女優の新垣結衣さんと俳優の松田龍平さんがダブル主演する連続ドラマ「獣になれない私たち(けもなれ)」に出演中の犬飼貴丈さん。8月末まで放送されていた特撮ドラマ「仮面ライダービルド」で、天才物理学者・桐生戦兎(仮面ライダービルド)役を務めた犬飼さんだが、「仮面ライダービルド」後、初の連ドラレギュラーとなった「けもなれ」では、ダメ社員の上野発として“新たな顔”を見せている。仮面ライダーという言わずと知れた「ヒーロー」から華麗なる“変身”を遂げた犬飼さんの俳優としての魅力とは……。
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「けもなれ」は、ヒット作「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」(共にTBS系)などで知られる脚本家・野木亜紀子さんのオリジナル作。理想の女性を演じるために身を削って努力している深海晶(新垣さん)と、世渡り上手の毒舌男・根元恒星(松田さん)が本気でぶつかり、傷つきながらも自分らしく踏み出す姿を描く。
犬飼さんが演じている上野発は、晶が勤務するECサイト制作会社「ツクモ・クリエイト・ジャパン」の新人営業マン。10月10日の第1話から登場すると、オドオド、キョロキョロとどこか挙動不審で一切、戦力にならず、取引先との会食では居眠りと、ただでさえ手いっぱいの晶の足を引っ張るばかり。
さらに第2話では、大事な書類を持ったまま出社拒否を決め込み、会社の一大事に仕方なく家まで様子を見にきた晶に対しては、(自分のモチベーションのためという身勝手な理由で)「好きになってもいいですか」と告白。その後も、相手の都合(特に晶の)はおかまいなしの“傍若無人”ぶりとダメさ加減で、物語のちょっとしたスパイスとなっている。
福田雄一監督が演出を手掛け、日本テレビで2017年1月期に放送された連続ドラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」で犬飼さんが披露した演技を見て、「けもなれ」の上野発役に起用を決めたという松本プロデューサー。
「もちろん『仮面ライダービルド』でカッコいい仮面ライダーを演じていたのは知っていましたが、カッコいい役の後にカッコいい役ではなく、ものすごく違う役をやってもらった方が彼の可愛らしさや親しみやすさが出ると思った。上野発は晶のことを崇拝していて、パブリックイメージの晶が好き。いろいろ悩んでいる晶にとって救いの存在になるかと思いきや、全くとんちんかん。犬飼さんの親しみやすい笑顔を生かすには、これぐらい違う役をやってもらったほうが面白いと思ってオファーをした」とも明かしている。
結果、松本プロデューサーのもくろみは見事に成功。“ギャップ萌え”したファンから「犬飼くん、ダメ社員じゃ~ん」「ダメ社員の犬飼くんが癒やしのドラマ」「犬飼くんのダメ営業役めっちゃ似合う」などと温かい視線が注がれている。
松本プロデューサーによると、犬飼さんは「けもなれ」の撮影現場でも「すごく可愛がられている」という。ドラマの第1話には松本プロデューサーの言葉を裏付けるように「ベストマッチラーメン」が登場。SNSでは「犬飼くんが食べてたカップラーメンに『ベストマッチ』って書いてあった!」「犬飼くんが食ってるラーメン、ベストマッチラーメン!」「犬飼くんが食べてるカップ麺、赤と青パッケージに『ベストマッチ』ってある」と大きな盛り上がりを見せた。
「ベストマッチ」とは、桐生戦兎(犬飼さん)が仮面ライダービルドに変身するのに必要な2本のボトルのベストな組み合わせ(=ベストマッチ)を指す。ファンから「まさかの小ネタにビビったわ」「気づいて、なんかうれしくなった!」「美術さんなのかな? ありがとう!」との声も上がったが、松本プロデューサーは「脚本に指示があったわけではありません。うちのスタッフが犬飼さんがライダーだと知っていて、本番での遊び心というだけです」と真相を明かしている。
これは犬飼さんがファンとスタッフ双方に愛されている証拠だろう。この先も犬飼さんは、ヒーローからダメ社員までこなせる演技の幅と親しみやすさで多くの視聴者を魅了してくれるに違いない。