少年寅次郎:最終話の見どころは“クズおやじ”の平造? 井上真央の「一番、印象深いシーン」は…

NHK「土曜ドラマ 少年寅次郎」第5話の一場面 (C)NHK
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NHK「土曜ドラマ 少年寅次郎」第5話の一場面 (C)NHK

 女優の井上真央さん主演のNHK連続ドラマ「少年寅次郎」(総合、土曜午後9時)の最終第5話が11月16日に放送される。国民的映画シリーズ「男はつらいよ」の主人公・車寅次郎(寅さん)の少年時代を題材にした、山田洋次監督の小説「悪童(ワルガキ) 小説寅次郎の告白」(講談社)のドラマ化で、母子の絆を描く泣き笑いの物語。視聴者から「温かくて泣ける」「久しぶりに純粋に泣ける」「こんな泣けるドラマが5話で終わってしまうの本当にもったいない」といった声が多数上がっていたが、最終話の見どころは……。

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 ◇平造が「本当はどんな人間なのか分かる」最終話

 「少年寅次郎」は、寅次郎出生の秘密から、戦争を挟んだ悪ガキ時代、そして最愛の妹・さくらに見送られて葛飾柴又の駅から旅立つまでの物語。脚本は、2017年度前期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ひよっこ」などで知られる岡田惠和さんで、井上真央さんは寅次郎の育ての母・車光子を演じている。

 最終第5話は、光子がしきりに腰を押さえるようになり、車家の人々は心配でならないのに、平造(毎熊克哉さん)だけは知らん顔。そんな父が許せない寅次郎(井上優吏さん)は……。さらに寅次郎は、香具師(やし)の政吉という男と知り合い、いよいよ車家の人々の運命が動き出す……という展開だ。

 制作統括の小松昌代さん(NHKエンタープライズ)がまず見どころに挙げるのが、寅次郎の父・平造について。ここまで寅次郎を疎ましく思っているのが、態度にありありと出ていて、「ダメおやじ」を通り越して「クズ」とも呼べそうな男として描かれてきたが、「平造が本当はどんな人間なのか。寅に対してや、妻(光子)、家族に対して、本当はどんな思いでいたのか。そこには複雑な胸中があるんですけど、そういうことが分かる最終話でもある」と語る。

 前週第4話までは、寅次郎に対する憎まれ口があまりにもひどすぎて、視聴者から非難が集中していたが、最終第5話では平造の人間性にも改めてスポットが当てられ、「何となく、視聴者の皆さんにも感じ取っていただければいいなって思っています」と小松さんは願いを明かしてる。

 ◇井上真央が肌で感じた寅ちゃんの成長 「芝居をしながら泣きそうに」

 最終第5話には、光子が寅次郎におぶわれるシーンもあり、予告でもドラマを象徴する場面として映し出されていた。小松さんによると、光子役の井上真央さんが「一番、印象深いシーンに挙げていた」といい、「真央ちゃんはそのとき、寅ちゃん(井上優吏さん)の背中がすごく大きく感じたようで、『成長を肌で感じて、芝居をしながら泣きそうになりました』と言っていました」と告白。さらに「光子には成長していく息子に対する戸惑いみたいなものがあって。光子としての思いがどんどん増していく芝居を見事にやってくれたと思っている」と感心する。

 また、同シーンの台本のト書きは、「光子、照れくさいのと。そして、頼もしいのと。誇らしいのと。やっぱり照れくさくて。涙出てきてしまって。」と独特の書き味で複雑に心情がつづられていたといい、「(脚本家の)岡田さんによると『こんなふうに思いますけど、どうでしょうか?』と(役者に)投げかけているらしいんですけど。この要求が話が進むにつれ、どんどんと高度になっていって。それに応えることをすごく大事にして、考えてやっていたんだろうなって私は思います」と井上真央さんをはじめとするキャスト陣に感謝。

 第5話ではそれ以外にも、「語らずして何かを伝えようとする芝居」を求められるシーンも多く、「知らんぷりしたり、気づかないふりをしたり、芝居を打ったりと、(登場人物が)相手を思ってすることなんですけど、そういったときに無言でどう表すのか。今まで積み重ねてきたからこそできる芝居でもあるので、視聴者の皆さんにも楽しでもらえたら」と小松さんは語っていた。

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