ファイトソング:“脱平凡”ヒロインで火10ドラマ新境地 丁寧に描き出す人間模様

連続ドラマ「ファイトソング」の一場面(C)TBS
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連続ドラマ「ファイトソング」の一場面(C)TBS

 女優の清原果耶さんが主演を務める“火10”ドラマ「ファイトソング」(TBS系、火曜午後10時)。清原さんが演じる主人公の花枝は、これまでの“火10”ドラマのヒロインと異なり、早い段階から自分で選択して恋愛関係をスタートさせていく点で異彩を放っている。そんな花枝と、花枝を取り巻く登場人物を追いながら火10”ドラマとしての新たな側面を見せる「ファイトソング」の魅力に迫りたい。

 ◇「平凡な~」を打ち破るヒロイン像 “巻き込まれ型”から“開拓型”へ

 ドラマや映画、マンガなど、いわゆる「ラブコメ」と呼ばれる作品のヒロインといえば、「ごく普通」「平凡」と形容されるのが王道だ。もしくは何らかのトラブルにまきこまれてしまい、そこから劇的な出会いによって、それまでと大きく異なるドラマチックな日々を過ごしていく……という“巻き込まれ型”が多いことも大きな特徴だ。

 一方、今回の「ファイトソング」では空手日本代表を目指していたヒロイン・花枝(清原さん)が事故に遭い、夢を絶たれてしまうところから物語がスタート。さらに、事故の際の検査で両耳に聴神経腫瘍が発覚し、医師から耳が聞こえなくなってしまう可能性があると告げられるなど、さまざまな事情を抱えている。

 そんな花枝にはずっと聴いている勝負曲があり、ある日、偶然にもその作者・芦田(間宮祥太朗さん)と運命的な出会いを果たす。突然、芦田から「付き合ってくれない?」と告白された花枝は一度は拒むものの、聴神経腫瘍の手術を前に思い出を残そうと、自分から期間限定で付き合うことを提案する。確かに“劇的な出会い”ではあるのだが、そこに巻き込まれていく中で徐々に恋愛感情が生まれていくのではなく、自ら能動的に恋愛関係を進展させるいわば“開拓型”である点が、近年の“火10”ドラマの中でも新鮮なヒロインとして映っているといえるだろう。

 ◇岡田惠和の脚本が光る 繊細に描き出される人間模様

 本作では、ヒューマンドラマの名手、岡田惠和さんの脚本によって、花枝だけではなく、彼女を取り巻く人々の人間模様も丁寧に表現されている。例えば、花枝に交際を申し込んだ芦田は、かつてバンド「PARKS」のメンバーとして、「スタートライン」をヒットさせたものの、それに続く楽曲を作れず、マネジャーの伊達弓子(栗山千明さん)から「あと2カ月で結果を出せなければ出て行ってもらう」とついにクビを宣告されてしまう。

 その矢先、「スタートライン」をずっと大切にしてくれている花枝と出会い、「音楽を続けたい」と心が動くのを実感。弓子から「心が動くことがないんじゃないの?」「本気で誰かと付き合ってみたら?」と言われていたこともあり、衝動的に花枝に告白したのだった。

 “運命の人”芦田とともに、花枝を巡る三角関係のもう一角となる幼なじみの慎吾(菊池風磨さん)。事故に遭って以来、無気力になってしまった花枝の背中を押したいと、自身の経営する「サンシャインクリーニング」にハウスクリーニングのバイトとして花枝を迎え入れる。優しく見守っていたが、やる気のなさから花枝が仕事でミスをしてしまった際には、「仕事なめんなよ」「俺命がけでやってるし、魂削ってやってんだよ」と叱咤(しった)した。

 また花枝が、芦田との運命的な出会いでたちまち笑顔になり、それまで泣かなかったのに芦田の歌に涙したことを聞いてモヤモヤを募らせたり、2人の仲を邪魔しようとしたりと、花枝の一挙一動に揺れ動く様子も描かれている。

 そのほかにも、慎吾のことが好きだが、慎吾が花枝を好きなことも知っている幼なじみの萩原凛(藤原さくらさん)、児童養護施設「あさひ学園」の施設長で、花枝たちの成長を温かく見守る磯辺直美(稲森いずみさん)、さらに聴覚に障がいがあり花枝のよき相談相手となっていく杉野葉子(石田ひかりさん)といったキャラクターが登場。それぞれが抱く思いを交錯させながら、ヒューマンドラマが展開されている。

 まだまだ始まったばかりの本作。登場人物たちはどのような選択をし、自分の人生を歩んでいくのか。今後の展開が楽しみだ。

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