佐藤健:北川悦吏子脚本に心酔 「感じたことのないプレッシャー」も

NHKの連続テレビ小説「半分、青い。」で萩尾律を演じている佐藤健さん (C)NHK
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NHKの連続テレビ小説「半分、青い。」で萩尾律を演じている佐藤健さん (C)NHK

 永野芽郁さん主演のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「半分、青い。」でヒロイン楡野鈴愛(にれの・すずめ)の幼なじみ萩尾律を演じている佐藤健さん(29)。今年1月に行われたスタジオ取材会では「手応えを感じまくっている」と語っていた佐藤さんの、その自信はどこから来るのだろうか。また、北川悦吏子さんが手掛けた脚本に「ドラマを作る本質を見たような気がしました」と明かす佐藤さんに話を聞いた。

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 「半分、青い。」は、大ヒットドラマ「ロングバケーション」(フジテレビ系、1996年)などで知られ、“恋愛ドラマの神様”の異名も持つ北川さんのオリジナル作品。1971年に岐阜県で生まれ、病気で左耳を失聴したヒロイン・鈴愛(永野さん)が、高度成長期の終わりから現代までを七転び八起きで駆け抜け、一大発明を成し遂げるまでの物語。

 佐藤さん演じる律は、鈴愛と同じ日に同じ病院で生まれた容姿端麗、成績優秀の幼なじみ。鈴愛とは互いのことを誰よりも理解し合っているが、生まれたときから全てが対照的で、感情のおもむくままに行動する鈴愛と違い、律はクールな理論派として描かれている。また誰よりも優しく傷つきやすいところがあり、物心ついた頃から鈴愛を気にかけ、鈴愛を守れるのは自分しかいないと心のどこかで思っている……という役どころ。

 ◇北川悦吏子脚本は「ドラマの設計図」

 以前から「純粋に北川さんの作品のファンだった」と語る佐藤さん。「いつかご一緒できたらいいなっていうのはぼんやりと考えていて、そういうときに声をかけていただけてうれしかったです。朝ドラをやるって、役者にとって大きいことじゃないですか。そういった中で、北川さんに声をかけていただいたってことは、自分自身やってみようって思えた、すごく大きい要素でした」と振り返る。

 北川さんの脚本から感じる印象は「ドラマの設計図のよう」で、「ものすごく(描きたい)絵が見えていて、その絵を伝えるための脚本になっている。ほかの脚本家さんよりも“テレビドラマ”を作ろうとしているというか。ただせりふが書いてある、ト書きが書いてあるのではなく、『こういうふうにドラマを作りたいんだ』って意識がそこにはある」と言い切る。

 ◇「手応えを感じまくっている」の真意

 そのほかにも「キャラクターのせりふが面白くて、そのせりふが各キャラの魅力にもつながって、作品の魅力にもつながっている気がした」ともいい、「ドラマそのものもシンプルに面白い。どこが面白いって説明をする必要がないくらい、見ていて面白い」とすっかり北川さんの脚本のとりこになっている様子。

 会見での「手応えを感じまくっている」発言の真意について尋ねてみると、「脚本を読んでいてですね」と即答し、「僕自身も次の話を楽しみに読み進めてしまうし、現場に入って鈴愛を見ていても、絶対にみんな鈴愛を好きになるだろう、鈴愛のこと好きになったら、あとは鈴愛が何をしていても、見ているだけで面白いって思えると感じたからです。きっとそれで1話から最終回まで見ていける思います」と改めて自信をのぞかせる。

 ◇萩尾律は「周りに作られていくキャラ」 

 そんな北川さんが今回、佐藤さんに用意したのがヒロインと対となる“クールな理論派”の幼なじみキャラ「萩尾律」だ。「最初に律を見たときは自分ぽいなって思いましたし、自分に近い、自分の素が出てもいいって、力を抜いて、自然体で演じればいいなって思いました」といい、「北川さんはすべての役で“あて書き”をされているようだし、役者さんの実態がつかめないと書けないと言ってらっしゃったので。でもお会いする前から何となく律のキャラはあったわけで、そういう意味で自分と重なっているのは、何となく不思議」と思い返す。

 佐藤さんによると「律は周りに作られていくキャラクター」で、「これも北川さんぽいって思ったんですけど……。この作品で描きたいのはまずは鈴愛の人生で、律は鈴愛にとってどうあるか。鈴愛にどう見えているかが一番、大事なのかなって思いますね。僕自身それでいいと思いますし、こういう役ってあまりやったことがないから、鈴愛にとって魅力的な人物、周りのみんなにとって魅力的な人物でいられるように頑張らなくてはいけないなって」と自覚している。

 ◇律への周囲の期待がそのままプレッシャーに

 一方で、自発的に動かないタイプの律をどう魅力的に演じるのか。今作で佐藤さんに課せられたハードルは決して低いものではない。本人も「台本を読んで今まで感じたことのないプレッシャーを感じた」と認める。以前「律は自発的に動かない子。彼がどういう人生を見つけていくかが、ドラマの裏テーマでもある」と話していた北川さんの期待の表れのようにも思える。

 佐藤さんも「律にはすてきなエピソードがたくさんあるんですけど、周囲の期待が、そのエピソードを上回っている気がして。『あれ? 何で律ってこんなふうに思われているんだっけ、何かしたのかな』って。そこが一番、難しいというか。自分の力で埋めなくちゃいけない部分でもある。律ってすてきな性格で、優しいし、頭もいい。魅力的な人物であることは間違いないんですけど、期待が魅力を上回っている気がしていて……」とこぼしつつ、「だから現場で何かをすることで魅力を出そうとするわけではなくて、何となく“そういう存在”でいるしかないのかなって思いでやっています」と前を向いた。

 「半分、青い。」はNHK総合で月~土曜午前8時ほかで放送。全156回を予定。

 <プロフィル>

 さとう・たける 1989年3月21日生まれ、埼玉県出身。ドラマは「ROOKIES」(08年)、「メイちゃんの執事」(09年)、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(10年)、「天皇の料理番」(15年、主演)などに出演。映画は「るろうに剣心」(12年、14年、主演)シリーズ、「バクマン。」(15年、主演)、「世界から猫が消えたなら」「何者」(16年、主演)があり、17年は「亜人」「8年越しの花嫁 奇跡の実話」にも出演。また、18年は「いぬやしき」「ハード・コア」「億男」が公開予定。

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