俳優の吉沢亮さん主演の大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(NHK総合、日曜午後8時ほか)。いよいよドラマは残り3回となり、12月26日放送の最終回に向けて、物語はクライマックスに突入しようとしている。幕末から明治、大正、昭和の初頭まで生きた主人公・渋沢栄一(吉沢さん)の最晩年も描かれ、制作統括の菓子浩チーフ・プロデューサー(CP)は「ドラマの中の栄一さんも、死ぬ間際まで走り続けます」と断言する。一方で、そんな栄一を、放送開始から見守ってきた徳川家康(北大路欣也さん)の出番はまだあるのか。「北大路さんじゃなかったら、こんなにも愛される家康になっていなかったと思う」と話す菓子CPが、北大路“家康”について語った。
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幕末からスタートするドラマに江戸幕府を開いた家康を登場させるというアイデアは脚本の大森美香さんによるもの。2月14日放送の第1回「栄一、目覚める」の冒頭で「日本の歴史」を語ると、その後も物語の中で“狂言回し”的な役割を担ってきた。
舞台演出家の小野寺修二さん率いる「カンパニーデラシネラ」によるパントマイム的な動きと北大路さんの説得力のある語り、時にタブレットのような現代的なアイテムを使った小粋な演出と、時空を超えて楽しませてくれる「家康コーナー」の反響は大きく、放送中は「家康待ち」をする視聴者が続出。SNS上では家康の「こんばんは」のあいさつに視聴者が「こんばんは」と返答するのが、一つのお約束になっていた。
幕末の頃に比べると、出演ペースが落ちたものの、ここまで栄一のことを見守ってきた北大路“家康”だが、当初「慶喜(草なぎ剛さん)が大政奉還をして、江戸が終わったら、出てこられないんじゃないか」という懸念はスタッフ側にもあったという。
そんなときに北大路さんから言われたのが「(最後まで)出たい」の一言だったといい、「北大路さんから『お話があります』と声をかけられて、そこで『出たい』と。『家康はこの話を最後まで見届けたいんです』とおっしゃってくださって、感動してしまいました」と菓子CP。
「幕末の時点で、家康さんがいること自体がフィクションですから、時代が明治に入って、たとえ昭和になっても、出ていただけるチャンスがあるのではないかって。無理に毎回、出すことを縛りにするのではなく、何かを家康さんに語ってもらった方がいいというときに、満を持して出演してもらおうと切り替えました」と明かす。
「時間が限られている中、どうしても飛ばさなくてはいけない歴史的なことを、すごくコンパクトにまとめて解説してくださっているのですが、北大路さんならではの説得力があるからこそ、視聴者は腑(ふ)に落ちるってことはあると思いますので、そういう意味でも、家康さんに助けていただいたと思います」と感謝していた。
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