ディーン・フジオカ:キーワードは「野性味」 「青天を衝け」五代友厚“再演”に懸ける思い

NHK大河ドラマ「青天を衝け」に薩摩藩士・五代才助(友厚)役で出演するディーン・フジオカさん (C)NHK
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NHK大河ドラマ「青天を衝け」に薩摩藩士・五代才助(友厚)役で出演するディーン・フジオカさん (C)NHK

 吉沢亮さん主演の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」に、薩摩藩士の五代才助(友厚)役で出演するディーン・フジオカさん。2015年後期に放送された連続テレビ小説(朝ドラ)「あさが来た」で、一大ブームを巻き起こした「五代様」の“再演”ということもあり、ファンからは大きな期待が寄せられている。「今回話をいただいたときに五代さんという存在との時空を超えた不思議な縁を感じました。とてもうれしかったですし、こういう形でまた同じキャラクターというか、偉人、偉大な先輩を演じさせていただけることはすごく光栄なことですし、興奮しました」と明かすディーンさんに、「青天を衝け」における五代像や再演に懸ける思いを聞いた。

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 ◇同じ大森美香脚本も朝ドラと「地続きには考えてはいない」

 「青天を衝け」は、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一が主人公で、連続テレビ小説(朝ドラ)「風のハルカ」(2005年度後期)、「あさが来た」(2015年度後期)などの大森美香さんが脚本を担当。「緻密な計算」と「人への誠意」を武器に、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢の生きざまを描く。

 演じる五代は、薩英戦争で捕虜となるも釈放される。長年の長崎遊学から世界情勢に通じており、貿易による富国強兵を唱えて渡英。留学中にパリ万国博覧会の情報をいち早く得て、薩摩藩としての参加を実現し、幕府の威信を落とす。この時、幕府側の一員として参加していたのが栄一(吉沢さん)だった。後に「西の五代、東の渋沢」と称される実業家となる。

 今回、6年前の「あさが来た」と同じ大森美香脚本での五代役となったが、二つの作品の五代を「地続きには考えてはいない」というディーンさん。「全く違うプロジェクトとして出演させていただいて、『あさが来た』のときの五代さんを踏襲することを心がけているわけではない」と話す。

 クランクインから「あさが来た」とのアプローチの違いを感じ、気持ちも一旦リセット。「すごくフレッシュに、新しいことに挑戦しているワクワク感がありました」と振り返る。また今回「彼(五代)の思想、成し遂げた偉業を、現代の人たちに伝える上での、いろいろな仕掛けがすごくある」といい、「一つ一つの選び抜かれた言葉、自分が一人の人間として、仕事をしていく上で指針となるような言葉もすごくちりばめられていて。そういう意味では大森さんの書いた脚本を通して、後世に残すべき知恵や思いを全身で受け止めている感じです」と手応えを語る。

 また今回が初の大河ドラマとなったが、「一度は経験しておきたかったので、念願かなってうれしいです。それが五代さんとの再会というのも、またさらに喜ばしい形で念願がかなったなと思います」と喜んでいた。

 ◇大河ドラマ「青天を衝け」における五代像は「意外とワイルド」

 五代役の“再演”で意識した部分は6年前の五代像に固執しないこと。「朝ドラと大河ドラマではフォーカスする部分も違いますし、ストーリーテリングしていく上での焦点も違うのかなって思いますので。あまり過去のことに固執しないように意識している部分が強いと思います」と強調する。

 また「青天を衝け」における五代像は、ディーンさんいわく「意外とワイルド」。衣装も髪形も「あさが来た」とは異なるアプローチで、話す言葉も日本語においては薩摩弁だ。「最初のシーンも、野性味あふれる、型にはまらないキャラクターという感じでワクワクしました。それは朝ドラのときはなかったもので、『ここまで解放していいんだ』と最初のシーンで気付かされたので、そこは期待してもらえたら」とほほ笑んだ。

 さらに、吉沢さん扮(ふん)する渋沢栄一との対比では、「史実として『西の五代、東の渋沢』と、日本の近代化において両極をなすような役割になっていて、そこが朝ドラのときよりも明確に打ち出されている」との印象を抱くディーンさん。

 「渋沢さんとはお互い切磋琢磨(せっさたくま)し、競い合う、高め合う五代さんになっていて、この先どういうふうに展開していくのか、いただいている台本の中で、少しずつ自分も分かっていっている部分もある」といい、「現場で演出の方がどう味付けしていくのか、自分もすごく楽しみですし、自分が受けた印象は、古いしきたりというか、形骸化しているものをさわやかに捨て去ってく、風が吹き抜けていくような、新しい時代を予感させるような演出にもなっています。演じる上で、改めて朝ドラとは全く違うプロジェクトだなと感じましたし、やりがいがある役回りをいただけたので、今後が楽しみです」と期待感をにじませていた。

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