ライオンの隠れ家
最終話 僕たちの新しい始まり
12月20日(金)放送分
「今は、登ろうと思っている山道の入り口ぐらい。40(歳)になっても、50になってもそうですよ。『頂上までに何が必要かな?』と準備している。たぶん、ずーっとそこ(入り口)だと思います」。役者としての“現在地”をこう表現したのは、俳優の塚本高史さん(37)だ。1997年にテレビドラマ「職員室」(TBS系)でデビューして以来、途切れることなく数々の作品に出演し続け、今や実力派俳優として存在感を示している。先月37歳を迎え、「そのとき、そのときの流れに逆らわずに生きたいなとは思っています」と話す塚本さんに、転機となった作品や、デビューから20年以上となった役者人生について聞いた。
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塚本さんは、1982年10月27日生まれ。東京都出身。A型。テレビドラマには、デビュー以来、毎年出演しており、「木更津キャッツアイ」(TBS系)、「マンハッタンラブストーリー」(同局系)、「結婚できない男」(カンテレ・フジテレビ系)、「刑事7人」シリーズ(テレビ朝日系)、「ホリデイラブ」(同局系)といった数々の話題作に出演。映画作品にも数多く出演している。特技は、サッカー、ギター、スノーボードで、信条は「現場を楽しむ」。
今クールでは、「まだ結婚できない男」(カンテレ・フジテレビ系、火曜午後9時)に出演中。前作「結婚できない男」の時に23歳だった塚本さんが演じる村上英治は、阿部寛さん演じる桑野のアシスタントだったが、13年の時を経て、今回の続編では桑野の事務所の共同経営者となった。
11月19日放送の第7話では、桜子(咲妃みゆさん)との結婚をなかなか桑野に報告しない英治の様子が描かれた。英治の「桑野さんにはちゃんと俺たちの結婚に賛成してほしいんだよ」というセリフもあった。塚本さんは、「英治くんも13年間結婚できていなかったので、どうなっていくのか……。今回で完結とは思っていないけど、(結婚しないと)英治的にも区切りができないというのがある」と話す。
10月27日に37歳となった塚本さんに抱負を聞くと、「仕事面だと、切れ間なく毎年やらせていただいているし、年は重ねていくんだけど、『あ、この年でこれ来たか』とか、自分自身びっくりさせられるようなお仕事をいただけるので、流れに乗って来たものを僕がやったら、より面白くなれるようにやっていければ」と話す。
転機となった作品に、中学生同士が殺し合う様子を描き、藤原竜也さん、栗山千明さん、柴咲コウさんといった現在も活躍する実力派俳優陣が出演した映画「バトル・ロワイアル」(2000年、深作欣二監督)を挙げた塚本さん。優れた頭脳と行動力で脱出を目指した三村信史を演じたが「(当時は)そこまで芝居がしたいとか、役者で食っていきたいというのはまったくなかったので、まわりに同世代がいて、すごい熱を持ってやっている子たちがいたりしたので、『あ、負けてられないな』と思わせてくれた作品にもなったのが、転機だったと思うし、その後に『木更津キャッツアイ』とか転機だったんじゃないかな」と振り返る。「まあでも、やらせてもらった役全部、真面目にというか、正面から向き合ってやっていたので、すべて僕の中でなくてはならなかったものだと思っています」と続ける。
同世代の役者の活躍について、「全然気にしない」と語る塚本さん。「僕と同じ芝居はできないだろうし、僕らが彼らみたいな芝居をまねすることはできないだろうし。彼らも10代からやってきていて、それぞれ個性があると思うから、たまーにチャンネルつけたときに……チャンネル、って今言わないのか(笑い)。出ていたら、ちらっとは見るかもしれないですけど、意識して『あいつがこれ出てるから見よう』というのは全くない」と話す。
その姿勢は、10代、20代の頃から変わらないといい、「周りは周りだと思っているし、自分は自分。それは変わらない」と話す。役者として大切にしていることを「そのとき、そのときの流れに逆らわない」と話し、「10代の頃は10代の頃だし、20代の頃は20代の頃だし、30代の今だし、40代の未来がきっと待っているし。『40代がこうならないために、こうしておこう』というのがすごい嫌で、流れに身をまかせていきたい」と話す。
記者が「演じることは楽しいですか?」と聞くと、「そうですね。毎回、高い山ほど、登り切ったり、越えられたりしたときには達成感を感じる」と明かした塚本さん。「今、前に出てくる山を、ちっちゃくても、高くても乗り越えていく。それを楽しんで越えていくってことの連続ですよね」と語り、「現場を楽しむ」を信条とする塚本さんならではの姿勢を垣間見せた。
自身の現在の立ち位置については、「ずーっと山道の入り口」と表現。「この山を登るために何が必要かっていうことを、皆から情報を得たり、自分で何か感じたりして、それを鞄につめていっているような……」と話す。
「それがきっと自分の引き出しにもなるし、人生の引き出しにもなると思うので、たぶん死ぬまで続くと思う。死んでから山を登り始める(笑い)。俺はずっと入り口にいて、死ぬまで準備をしていると思いますね」
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