ディズニー&ピクサーの最新劇場版アニメーション「2分の1の魔法」(ダン・スキャンロン監督)が絶賛上映中だ。舞台は“魔法が消えかけた”世界。街中に自動車が走り、現実的な町並みが描かれているが、そんな中にファンタジー要素たっぷりの魔法や、トロール、ピクシー、ペガサスといった生き物が登場する。ファンタジーの世界と、見慣れたものが共存する世界はどのように構築されたのか。プロダクション・デザインを務めたノア・クロセックさんに話を聞いた。
ウナギノボリ
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ペガサスが空を飛び、マーメイドたちが自由を謳歌(おうか)し、神秘的な魔法が満ちあふれていたのは、はるか昔の話。科学技術が発展し、小人や妖精たちも便利な生活に慣れ、この世界から魔法は消えてしまった。ジャンボジェット機が空を飛び、ビルや工場が立ち並ぶ。内気な少年イアンと、陽気な兄のバーリーが、亡き父に会いたいという願いをかなえるため、足だけよみがえった父を完全に復活させるために旅に出る……。
実は当初、舞台は米国中西部に設定されていたという。これを撤回し、現実世界とファンタジー世界をミックスさせた理由について、クロセックさんは「ストーリーがそれを必要としていたからです」「魔法のおかげで“お父さん”が呼び戻されます。ですが、それは半分まででした。ということは、魔法は存在しなければいけません。しかし、その魔法を完成させてくれる人が、ほかにいません。だから、現代という設定でなければいけないのです」と明かした。完全なファンタジーだと、お父さんは完全な形で復活しなければいけない。半分だけ復活することが本作の肝であるため、二つの世界観を融合させた。
ファンタジーの生き物をリアルな世界に登場させるために、アートやキャラクター、セット、アニメーション、照明、エフェクトなどを担当する部署と連携。「トロールはどんな服装をしているのか?」「30%をファンタジー、70%をなじみのあるものにしてバランスをとる」といった議論を週2回、約3年間重ね、世界観を作り上げていった。リアルとファンタジーの絶妙なバランス加減にも、ピクサー流のこだわりが感じられる傑作になっている。
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