ライオンの隠れ家
最終話 僕たちの新しい始まり
12月20日(金)放送分
1月22日からスタートする「TOKIO」の長瀬智也さんの主演ドラマ「俺の家の話」(TBS系、金曜午後10時)。長瀬さん演じるプロレスラーの主人公・観山寿一と、戸田恵梨香さん演じる謎の女性介護ヘルパーを巻き込みながら、寿一の父(西田敏行さん)の介護と遺産相続を巡って、家族と一致団結し、一家をまとめていく新しい形のホームドラマで、脚本家の宮藤官九郎さんのオリジナル作品だ。「池袋ウエストゲートパーク」など、何度もタッグを組んできた長瀬さんの魅力について、宮藤さんは「思い切りがいいところ」と話す。宮藤さんと、今作を手がける磯山晶チーフプロデューサーに、長瀬さんの印象を聞いた。
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長瀬さんと宮藤さんが同局の連ドラでタッグを組むのは、2000年4月期の「池袋ウエストゲートパーク」、2005年4月期の「タイガー&ドラゴン」、2010年7月期の「うぬぼれ刑事」に続き、11年ぶり4回目。令和初タッグとなる今回は、「濃すぎる家族が織りなす、まったく新しい形の王道のホームドラマ」を描いていく。上記3作品すべてを手がけてきた磯山さんが、チーフプロデューサーを務める。
第1話では、20年以上前に家を出て、今はベテランプロレスラーとなった寿一(長瀬さん)の元に、重要無形文化財「能楽」の保持者である父・寿三郎(西田さん)危篤の知らせが飛び込んでくる。急いで病院に駆け込んだ寿一は、久しぶりに会った弟の踊介(永山絢斗さん)と妹の舞(江口のりこさん)から、一昨年に寿三郎が脳梗塞で倒れたことを聞かされる。
別れのあいさつは2年前に済ませたと、遺産や相続の話を始める弟妹に激高する寿一。そして寿一は、二十八世観山流宗家を継承すべく、プロレスラーを引退することを決めるのだった。そんな中、寿三郎は退院。一門の幹部、家族を前に、デイケアサービスで寿三郎の担当ヘルパーだった志田さくら(戸田さん)と結婚すると言い出す。あっけにとられる寿一ら家族をよそに、自身の余命とすべての遺産をさくらに相続すると告げ……と展開する。
同局のドラマのほかにも、宮藤さんの初監督作品「真夜中の弥次さん喜多さん」(2005年公開)、映画「TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ」(宮藤監督、2016年公開)でも、長瀬さんとタッグを組んだ宮藤さん。実は、今回のドラマは“構想5年”といい、「『TOO YOUNG』の後に長瀬くんに会ったときに、『親の役、子供がいる役をやったことない』っておっしゃっていて。そこから話が介護に……」と振り返る。
自身の周りでも親の介護をしている人が多い。「誰もが直面する問題なのに、その割には、ドラマで扱われることは少なかったように感じる。これから絶対にみんなが直面する問題だから、逆になんで今まで少なかったんだろうな?というところから入った」と明かす。また、「ホームドラマで、しかもホームコメディーになったら、今まで長瀬くんと磯山さんで作ってきたドラマのテイストで“介護”を扱えたらいいな」と考えたという。
磯山さんは、自身の介護経験を明かしながら、「つらいときは“劇団親孝行”の公演だと思ってました。そんな風に考えないとやってられないというのもあって。そういうのがドラマチックに描けたら面白いなと思ったので、立ち向かうべき価値あるテーマだなと思いました」と話す。
「家業が嫌で実家を飛び出した人が、25年ぶりに帰ってきて、親の介護をする……という普通の設定でもいいんですけど、長瀬くんがやるならば、もっと振れ幅広くできるだろうなと思った」と話した磯山さん。“役者・長瀬智也”だからこそ、「能」と「プロレス」という要素が加わった。
それぞれの稽古(けいこ)に励む長瀬さんからは、「『俺はスーパーマンじゃないよ』と愚痴られるくらい負荷をかけちゃっているんですが、びっくりするくらいプロレスも能も習得が早いです」と話す。
