エール:朝ドラで異例の“戦場描写”「みんなの中に覚悟あった」 コロナ前後で台本書き直し「より鮮烈に」

NHK連続テレビ小説「エール」第18週の一場面 (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「エール」第18週の一場面 (C)NHK

 窪田正孝さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」(総合、月~土曜午前8時ほか)。10月12日から始まる第18週「戦場の歌」は、裕一(窪田さん)が慰問で訪れたビルマ(現ミャンマー)で戦争の悲惨な状況を目の当たりする……という内容で、これまでの朝ドラではあまり描かれてこなかった“戦場”が登場する。戦後パートに向けての“一番大事な週”となっていて、「エール」のチーフ演出で、同週の脚本も手掛けた吉田照幸さんは、「こういうことを朝、食卓に見せるっていうことの若干のちゅうちょ、迷いはあった」としながらも、キャスト・スタッフ含めて「みんなの中に覚悟はあったんじゃないのかなって思います」と撮影を振り返っている。

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 第18週では 裕一(窪田さん)は、慰問でビルマ(現ミャンマー)を訪れる。そこは“インパール作戦”が展開される激戦地だった。一方、福島では母・まさ(菊池桃子さん)が倒れ、弟の浩二(佐久本宝さん)から知らせを受けた音(二階堂ふみさん)が駆けつけていた。その頃、恩師の藤堂先生(森山直太朗さん)が前線の駐屯地にいることを知った裕一は、危険を冒し会いにいく。兵士たちと演奏を通し、音楽で気持ちが一つになった翌朝、部隊を悲劇が襲う……。

 吉田さんは「実際はコロナ(禍)前に一回台本は書いてあったのですが、(撮影休止期間が)2カ月あった中で、戦争の部分は書き直しました」と明かす。それは「抗しがたい悲劇というか、どうにもならない悲劇があるんだってことを、自分が体験したことがなかったものですから、そういったものをどう作品に込めたらいいのか」ということに今一度向き合ったからだ。

 また、「裕一の自我の喪失、自分が信じていたものが全て崩壊していく」週にもなっていて、そこに至るまでの描写も、「当初、考えていたものより、かなり鮮烈になったんじゃないのかなって思っています。特にコロナ明けで撮ったんですよね、最初の方で。そういうのを含めて、みんなの中に、僕らだけじゃなくて覚悟はあったんじゃないのかなって思います」と結論づけていた。

 「エール」は、昭和という激動の時代に、人々の心に寄り添う曲を数々生み出した作曲家・古山裕一と、裕一の妻で自らも歌手になる夢を追い続ける音の、音楽と共に生きる夫婦の物語。

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