Seventeen:6年間で4人 朝ドラ主演次々輩出のなぜ 「清潔感」「身近感」がカギに

女性ファッション誌「Seventeen」専属モデルとしても活躍する清原果耶さん
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女性ファッション誌「Seventeen」専属モデルとしても活躍する清原果耶さん

 先日、2021年度前期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おかえりモネ」の主演(ヒロイン)を、清原果耶さんが務めることが発表された。清原さんといえば今年2月、映画やテレビドラマなどで活躍した俳優やプロデューサー、作品を表彰する「エランドール賞」で新人賞を獲得するなど、女優としてのイメージが強いが、女性ファッション誌「Seventeen(セブンティーン)」(集英社)の専属モデルという“もう一つの顔”を持っている。近年の朝ドラの主演を振り返ってみると、2015年度後期の波瑠さんに始まり、2018年度前期の永野芽郁さん、2019年度前期の広瀬すずさん、そして2021年度前期の清原さんと、6年の間に4人のSeventeenモデル(STモデル)経験者が抜てきされている。「Seventeen」が朝ドラ主演を次々と輩出できる、その理由を探ってみた。

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 ◇見た目だけではない「清潔感」と親しみ持てる「身近感」

 「Seventeen」は、女子中高生に絶大な人気を誇るティーン向け女性ファッション誌。現在は月に1回発行(毎月1日発売)され、清原さんら14~20歳のモデル25人が在籍している。2008年度前期の朝ドラ「瞳」で主演を務めた榮倉奈々さんをはじめ、北川景子さんや森川葵さん、中条あやみさん、三吉彩花さん、飯豊まりえさんなど、長年にわたって数多くの女優を輩出し、「人気女優の登竜門」とも呼ばれている。

 以前、同誌の鈴木桂子編集長にインタビューした際、“STモデルらしさ”として「清潔感」という言葉を挙げていた。ここでの「清潔感」とは見た目はもちろんのこと、周囲に与える印象も含まれており、「大勢の人間と一緒に仕事をする中で、ちゃんとあいさつする、人を不快にさせない、相手を気遣うとか、そういう当たり前のことができてほしい」という理由から、編集部では「ときにはモデルを呼び出して注意する」ほど礼儀や常識を重んじていると明かしていた。

 鈴木編集長によると、もう一つ、近年のSTモデルに求められているのが「身近感」だという。「すごく憧れの存在でありながら、“身近感”を持っているというのも大事」といい、「もし同じクラスに広瀬すずちゃんがいたら、なれるのかどうかはともかく『友達になりたい』と思うはず。憧れられるのと身近さのバランスというか。その部分が現在の専属モデルの魅力になっている」と当時在籍していた広瀬さんを例に説明してくれた。

 朝ドラの主人公といえば、時に悩み、くじけたりするものの、基本的に夢に向かって真っすぐ突き進む、快活なキャラクターが多く、半年間にわたる“朝の顔”として、役を演じる女優本人の「清潔感」も欠かせない要素だ。また視聴者が、どれだけ主人公に感情移入できるかで、作品の人気も左右されるだけに、単なる憧れで終わらない、親しみを持てる「身近感」というのもカギとなっているはずだ。そういった意味でSTモデルに求められる「清潔感」「身近感」は、朝ドラヒロイン像と合致する部分が大きいのではないだろうか。

 ◇新たなヒロイン誕生も? 注目の次世代女優が在籍

 清原さん以外に、現役STモデルで女優として注目を集めているのが、桜田ひよりさんと秋田汐梨さんだ。子役出身で現在17歳の桜田さんは、連続ドラマ「明日、ママがいない」(日本テレビ系、2014年)のピア美役をはじめ、多数のドラマや映画で活躍し、女優としての経験は豊富。今年4月からは、NHK・Eテレの語学番組「ボキャブライダー on TV」に、葵わかなさん、浜辺美波さんに続く3代目ボキャブライダー(英語攻撃から人々を救うヒーロー)として出演している。

 そんな桜田さんは、2018年に「ミスセブンティーン」に輝き、STモデルの仲間入り。当時の取材で「私は女優として朝ドラのヒロインになるという目標があるので、広瀬すずさんのようにすてきな女優さん、モデルさんになれるように頑張っていきたいと思います」と話すと、昨年1月のインタビューでも、朝ドラヒロインについて「18歳ぐらいまでには(実現したい)」と思いの強さをのぞかせていた。

 桜田さんと同学年の秋田さんは、STモデルの前に、ローティーン向けファッション誌「nicola(ニコラ)」(新潮社)の専属モデルとして活躍し、清原さんや永野さんと同じ「nicola」から「Seventeen」という道をたどっている。2017年から女優活動をスタートさせ、映画「青夏 きみに恋した30日」(2018年)や連続ドラマ「3年A組」(日本テレビ系、2019年)などに出演してきた。

 昨年公開の映画「惡の華」では、主人公が片思いをするクラスのマドンナを好演。メガホンをとった井口昇監督は、オーディション時の秋田さんについて「候補の中でもスバ抜けて演技力があった」と話し、原作者のマンガ家・押見修造さんは「本物だけが持つ迫力みたいなものを感じました」と劇中での演技を絶賛した。その後、連続ドラマ「ホームルーム」(MBS、2020年)では初のヒロイン役に挑戦し、主人公に“狂愛”されるという強烈なキャラクターを体現。女優として成長を続けている。

 “女子中高生のNo.1雑誌”として不動の人気を誇り、これまで数多くの女優を世に送り出してきた「Seventeen」。現在のSTモデルの中から、次はどんなスターが生まれるのか、彼女たちの今後の活躍が楽しみだ。

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