注目映画紹介:「ラストレター」岩井俊二ワールド全開 松たか子、広瀬すず、福山雅治…オールスターキャストで心の機微を繊細に描く

映画「ラストレター」の場面写真(C)2020「ラストレター」製作委員会
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映画「ラストレター」の場面写真(C)2020「ラストレター」製作委員会

 岩井俊二監督の最新映画「ラストレター」が1月17日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。「Love Letter」「スワロウテイル」などの名作を世に送り出した岩井監督が、自身の出身地・宮城を舞台に、手紙の行き違いがきっかけで始まる二世代の男女の恋愛模様と、心の再生や成長を描くラブストーリー。松たか子さん、広瀬すずさん、福山雅治さん、神木隆之介さんら主役級のオールスターキャストが顔をそろえている。それぞれの心の機微を美しく描き出す“岩井節”とも言える演出で繊細な感動作に仕上がっている。

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 宮城に住む岸辺野裕里(松さん)は、姉の遠野未咲の葬儀で、未咲の一人娘の鮎美(広瀬さん)から、未咲宛ての高校の同窓会案内と未咲が鮎美に残した手紙の存在を知らされる。未咲の死を知らせるために裕里が同窓会へ足を運ぶと、姉と勘違いされあいさつさせられる。そこで姉と同学年だった初恋の相手、乙坂鏡史郎(福山さん)と再会し、勘違いから不思議な文通が始まる……というストーリー。

 広瀬さんは未咲の高校時代も演じ、森七菜さんが裕里の高校時代と裕里の娘の颯香を演じている。裕里の夫・宗二郎役は映画監督の庵野秀明さんが演じている。「Love Letter」の中山美穂さんや豊川悦司さんが登場するシーンもある。

 全編にわたり岩井ワールドに包まれ、みずみずしい描写や美しい風景、琴線に触れる音楽などに心を奪われっ放しだった。特に広瀬さんと森さんのみずみずしさ、今しか撮れないきらめきを見事に切り取った描写は秀逸の一言に尽きる。福山さんが無精ひげを生やした落ちぶれた作家を、普段のスターオーラを消し去って演じ切り、新境地を開いている。とぼけた雰囲気の庵野監督の演技は……ぜひスクリーンで確認してほしい。

 インターネットやSNS全盛の時代に、肉筆でしたためられた手紙のぬくもり、すれ違いの妙を、この映画を見ているひと時だけでも堪能したい。森さんの歌う主題歌「カエルノウタ」(作詞:岩井監督)の素朴な歌声にも引き込まれた。(細田尚子/MANTAN)

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