのが、吉本総合芸能学院(NSC)で1万人以上の「芸人志願者」たちを見てきたという“伝説の講師”本多正識さん。その本多さんをして「友近さん以来」と言わしめた「ある仕草」が現場では話題になったという。
「最初のけいこのとき、怒りながら四郎(松尾諭さん)を見る、そして歌い出すっていう芝居の目線を見たとき、本多さんは『イケる!』って思ったらしいですね」と後藤プロデューサー。“伝説の講師”をもってしても「最初は、演技とはいえ漫才をやるのは難しいんじゃないか」と見抜けなかった意外な才能で、「あれだけ美人ですし、かつ静岡出身。関西弁ネーティブでもなかったので。でもやらせてみたら、一度で「あの目」をパッとできたって。本多さんも『友近さん以来だ』って言っていましたね」と明かす。
後藤プロデューサーも当該シーン(漫才コンビ「ミスリリコ・アンドシロー」のデビューステージ)を見たとき、「この目線、これは面白い。ようこんな芝居やれるな」と思ったといい、「期待以上で、けいこをすればするほどうまくなっていく。何がうまいかというと、広瀬さんには関西特有のノリがある、僕が子供のころに見ていた関西の笑い、男女の漫才の女性特有の雰囲気というか。『これはすごい!』ってなりましたし、本多さんも広瀬さんに『大阪で舞台に立てへんか?』って」と振り返る。
一方、脚本家の吉田さんが漫才と共に最も引かれたというのが、広瀬さんの「泣き芝居」だ。「泣き芝居が本当に見事でしたね。私は泣き芝居に引かれました。見た目はちょっと気が強そうで、キツい芝居は計算できてはいたんですけど……。でもアリスちゃんがあんなにも泣き芝居がうまいとは思わなかったですね。感情の発露と振り幅が魅力的だなって」としみじみする。
後藤プロデューサーの見た広瀬さんは「いわゆるツンデレ」で、「この人、本当にキツいなっていう芝居もすれば、急にデレ~ってなるような芝居もする。そこがものすごく可愛く見える。だから見ていて飽きないんじゃないのかな」と分析。「あとは相方が松尾さんていうのも良かった。美女と野獣に映るというか。松尾さんも言っていましたもの、『君(広瀬さん)が受けているのは僕のお陰だって」と笑っていた。
くしくも広瀬さんが女漫才師として大活躍した第18~19週の週間平均視聴率は、番組最高の21.0%を記録と、「数字を持っている」ことも証明した広瀬さん。ドラマは第25週(19日~)から、戦争に翻弄(ほんろう)されながらも必死に生きるヒロインたちの姿が描かれる。「北村笑店」の一員として、広瀬さんが最後までどのような演技を見せてくれるのか、注目だ。
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