「だから長瀬くんのドラマって作っていて楽しい」とも話した磯山さんは、「“普通の人は絶対できないこと”を成立させてくれる。本当にそういう人がいるんじゃないかな? と思っちゃうぐらいの説得力がある」と続ける。
ドラマのポスタービジュアルでは、プロレスラーを演じるためにひそかに肉体改造した長瀬さんが、長髪姿でチャンピオンベルトを巻き、ファイティングポーズをとる姿が写し出されている。実は、長瀬さんは、1年以上前から髪を伸ばし、コロナ禍以前から自ら体作りに励んできた。プロレスラーの体型は、筋肉の上にうっすらと脂肪が乗っているのが理想的だといい、長瀬さんはとにかく食べてトレーニングしたという。
磯山さんは、「ご本人いわく、そもそも全然太れないタイプらしくて、『筋肉つけながら太るのが本当につらい。とにかく食べている』とおっしゃっていて。あと3カ月も続けさせるのが忍びないです」と話す。宮藤さんも、「普通の役者さんの体作りとか、役作りのために体絞るっていうのとは、ちょっとちがう感じですよね」と明かす。
そんな長瀬さんは、磯山さんいわく、「誰よりも先にスタンバイしている人」。宮藤さんも、「わりと形から入っているように見えて、実はその形が本質を突いている」と表現し、「髪形とかコスチュームでも、本人にとってはそれが一番核心をついている。それはいつもそうですね、ほかの作品のときも」と話す。
磯山さんによると、今回、親子モノをやることになった際には、3人とも「絶対にお父さんは西田さんがいいよね」という話になったという。西田さんといえば、宮藤作品に欠かせない存在でもあり、「うぬぼれ刑事」では長瀬さん演じるうぬぼれの父役、「タイガー&ドラゴン」では父子のような関係性の落語家の師匠を演じてきた。
宮藤さんは、「長瀬君と相性がすごくいいので、介護する人、される人っていうシーンになったときに、悲壮感なくできるかなと思って、西田さんがいいなと思いました」と話す。
磯山さんも「(長瀬さんと西田さんの)セッション感がすごい」と続け、「台本の何倍もしゃべっちゃうくらいアドリブがどんどん続くお二人。“明るい介護”ということでいくならば、西田さんの他にはいないなと思いました」と明かす。
また、寿一について、長瀬さんがこれまでに演じてきた「池袋ウエストゲートパーク」のマコト、「タイガー&ドラゴン」の虎児、「うぬぼれ刑事」のうぬぼれと比較すると、「人間性としては一番地に足がついている」と話した磯山さん。「今回、初めて長瀬くんのモノローグで話が進行するようになっていて。長瀬くんも、人生経験を積んで、良い意味で“おじさん”なので、感情移入しやすい人物なんじゃないか」と話す。
宮藤さんも「狙い通りにいけば、今まで見たことない等身大の長瀬くんを見ることができる」と話す。そんな二人に、“役者・長瀬智也”の魅力を尋ねてみた。
長瀬さんを「連載少年マンガの主人公のような存在」と表現した宮藤さんは、「やっぱり思い切りがいいところが魅力。自分で限界を決めずに、ぐんぐん思い切りやってくれるのが気持ちいいですね。『ここは笑わすところ』っていうところを、テクニックとか小手先でやろうとしないで、力いっぱいやってくれる」とコメント。「最初の導入ですごい細かいところを気にされるんですけど、あとはもう細かい質問は一切ない。ここもやりやすいですね」と続ける。
磯山さんも、「内心、すごく細かいことを気にされているんですけど、画面上見る限りはものすごくスケールが大きくて、そんなことを気にしているようには見えないというか。もちろん、容姿が優れているということもあるのですが、『こういう人になりたい』という人を自然にやれる人というか。ホント、唯一無二の人だなというふうに思いますね」と話す。42歳の“役者・長瀬智也”は今作でどんな姿を見せてくれるのか。とにかく楽しみだ。
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2024年12月22日 01:00時点
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