おちょやん:脚本・八津弘幸 ヒロイン杉咲花に「ラッキー」 そのワケは? 明るい魅力にも期待 

NHK連続テレビ小説「おちょやん」の脚本を手がける八津弘幸さん=NHK提供
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NHK連続テレビ小説「おちょやん」の脚本を手がける八津弘幸さん=NHK提供

 女優の杉咲花さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おちょやん」の脚本を手がける八津弘幸さん。池井戸潤さん原作の連続ドラマ「半沢直樹」(TBS系、2013年)や「下町ロケット」(同、2015年)のほか、2019年にNHKの「ドラマ10」枠で放送されたドラマ「ミス・ジコチョー〜天才・天ノ教授の調査ファイル〜」などで知られる八津さんは、大胆な構成力とエンターテインメント性をベースにした重厚な人間ドラマだけでなく、笑って、泣ける“人情もの”も手掛けてきた。そんな八津さんが、初の朝ドラとなった「おちょやん」にかける思い、杉咲さんに対する印象などを語った。

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 ◇朝ドラは新人時代からの憧れ 「実現でき、感無量」 

 「おちょやん」は、上方女優の代名詞といえる存在で、「大阪のお母さん」として親しまれてきた女優の浪花千栄子さんの人生をモデルにしながらも、物語を大胆に再構築し、フィクションとして描く、103作目の朝ドラ。

 主人公の竹井千代は、明治の末に大阪・南河内の貧しい家に生まれ、9歳で道頓堀の芝居茶屋に女中奉公に出される。多くの芝居小屋が建ち並ぶ街で、華やかな芝居の世界に魅せられた千代は、自らも女優を目指すようになる……というストーリーが展開する。

 初めて朝ドラの脚本を手がけることが決まったとき、「率直にうれしかった」と語る八津さん。「私がまだ新人のころ、どんな作品を書きたいかと聞かれ、『日本で脚本を書くからには、やっぱり朝ドラか、大河ですね』なんて言っていたんです。それが実現でき、感無量といったところです」と喜びを明かす。

 その一方で八津さんは「ただ、話が本格的に進むにつれ、少しずつ喜びが恐怖に変わっていきました」と告白。「よくよく考えてみると、あの“朝ドラ”だよなと(笑い)。半年間ちゃんと走り切らなければと、不安でいっぱいです。書き始める前、周りの人たちから、『八津さん、1話15分のペースは本当に難しいですよ。それを毎週5話続けるのは大変ですよ』とすごく言われて、自分でもそうだよなと思っていたんです」と本音を漏らす。

 でも、「実際に書き始めてみたら、そんなことはありませんでした」という八津さん。「15分の中に毎回ちょっとした山を作っていくのは楽しいですね。毎日盛り上げすぎるのは朝ドラに合わない気もしたのですが、結果的には良い方向にはたらいている気がしています。どうせ書かせていただくのですから、習慣で見ていただくのではなく、毎日本当に面白くて、どうしても見たくて見てもらえるような作品にしたいんです」と作品にかける思いをのぞかせた。

 ◇「芝居がめちゃくちゃうまいのは、改めて言うまでもない」杉咲花

 ヒロインが杉咲さんに抜てきされたと聞いたとき、「すごくラッキーだと思いました」と語る八津さん。「杉咲さんのお芝居がめちゃくちゃうまいのは、改めて言うまでもないでしょう。でも、今まで彼女が演じてきた役は、ちょっと陰のある、何かを背負っている役が意外と多かった気がします。杉咲さんはお芝居がうまいので、作り手はつい、そうした深いところまで演じてほしくなってしまうのだと思います」と杉咲さんの女優としての印象を語る。

 ただ、「おちょやん」では杉咲さんに、“陰のある、何かを背負っている”部分を前面に押し出して演じてもらうのではないようで、「それはそれで確かに彼女の魅力なのですが、今回は、根っから明るい杉咲さんをできるだけ見せてもらえたらと僕は思っています。もちろん泣いたり苦しんだりするシーンはたくさんありますが、それをはねのけていく、杉咲さんの明るい魅力を出してもらえることを、大いに期待しています」と話した。

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