中村蒼:30代に突入し強まった俳優業への覚悟「ここで頑張るしかない」 NHKドラマで共演・平手友梨奈の印象も

NHK土曜ドラマ「風の向こうへ駆け抜けろ」で調教師・緑川光司を演じる中村蒼さん
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NHK土曜ドラマ「風の向こうへ駆け抜けろ」で調教師・緑川光司を演じる中村蒼さん

 居場所をなくした女性騎手と廃業寸前の厩舎(きゅうしゃ)の成長と再生を描いたNHKの土曜ドラマ風の向こうへ駆け抜けろ」(総合)に出演する俳優の中村蒼さん。演じるのは厩舎を運営するやる気のない調教師・緑川光司で、主演を務める平手友梨奈さん演じる女性騎手・芦原瑞穂と共に桜花賞に挑むという役どころだ。2020年の連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」以来のNHKドラマ出演となり、今年3月には30代に突入した中村さんに、朝ドラ以降の心境の変化や、今作で演じる光司役への思いなどを聞いた。

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 ◇初共演の平手友梨奈は「持って生まれた華が一気に輝きだす」

 ドラマは古内一絵さんの同名小説(小学館)が原作。主人公の女性騎手・芦原瑞穂のひたむきな情熱が、人生を諦めていた人々の心に火をつけ、廃業寸前の厩舎が桜花賞に挑んでいく物語。同局の連続テレビ小説(朝ドラ)「なつぞら」などで知られる大森寿美男さんが脚本を手掛けた。

 台本を読んで、「とてもスケールの大きな作品」と思ったと中村さん。「『競馬場を駆け抜ける馬』と書いてあったり、何頭も馬が出てきたり、スケールが大きい。『このシーンはどうやって撮るんだろう?』というシーンもたくさんあって、あまり経験したことがないような作品で、すごくワクワクしました」と感想を口にする。

 中村さんが演じる光司は、廃業寸前の厩舎をまとめる調教師。無愛想で一見冷淡だが、厩舎内での人望は厚い……という人物だ。中村さんは「最初は無愛想で何を考えているか分からないんですが、優しい人なのではないか、と思いました。クセのある厩舎のメンバーたちは、みんな光司に恩がある。彼らに光司だけは対等に接するなど、偏見の目を持たずに人と接する人。だから最初は無愛想でも、あまり嫌な人にならないように、と演じました。何を発言するにしても相手のためを思って言っているのだと思ったので、それを表現できたら」と心掛けていたことを明かす。

 光司は厩舎の行く末を担う、リーダーシップのある人間。中村さんは、自身とは性格的に遠いキャラクターだとしつつも、光司の仕事にかける思いの強さには共感。「光司には結局は競馬しかない、そこからは離れられない。僕も、この仕事では求められることが毎回違うし、うまくできないことも多々あるんですが、それでも『自分にほかに何があるのか』となると、この仕事でやっていくしかないと思うので、そこは光司と似ている」と理解を示す。

 主人公の女性騎手・瑞穂を演じる平手さんとは初共演。撮影中はシーンごとにコミュニケーションをとっていたという。「毎シーン毎シーン、リハーサルが終わると、平手さんの方から『やりづらいところはなかったですか』と聞いてくれました」と中村さん。共演前と後ではイメージに変化もあったという。

 「本当に“普通の年相応の女の子”な部分が基本的にあって。今までの印象では、グループ(欅坂46)のセンターにいらっしゃった人なので、いわゆる普通の感覚というものが僕たちの感覚とはちょっと違うのかなと思っていたんですが、全然そんなことはなく。でもお芝居では、技術とかではない華とか、持って生まれたものが一気に輝きだす。そのギャップが素晴らしいと思いました」と印象を語った。

 ◇朝ドラ「エール」以降の心境の変化は…

 今作は、中村さんにとって朝ドラ「エール」以来のNHKドラマ出演となった。その間に自身は30代に突入。周囲から30代の展望などを聞かれる機会も多く、将来について考えることが増えたという。

 「定期的に先のことを考えるようになったんですが、考えたところで全然分からない。でも『この仕事でやっていくんだ』という覚悟のようなものは、朝ドラに出演したときから、より強くなったかなと思います。一気に何かが変わった、ということではないんですが、そういう気持ちは強くなりました」

 30代に入る前のインタビューでは、目前の30代について「めちゃくちゃ不安」と心境を明かしていたが、改めて聞いてみると「変わらず、不安です(笑い)」としつつも、「自問自答して、『自分にはこれしかないし、何を言ったところでここで頑張るしかないんだ』という気持ちは強くなりました。四の五の言わずに目の前のことを頑張るしかないんだぞ、と自分に言い聞かせている感じです」と強い覚悟を示す。

 不安だけではなく、今後には楽しみな部分もある。「この作品に出演されている奥田瑛二さんとご一緒させていただいたとき、『全然これからだ』とおっしゃっていたんです。奥田さんも、30代で自分なりに納得できるものをつかんで、そこから気持ちが新たになったんだ、だから楽しみだね、と。僕も、これから出会う作品や役によってまた覚悟が強くなるような、自信につながるようなことがあるのかな、と思っています。これから、もっといろんな人と出会っていくんだろうなと思うと、すごく楽しみですね」と前向きな思いを口にしていた。

 ドラマはNHK総合で12月18、25日午後9時~同10時13分に放送される。

 ※クレジット(敬称略)

 スタイリスト:Takanori Akiyama▽ヘアメイク:Kazuya Matsumoto

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