俳優の吉沢亮さん主演のNHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(総合、日曜午後8時ほか)は7月11日放送の第22回「篤太夫、パリへ」から、物語の舞台が1867年の仏パリに移り、“パリ編”に突入した。そんな中、薩摩、長州など倒幕派が台頭し、風雲急告げる国内情勢。次週18日放送の第23回「篤太夫と最後の将軍」では、江戸幕府第十五代将軍・徳川慶喜(草なぎ剛さん)が政権を朝廷に返上する「大政奉還」が描かれる。同回の演出担当・田中健二さんは「感動するシーン」になったと手応えを明かす。また、田中さんによると、撮影後に草なぎさんが「家康様が降りてきちゃって……」と話していたといい、「草なぎ剛、すごいと思いました」と振り返った。
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なぜ、慶喜は開闢(かいびゃく)以来、250年以上続いた江戸幕府に終止符を打つ決断に至ったのか。幕府に忠誠を誓う臣下からすれば裏切りとも言えるような行動を取った慶喜は、当時から“二心殿”と呼ばれるほど実像が分かりにくい人物だ。
田中さんも「見方によって評価が分かれる人物。勉強すればするほど、それは感じます」と語る。その上で、「本当のところはどうだったかは分からないですが、『青天を衝け』では、こういう筋道で大政奉還に至ったんじゃないかと、“慶喜の気持ち”を分かるように描いているつもりです。(草なぎさんには)なぜその決断にいたったか、その気持ちを大切に演じていただきました」と明かした。
また、慶喜が大政奉還の意思を家臣たちに宣言した二条城といえば、江戸幕府の祖・家康が築城を命じた城であり、歴史の面白さを感じる。「青天を衝け」でも“家康とのつながり”を意識して描いているといい、田中さんは「家康様とリンクさせようと隠し技」があると語る。
「これは史実なのですが、(大政奉還の)宣言の中では家康様に言及している部分があります。草なぎさんには『そういうところにも思いをはせてほしい』とオーダーしました」
そうして、完成した「大政奉還」のシーン。田中さんは「草なぎさんがものすごくいい芝居をしてくれて……。撮影後、『感動しました』と伝えたら、草なぎさんが『言っているうちに、家康様が降りてきちゃって』『家康様に感情移入してしまい、こんな感じになりました』と言うんです。それを聞き『草なぎ剛、すごい!』と思いました(笑い)」と振り返る。
続けて、「大政奉還の宣言は、とても難しい言葉で宣言しているのに、その言葉の中に慶喜としての草なぎさんの気持ちをきちんと出してくれている。それは、どこかで家康様とリンクしたからこその感情なんだろうな、と。ぜひ期待して楽しみにしていてください」とアピールした。
「青天を衝け」は、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一が主人公で、朝ドラ「風のハルカ」(2005年度後期)、「あさが来た」(2015年度後期)などの大森美香さんが脚本を担当。「緻密な計算」と「人への誠意」を武器に、近代日本のあるべき姿を追い続けた渋沢の生きざまを描く。
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