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椎名桔平:ダークな主人公「飾らない男のたくましさ感じた」 ドラマ「不発弾~ブラックマネーを操る男~」主演

テレビ
「連続ドラマW 不発弾 ~ブラックマネーを操る男」に主演する椎名桔平さん

 俳優の椎名桔平さん主演のドラマ「連続ドラマW 不発弾~ブラックマネーを操る男~」(星野和成監督)が10日からWOWOWでスタートする。相場英雄さんによる小説「不発弾」(新潮社)が原作で、大手電機メーカー・三田電機産業による巨額の粉飾決算の裏で暗躍する一人の男の半生を描く社会派ヒューマンサスペンス作。主人公の金融コンサルタント・古賀遼を演じる椎名さんに、古賀という男の魅力や役作りなどを聞いた。

 「不発弾」は、金と男にだらしない母親の下、貧しい炭鉱町で妹と育った古賀は、東京の証券会社に入社。やがて、ある出来事を機に欲深い人間たちに復讐を始め、証券業界、経済界の陰の立役者にのし上がっていく……というストーリー。古賀を追って不適切会計の真相を暴こうとする警視庁捜査2課管理官・小堀弓子に黒木メイサさん、三田電機産業相談役・東田章三役で宅麻伸さん、和装小物店を営みながら古賀と暮らす内縁の妻・村田佐知子役で原田知世さん、古賀を証券マンに育て上げた元上司・中野哲臣役で奥田瑛二さんも出演する。

 ◇朝は「ヤング」で夕方からは白髪混じり

 「幸せではない生い立ちにドキッとさせられましたね」。開口一番、椎名さんから出てきた言葉がそれだった。椎名さんが演じるのは、金融コンサルタントの古賀。貧しい炭鉱町で育ち、不幸な生い立ちを背負った古賀は、妹を幸せにしたい一心で上京、東京の証券会社に入る。しかし、ある出来事を経験したことで、強欲な人間たちへの復讐(ふくしゅう)を始める。そのかたわらで、経済界の影の立役者に上り詰めていくという重層的な役柄だ。椎名さんは古賀の29歳から58歳までを演じている。

 約30年という長いスパンを“生きる”に当たって、「その時代背景と共に、自分の成長度合いを見つめながら演じていく」という「高いハードル」を課せられたわけだが、「その分、やりがいがある」と語る。今作は、原作もそうだが、現在と過去を往来しながら物語が進む。撮影現場では「朝起きたらちょっとヤングで(笑い)、夕方からちょっと白いものを(髪の毛に)入れる。そういうことが、1日のうちに2~3回あったりする」そうで、それは「今まで演じたことのない」ものであり、「メークさんも大変ですけど、僕も頭の中で整理するのが大変です」と苦笑交じりに明かす。

 撮影に入る前には、自分が今、何歳の古賀を演じているのかが分かるように年齢表を作ってもらった。そうすることで、「(古賀としての)あり方とか、相手に対する振る舞い方、言葉遣い、そういうものが不思議とスライドしていった」という。

 ◇三浦貴大に託した青年時代

 椎名さんは、演じる古賀を「ある種、ピュアな部分を持ち続けている人物」と評し、「グレーゾーンの仕事にも随分介入していくのですけど、決して自分の成功のためではない。もともとは妹のためで、今の成功を楽しんでいるという人間ではないのです」と擁護する。さらに、「お金に執着心があるわけでもない。そこが今回の古賀遼という人間の興味深さというか面白さ」であり、「自分を飾らないでずっと生きていける男のたくましさとか、推進力の強さとか純粋さとか、そういうところが僕には非常に魅力的に映りました」と語る。

 古賀の青年時代は、俳優の三浦貴大さんが演じる。同一人物を演じる上で三浦さんとは特にすり合わせはしなかったというが、事前に話し合うことで、互いの演技に「縛り」が生まれることを懸念したからだ。そのため、若いころの古賀は、「信頼して三浦君に託して」、完成するドラマが「楽しみですよ」と目を輝かせる。

