歌手で俳優の福山雅治さんが、主演映画「マチネの終わりに」(西谷弘監督、11月1日公開)のメインテーマ曲「幸福の硬貨」を演奏することが6月18日、分かった。福山さんは本楽曲で、クラシックギターに人生で初挑戦。クラシックギター奏者の福田進一さんからアドバイスを受け、本番までの約3カ月間、練習に励んだ。
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映画は、渡辺淳一文学賞を受賞した平野啓一郎さんの同名小説が原作。天才ギタリストとして名をはせるも、現状の演奏に満足ができずに、自分の音楽を見失っているという苦悩を抱える、天才クラシックギタリストの蒔野聡史(福山さん)と、フランスの通信社に所属するジャーナリストの小峰洋子(石田ゆり子さん)の40代の2人が、6年間でたった3度の出会いの中で悩み、愛し合っていく物語。福山さん主演の「ガリレオ」シリーズや、映画「昼顔」などを手がけた西谷さんが監督を務める。
福山さんが奏でる「幸福の硬貨」は、映画「昼顔」「アマルフィ 女神の報酬」など数々の映画サウンドを手掛けてきた菅野祐悟さんが、本作のために書き起こしたクラシックギターのオリジナル楽曲。劇中では、蒔野がギターを好きになるきっかけの曲で、20年前に行われた蒔野のデビューコンサートで披露され、洋子が偶然鑑賞。2人の“出会い”の曲という、重要な劇中曲になるという。
僕が今まで自分なりにやってきたアコースティックギターやエレキギターとは、全然違うもので、大変勉強になりました。福田さんのアドバイスの元、クラシックギターの弾き方、押え方を学べたことで、自分の音楽にフィードバックするものがたくさんありました。「クラシックギターでの弾き語り」という演奏スタイルも、さっそくライブに取り入れさせていただいております。
これからの音楽人生でクラシックギターを演奏する時、蒔野聡史というギタリストはずっと自分と共にいて、同時に、競うべきライバルになってゆくのだと思います。
福山さんがミュージシャンとして普段、手にするギターと、クラシックギターは似て非なるもの。その演奏方法の全てが別物でした。それを本番までのたった数カ月で習得するのは絶望的。それでも挑む福山さんを横目に、僕はギタリストの吹替を用意するよう、スタッフに頼みました。福山さんは爪を何度も割り、関節を痛めながらもクラシックギターとの格闘の日々が続きました。結果、心配には及ばず福山さんは100%クラシックギタリスト蒔野聡史と化しました。ぜひ、映画館で皆さんの目と耳で確かめて頂けたらと思います。
同じギターとは言え、ロックとは全く異なるクラシックギターの奏法を限られた時間の中で習得するのは、大変な根気と努力のいる作業だったと思いますが、福山雅治という、天性の音楽家としての勘の良さ、学ばれる時の集中力の高さには目を見張らせるものがありました。その結果として、理想の天才クラシックギタリスト蒔野聡史が誕生したと思います。
この映画で最も重要な音楽は菅野祐悟さん作曲の「幸福の硬貨」です。この哀(かな)しさと切なさの中にも、凛(りん)とした清々(すがすが)しさを感じさせる旋律を福山さんは見事に演奏されています。その音色は実に暖かく人間味に溢(あふ)れており、やはり福山さんは根っからの音楽家なのだな……と感心させられました。
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