女優の吉田羊さんが、村上春樹さんの短編作品を実写化した映画「ハナレイ・ベイ」(松永大司監督、10月19日公開)で主演を務めることが10日、分かった。映画には「GENERATIONS from EXILE TRIBE」の佐野玲於さん、俳優の村上虹郎さんも出演する。
映画は、村上春樹さんが2005年に発表した「東京奇譚集」(新潮文庫)の一編「ハナレイ・ベイ」が原作。サーフィンに明け暮れる思春期の息子と、シングルマザーで彼を育ててきた母親サチの姿を描く。米ハワイのハナレイ・ベイで一人息子をサーフィン中の事故で亡くしたサチは、10年間、毎年息子の命日の頃にハナレイ・ベイを訪れ、ビーチの近くの大きな木の下で海を見つめ過ごしている。その矢先、サチは若い日本人サーファーから“片脚の日本人サーファー”の存在を聞かされる……というストーリー。
吉田さんはサチ、佐野さんはサチの息子のタカシ、村上虹郎さんはサチがハナレイ・ベイのビーチで出会う日本人サーファーの高橋を演じる。映画にはそのほか、佐藤魁さん、栗原類さんも出演する。
◇サチ役の吉田羊さんのコメント
読書が苦手だった私が、初めて一気に読んだ本が(村上春樹さんの小説の)「ノルウェイの森」でした。ページを手繰る手ももどかしかったあのムラカミハルキの作品世界にしかも映画で自分が生きられる、これ以上の幸せはありません。以前からご一緒したいと切望していた松永監督の現場は、厳しさと真剣さと愛であふれていて、文字通り、監督と一緒に闘い作り上げた主人公サチは、もはや本の中の登場人物にとどまらず、ありありとした痛みを伴い実在する非常に生々しいヒロインになりました。恐らく、私がこれまで演じてきたどの役にもない生命力をサチは持っています。
静謐(せいひつ)ながら雄弁なカウアイ島の自然の中で「喪失」と向き合い、もがき苦しみながらも声を上げることすらままならない彼女の深い悲しみの先の、ふっと小さく生まれる救いのような希望のような何かを、日本そして世界中の皆様と共有したいと願っています。村上春樹さん、松永大司監督、この映画に関わった全ての皆様に感謝を込めて。
◇タカシ役の佐野玲於さんのコメント
世の中にたくさんの名作を発信し続けてきた村上春樹さんの物語の映画化ということで、その作品に携わることができてとても光栄です。村上春樹さんの作品は人の心と記憶に残る作品で、このハナレイ・ベイの“希望の物語”というところをたくさんの方々に伝えられるよう、意識して作品に入らせていただきました。家族、友人、恋人どの世代においても、生きている上で人それぞれ一番大切な人に会いたくなるような、その人への思いがより深くなるような、そんな物語です。人と人の心の話、そしてハナレイ・ベイの大自然が織りなす風景の美しさを、ぜひ劇場でご覧ください。
◇高橋役の村上虹郎さんのコメント
ハナレイ・ベイでならサメに食べられてもいいんじゃないかと思うほど、カウアイ島の自然は美しくて神聖でしたが、絶対ダメです。サメは怖いです。高橋はなかなかつかみどころのないモテたくてサーフィンをやっているような大学生ですが、時に熱い男で、相棒の三宅を演じた佐藤魁は本当にワンダフルナイスガイなので面白いコンビになっていると思います。
ウナギノボリ
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