放課後カルテ
第7話 お前が学校に来ようが来まいがどうでもいい
11月23日(土)放送分
女優の清原果耶さんが主演を務める2021年度前期の連続テレビ小説(朝ドラ)「おかえりモネ」(NHK総合ほか)が5月17日にスタートする。清原さんにとって3回目の朝ドラ出演で、満を持してヒロイン役に挑む。2015年度後期の朝ドラ「あさが来た」で女優デビューし、おととしの“100作目の朝ドラ”「なつぞら」などを経て、今、最も注目される若手女優の一人となった清原さんだが、果たして、何がすごいのか? ここでは、「名作」と言われる2018年の初主演ドラマ「透明なゆりかご」、そして「おかえりモネ」に制作統括として名を連ねる須崎岳さんらの発言をもとにひもといてみたいと思う。
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現在19歳で、10代女優のトップをひた走る清原さん。これまで数々の作品に起用されてきたが、代表作を一つ挙げるとするなら、「透明なゆりかご」になるのではないだろうか。
清原さんは同作で、小さな町の産婦人科医院で「命」を見つめる看護師見習い・アオイ役に挑戦。主人公の「命」への祈りにも似た思い、気持ちの揺れ具合を繊細に表現するだけにとどまらず、物語にとって非常に重要なモノローグでは「語り」という才能も発揮し、高い評価を得た。
「透明なゆりかご」の演出を手掛けた柴田岳志さんは当時、「台本の読みが的確」「自分のイメージをしかりと持っている」「表情が多彩」と熱のこもった口調で清原さんを評し、「驚異の16歳」と言い切っていた。多少のリップサービスもあったと思うが、その後の清原さんの活躍を目の当たりにすると、あながち大げさではなかったと思える説得力がある。
須崎さんも、その頃から清原さんの演技を高く評価してきた一人だ。「透明なゆりかご」での清原さんを見て、「本当に今、アオイとして何かを感じているんだなって画面を見ていて伝わるので、そこがまず素晴らしい」とし、「役と同じ気持ちになりながら、見ている人にも同じ気持ちを味わわせるってことは、どんな作品でも極めて大事なこと。それを16歳でやってのけるのは、やっぱりすごい」と感心していた。
ただ単に「役をうまく演じる」とはまた別次元の、この「役の気持ちにまで深く同化できること」こそが、清原さんのすごさになるのかもしれない。
また、“役として生きる”という部分でのブレない強さも清原さんの魅力だ。以前、清原さん本人も「役について考え、生きられる時間をより長く感じていたい」タイプと自己分析した上で、「現場では役として、どう表現するかが主軸にあるので、おじけづくとか、私の感情は一切必要ないと思っています」と話していた。その点については、「透明なゆりかご」から約1年後の朝ドラ「なつぞら」で、清原さんをヒロインの妹にキャスティングした、同作の制作統括・磯智明さんも「清原さんはどの役者を相手にしてもブレない」と認めている。
そんな清原さんがヒロインとして挑む「おかえりモネ」は、「透明なゆりかご」でもタッグを組んだ脚本家・安達奈緒子さんによるオリジナル。「海の町」宮城県・気仙沼に生まれ育ち、「森の町」同県の登米(とめ)で青春を送るヒロイン・永浦百音(ももね)が、気象予報という「天気」にとことん向き合う仕事を通じて、人々に幸せな「未来」を届けていく、希望の物語となる。
演じる百音は1995年生まれ。気仙沼湾沖の自然豊かな島で育つ。明るく伸びやかな性格で、中学時代はアルトサックスに打ち込んでいた。思うところあって、高校卒業と同時に故郷と家族から離れ、登米市の森林組合で働き始める。そこで天気予報の可能性と魅力を知り、やがて気象予報士を目指してゆく……。愛称は“モネ”だ。
昨年9月のクランクイン後に話を聞いた際、須崎さんは「ここ数年でいろいろな作品で、“演じる”ということをさらに経験して、主演も何本かやってきて、本当にしっかりしてきたなって、月並みな答えになってしまいますが、そう思います」と清原さんの成長に目を細めていた。
また須崎さんは、現場での清原さんの様子について「すごく考えています。いろいろなことをものすごく考えているなって思って、あの若さで。それはすごいところだと思います」と感心。「百音って基本的には明るくて、真っすぐ、伸びやかな子なのですが、実は『3.11』のとき、ある理由で島を離れていて『自分は何もできなかった』という後ろめたさを、胸の内というべきか、腹の底というべきか、頭の片隅というべきか、どこかに置きながら日常を一生懸命に生きている。演じる側からすると、ものすごく難しい役だと思うのですが、清原さんはこの題材でこの役をやるにあたり、百音がどんな人物なのかってことをものすごく考えながら、取り組んでいる気がしていて。台本の感想を聞いたときとか、その受け答えする表情の真剣さから、ものすごく感じるんです」と明かしていた。
さらに須崎さんは、清原さんが物語の舞台となる気仙沼と登米を訪れたときのエピソードとして、「現地を回ったときに『台本で読んでいた世界に、いろいろな色が、彩りがつき始めた』と言っていて、彼女の感性ならではの言葉だなって思いました」としみじみと告白。続けて「朝ドラヒロインという大役をやるにあたって、今、彼女は真剣に向き合っているところだと思うのですが、この物語の中で生きるヒロインはとてもすてきで、今までとまた違った、新しい清原さんの姿を、皆さんにお届けできるんじゃないかなって思っています」と自信をのぞかせていた。
新しい“女優・清原果耶”が見られるのは、もう間もなくだ。
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