オクラ~迷宮入り事件捜査~
第11話 バディ終焉!最後のねつ造
12月17日(火)放送分
宮藤官九郎さんが脚本を手掛けるNHKの大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」は10月27日放送の第40回「バック・トゥ・ザ・フューチャー」から、ついに最終章に突入する。“東京”と“オリンピック”をテーマに描く、33年ぶりの近現代大河となった同作。日本で初めて五輪に参加したマラソン選手の金栗四三(かなくり・しそう)、「東京オリンピック」実現に執念を燃やす政治記者・田畑政治(たばた・まさじ)という2人の主人公を長きにわたり演じてきた、中村勘九郎さんと阿部サダヲさんにドラマを振り返ってもらった。
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大河ドラマとしては、1986年の「いのち」以来33年ぶりに近現代史を取り上げた「いだてん」で、阿部さんが得たのは「知る楽しさ」だったという。「僕自身、知らないことが結構あって。こうやってオリンピックが東京にやって来たんだって、すごく勉強になったし、知ることでまた面白くなった。『5・15』『2・26』とか、そこに田畑さんがいたということも知らなかったし、知るってことは楽しいんだな」と実感する。
勘九郎さんも阿部さんと思いは同じで、明治の終わりから戦後復興までの近現代を「僕たちのように今を生きる人間が一番学んでおかなければならないところ」と話す。加え、この「いだてん」は、勘九郎さん個人のスポーツの見方、捉え方の変化にも影響を及ぼしたようで、「運動の苦手だった僕がこの作品で走る楽しさを知りましたし、来年、東京に2回目のオリンピックが来ますけど、選手の一瞬にかける思い、プレッシャーというものに対してはすごく気を使うようになりました」と告白する。
さらに勘九郎さんは「そういった意味でも、過剰な報道とかあまりしてほしくない」との思いを抱き、続けて「僕も作品とはいえ、オリンピック前とか白髪が増えましたから」と、身をもって知った重圧の大きさを明かすと、阿部さんも「『何が何でも金メダル』『全種目制覇』と言ってはいけないですよね。それでダメになってしまうこともあるだろうし。ああいった発言は良くないってことも勉強になりました」と、第29回「夢のカリフォルニア」(8月4日放送)での田畑の「一種目モ失フナ」発言を反省していた。
阿部さんにはもう一つ“反省”することが。「僕、ドラマが始まる前に『日曜の夜に笑いが起こると思う』と言っていたんですけど、感想を聞くと『泣けた』っていう人がすごく多くて、そこは間違っていたなって」と認識。「笑いが多いイメージがあったというか、こんなに泣ける話とは思わなかったので……。ドラマを見て泣いたってことを直接言ってくれる人も多かったので、そこはびっくりしましたね。僕も台本を読んでいて、実際に泣けるってシーンがいっぱいあったし、そこは意外だったというか、宮藤(官九郎)さんにはいい裏切りをもらいました」と感心する。
さらには「『いだてん』ってオリンピックに関する話じゃないですか。宮藤さん、そんなにはスポーツを見ていないと思っていたから、(日本人女性初のオリンピック選手の)人見絹枝さんの回(7月7日放送の第26回)とか、アスリートを描いて泣けるシーンを宮藤さんが書いたっていうのは驚きました。アスリートを応援して泣いちゃうような、宮藤さんの中にはこういう気持ちがあるんだって」と、新たな発見もあったようだ。
勘九郎さんも「毎回毎回、面白いんですけど、優しいなって思います。これ以上泣いたら疲れちゃうなってところで、和らげてくれる笑いが最後に来るので。やっていても、いろいろな方向に感情を揺さぶってくれるというか、それは生きていて当たり前のことなんですけど、それが必ずお話の中に入ってくるので、やっていて楽しいですし、見ていても毎回すごく楽しい。もう終わっちゃうのかって寂しくもなります」と語っていた。
撮影期間が1年半にも及んだ「いだてん」は、時代の幅もあってか登場人物の多さ、キャストの多彩さも特徴で、勘九郎さんが抱いた印象は「和製アベンジャーズ」。ハリウッドの人気ヒーロー映画を引き合いに語りたくなるほどの豪華さで、いよいよ「1964東京」実現へと向かう最終章にも、新キャラが続々投入される。
「ミュージシャンがいて、お笑いの人がいて、役者がいて、歌舞伎俳優がいて、それにアスリートの方も。いろいろな人とご一緒できたのも、この作品で得たものですね」と話す勘九郎さんは、「僕、ヒザが悪いんですけど、走ってると本当に調子が良くて。歌舞伎のけいこをしている方がヒザにくる。だからヒザのためにも走り続けたいし、フルマラソンもどこかでこそっと走ってみたい」と、この先も走り続けることを誓う。
阿部さんも「普段の大河ドラマと比べても、出演する役者の数がとにかく多かったと思うんですね。なかなか会えない方とお芝居できたのは自分にとって良い経験になりました。もうお芝居することがかなわない方、ショーケンさん(今年3月に亡くなった俳優の萩原健一さん)ともご一緒できたことは、自分の中に残るものですね」としみじみと話していた。
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