徳重聡:「麒麟がくる」伝吾好演の裏に“一途さ” 幸せな1年半…「本能寺の変」で本物の武者震い?

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」最終回のワンシーン 藤田伝吾を演じる徳重聡さん (C)NHK
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NHK大河ドラマ「麒麟がくる」最終回のワンシーン 藤田伝吾を演じる徳重聡さん (C)NHK

 長谷川博己さん主演のNHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」(総合、日曜午後8時ほか)で藤田伝吾を演じてきた徳重聡さん。ドラマには第1回「光秀、西へ」(2020年1月19日放送)から登場し、光秀(長谷川さん)に付き従う、実直な性格の明智家家臣として人気を博してきた。好演の裏にあったのは、「結局のところ十兵衛(光秀)さんのことしか、自分の“親方”しか見ていなかった」という伝吾の一途(いちず)さ。光秀に仕えた撮影の日々を「幸せな1年半でした」と振り返る徳重さんに、最終回を前にした心境を語ってもらった。

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 ◇伝吾の視線の先には常に光秀 「本能寺の変」では“ブルッ”とした?

 伝吾の視線の先には常に光秀の姿があったという徳重さん。「もちろんその上に、信長様であったり、最初の方では道三様がいるのは分かっていたとは思うのですが、伝吾はたぶん、その人たちのことをそんなに見ていないし、見ないようにしていた部分はある。自分も(役を演じていて)半分は見てなかったし、半分は見ないようにしていました」と明かす。

 そんな伝吾の一途さがあったからこそ、第17回「長良川の対決」(2020年5月10日放送)での“別れ”と、第25回「羽運ぶ蟻(あり)」(2020年9月27日放送)での“再会”が視聴者の感動を呼んだのであろう。

 「第17回の別れのシーンは本当にしんどかったです。しんどすぎて、リハの時からボロボロ泣いてしまって。台本上、後々会うことは分かってはいたのですが、思いが強くなってしまって、非常にしんどかったというのを覚えています」と話す徳重さん。一方、25回での再会シーンについては、「信じていなかったわけではないのですが、『本当に美濃に帰ってきてくれた』という思いを込めて。ちょっと驚きを含めた感じにはしました」とうれしそうに語る。

 伝吾の一途さ、光秀に向けられた真っすぐな視線は、初登場時から最終回で描かれる「本能寺の変」に至るまでずっと変わらずで、徳重さんは「俺はこの人にずっと仕えてこられた良かった」という思いで、「本能寺の変」の撮影にのぞんだという。

 徳重さんは「『本能寺の変』では、誰もが知っている歴史的な瞬間にタイムスリップして実際に立ち会ったかのような、“ブルッ”とするような感じがあって、何とも言えなかったですね、やっぱり」としみじみ。これまでトレードマークの槍(やり)を手に戦場を駆け回ってきた伝吾が、馬に乗る姿を見せていて、「伝吾さんも実働部隊ではなくなって、少しは偉くなったんだって、うれしいのが半面と、槍を持たなくって、ちょっと寂しかったですね」と振り返った。

 ◇“親方”長谷川博己は「ずっとナチュラル」 大河ドラマの「すごみ」も再確認

 また、徳重さんが伝吾として見続けた、光秀役の長谷川さんの印象は「ずっとナチュラル」。「大きく構えることもなく、淡々とナチュラルにそこにいて。あとはすごく周りを見ているんですよ。光秀のように多くの家臣を持つ人間を演じるのに、まさにピッタリの人なのかなと本当に思いますし、伝吾のことも、どこか目の端で見てくれていて、大した人だなって思ってました」と語る。

 徳重さんは今回、2013年の「八重の桜」に続き2度目の大河ドラマ出演となった。「八重の桜」は幕末、「麒麟がくる」では戦国時代が舞台となったが、「幕末でも戦国でも共通しているのは、音を立てて時代が動いていく様を長い時間をかけて見せていく。まさに『ゴゴゴゴッ』と音が鳴っている感じを、見てるものに感じさせるすごみこそが、大河ドラマ」ということを再確認したという。

 続けて徳重さんは、「『麒麟がくる』では最初から最後まで出させていただいて、本当にこんなに長く一つの作品に携わったことはなかったので、何か親戚のおじちゃんみたいな気持ちになりますね」と笑うと、「お話をいただいたときは、そういうものだと思っていなかったので、本当にうれしくて。終わってしまうことに寂しさもありますし、ここまでいろいろなことがありましたけど、幸せな1年半でした」と充実感をにじませていた。

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