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昭和元禄落語心中:岡田将生に八雲の“人生”を託した理由 ドラマPも絶賛の「受け芝居」

テレビ
連続ドラマ「昭和元禄落語心中」の一場面 (C)NHK

 落語に魂をささげた人々の姿を描いた雲田はるこさんの人気マンガを、俳優の岡田将生さん主演で実写化した連続ドラマ「昭和元禄落語心中」(NHK総合、金曜午後10時)。原作は累計200万部突破の人気作で、テレビアニメも話題となったが、実写ドラマもSNSなどで「期待以上の出来」「全てのキャストが素晴らしい!」と称賛の声が上がっている。岡田さんが主人公・八雲を10代から老年期まで一人で演じることも注目を集めているが、制作統括の出水有三さんは「岡田さんにお芝居の中で八雲のつらさや痛みを演じてもらって、最後にどういう姿を見せてくれるのかをやってもらいたかった」と明かす。岡田さんの起用理由やドラマについて聞いた。

 ◇人の思い、芸をつなぐドラマは「大河のようでもある」

 「昭和元禄落語心中」は、女性向けマンガ誌「ITAN(イタン)」(講談社)で雲田さんが連載した同名人気マンガが原作。昭和を舞台に、孤高の大名人・八代目有楽亭八雲(前座名・菊比古)や、そこへ押しかけて弟子入りした与太郎、八雲の盟友で希代の名人とうたわれた助六、八雲と助六を見守る芸者・みよ吉、助六とみよ吉の忘れ形見の小夏といった個性的なキャラクターが登場する。ドラマでは、竜星涼さんが与太郎、山崎育三郎さんが助六、大政絢さんがみよ吉、成海璃子さんが小夏をそれぞれ演じている。

 出水さんは、原作の魅力を「人間模様」といい、「何代にもわたる話で、人の思いや落語の芸を人から人へとつないでいくドラマ。一人では完結しない物語」と語る。ドラマの第1話の老年期の八雲は弟子を取らず“落語と心中する”という思いを持っていたが、与太郎を弟子として迎え入れる。第2話から第5話までは八雲が孤独であることを選ぶに至った助六、みよ吉との過去が描かれてきた。

 出水さんは「八雲が助六やみよ吉からもらったものはすごく宝物でもあるけれど、それゆえに自分の中でも傷として残った部分がある」と説明し、「それをどういうふうに八雲が処理していくのか。一人だったら彼は孤高のままで終わる。ただ、下の世代である与太郎や小夏という自分の心をざわつかせる存在がいることで変わってくる」と語る。

 落語に関しても、スペインのサグラダ・ファミリアを手がける職人を例に挙げて「ヨーロッパの教会建築は、自分の代では終わらない仕事をやっている。自分が完成することはできないのに少しずつやっている。落語も芸をつなぐという意味では似ている」と話し、人の思いがつながっていくさまを描き、芸をつなぐ落語をテーマとした今回のドラマを「大河のようでもある」と語る。

 ◇八雲の人生を「一人の役者さんに表現してほしかった」

 そんな物語の中心にいる八雲の生涯を演じる岡田さんに対し、出水さんは「非常に難しいことをお願いしたと思っている」と話す。「青年期と老年期で役者を分けたほうがいいんじゃないかという声もあるでしょうし、分けるのは簡単なんです。ただ、この作品の面白いところは、人がある思いをつないでいくところ。だからこそ、八雲の若い頃の屈託や助六に対する嫉妬、みよ吉に対する思いを岡田さんにお芝居の中で感じてもらって、最後にそれをどうやって清算するかを一人の役者さんに表現してほしかった」と思いを明かす。

 出水さんは、映画「天然コケッコー」(2007年)の頃から岡田さんのことが気になっていたといい、特に近年の演技を「すごく自然で、作った芝居をあまりしていない。非常にいいお芝居をやっている」と表現し、岡田さんなら八雲を「できると思った」という。

 八雲役の難しさは、大名人の落語を表現すること、青年期から老年期までの芝居、そして「受け芝居」であることだという。「八雲役は、相手が行動してそれに応えるようなお芝居が多い。これは結構フラストレーションがたまると思うんです。彼ぐらいの年齢は全身を使って感情を表現するような芝居がしたい年ごろだと思う」とその苦労を想像する。そんな難役を演じきる岡田さんの努力を出水さんは絶賛している。

 ◇岡田将生の“しな”の美しさ 老年期の脱力感

 また、視聴者から「引き込まれる」「落語のシーンが本格的ですごい」「回を重ねるごとにうまくなってるのがすごい」といった声が上がっている落語シーンについても、出水さんは「岡田さんは体はがっしりしていて男らしいのですが、女役をやるときのしなの作り方、曲線がちゃんとできている」と話す。老年期を演じる際には「うそにならないというか、重力に逆らわない脱力感が出ている」とその魅力を表現した。

 実写化をする上では、「雲田さんの原作に外見を似せるのではなく、原作の精神を、気持ちや思いをどうやってのせるかを考えた」という出水さん。また、落語シーンについては「落語は所作や言葉の波動など寄席に行って分かることも多い。実写では人間の汗も見える。アニメやマンガとはまた違った『伝わるもの』があるはず」とこだわりを語る。たしかに、ドラマの八雲からは生々しいほどの色気と切なさ、落語への情熱が伝わってくる。岡田さんが生きる八雲の人生を最期まで見届けたい。

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