 ◇自身の「人間力」は「恥ずかしくて口にできない」

 古賀は、決して清廉潔白な人間ではない。しかし不思議と周囲の人間は彼に吸い寄せられていく。それは古賀が持つ「人間力」のお陰だが、演じる椎名さん自身は「自分が人間力のある人間ではないと思っているので、今さら遅いなと思いながら(笑い)、どうやって人間力を作ろうか」と、また「古賀とは違う人間力があったとしても、それをどう出さないかとか、どう見せないかとか、そういうことを最初に考え」ながら演じていたという。

 その言葉を受け、椎名さん自身の人間力をたずねると、「それはもう、至らない人間力なので、お恥ずかしくて口にすることはできないです」と笑う。「僕は、古賀のような人生を歩んでいませんし、妹もいませんし、母のことも憎んでいませんし、そういうことも含めて、環境的にはないないだらけといいますか。そういう中で自分がないものを作るのは想像でしかできませんから」と答えた上で、「古賀という人間の、持っている、感じる、彼に同調できる自分というものをすごく大きくしていく。うまく言えないのですけど、そういう作業をする」ことで、自分の中の古賀という人間像を膨らませていったと説明した。

 ◇10年後はラーメン店主?

 古賀の30年間を、想像力を駆使して演じていったわけだが、では、自身の10年後を想像することはあるのだろうか。すると、俳優という仕事については「なんの保険も保障もない世界ですから」とした上で、「本当にだめになったときにね、何かできることを考えておかないとね」とちゃめっ気たっぷりに話し、今回、共演しているデビット伊東さんが、ラーメン店の経営者としても成功していることから、将来の身の振り方について、「デビちゃんにラーメンの作り方を教えてもらったりするとか、いろいろね(笑い)。本当に役者なんて分からないですから。皆さんに盛り上げてもらって、1年でも続けられるようにね……よろしくお願いしますよ(笑い)」と、本気とも冗談ともつかない言葉で場を盛り上げた。

 その一方で、「上の世代の役がもっと増えてくると思います。そういう役(のオファー)が増えるということではなく、その役を楽しめるような役が増えるのではないかと思います。例えば米国だったら、(クリント・)イーストウッドさんとか、メリル・ストリープさんとか、年齢を重ねることはすてきなことなんだと思わせてくれるような作品がいっぱいあるじゃないですか。日本ではそういう作品がまだ少ないと思います。もっともっとそういう作品が増えるべきだし、高齢化に伴って増えていくのではないかと。そういうときに自分が、もっとキャリアを積んだ中で、素晴らしい方々といい作品が作れるのであれば、それが10年後かもしれないし、そのときにいいお芝居をできるように、またさらに今から俳優修業を続けていかなければいけないなと思いますね。よろしくお願いします!」と頭を下げた。

 そして顔を上げ、「くれぐれも(ネットで)『炎上』するようなことだけはしない(書かない)でくださいね(笑い)」と念押し。それに「『不発弾』を仕掛けるようなことはしません」と応じると、「そうそう、お願いしますよ!」と爽やかな笑顔で去っていった。「連続ドラマW 不発弾~ブラックマネーを操る男~」は、10日から毎週日曜午後10時にWOWOWプライムで放送。全6話。第1話は無料放送。

 <プロフィル>

 しいな・きっぺい 1964年7月14日生まれ、三重県出身。主な出演映画に「ヌードの夜」(93年)、「不夜城」(98年)、「溺れる魚」(2001年)、「アウトレイジ」 (10年)、「謎解きはディナーのあとで」(13年)、「映画 暗殺教室」(15年)、「秘密 THE TOP SECRET」 (16年)、「新宿スワンII」(17年)、「THE OUTSIDER」(18年/Netflixで配信)。待機作に「劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-」(7月27日公開)、「走れ!T校バスケット部」(11月3日公開)がある。東京・新国立劇場で上演される舞台「レインマン」(7月20日~8月4日)に出演する。

(取材・文・撮影/りんたいこ)

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