放課後カルテ
第7話 お前が学校に来ようが来まいがどうでもいい
11月23日(土)放送分
動画配信サービス「Hulu(フールー)」で独占配信がスタートしたドラマ「神様のえこひいき」で俳優の藤原大祐(たいゆ)さんとダブル主演を務める女優の桜田ひよりさん。ドラマは、女性に生まれ変わってしまった主人公・天野弥白らの恋を描いた“新感覚ラブストーリー”で、桜田さんは弥白の生まれ変わりの姿である女子高生・天堂神楽を演じる。数々の映像作品に起用されてきた桜田さんは、今作の撮影を経て「自分の新たな一面に出会えた」と振り返る。昨年19歳になり、10代最後の1年を過ごしている桜田さんに、現在の思いや20代を迎える心境、今作の撮影エピソードなどを聞いた。
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ドラマは、少女マンガ誌「マーガレット」(集英社)とHuluがタッグを組んだ「マーガレットLove Stories」の第3弾で、小村あゆみさんの同名マンガが原作。親友・七原ケンタ(窪塚愛流さん)にフラれた直後に交通事故で死んでしまう主人公・天野弥白(藤原さん)が、暇を持て余した神様の“えこひいき”により、ケンタ好みの女の子・天堂神楽(桜田さん)に生まれ変わる……というストーリーだ。
桜田さんが演じる神楽は、弥白の生まれ変わりの姿である女子高生。中身が弥白のために女子としての振る舞いが分からず、自分のことを「オレ」と呼ぶ不思議キャラだ。役作りでは男性の仕草に注目しながら人間観察をし、撮影現場ではモニターを見て、微調整を繰り返した。
「たとえば、歩くときに自分が思った以上に“がに股”にしないと男の子に見えない、ということが分かりました。思っている以上にオーバーにやることで、『中身が男の子なんだな』と納得できる位置に持っていける。だから歩くときもがに股で歩いたり、座るときも足を広げたりを意識して。自分がきゃしゃなぶん、大きく見せることを意識しました」
桜田さんといえば、これまでにも「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」「ラーメン大好き小泉さん 二代目!」や「東京喰種トーキョーグール」などマンガ原作の実写作品に出演。演じる際、原作は「参考書」だと語る。
「原作がある作品では、アニメやマンガは一種の“参考書”だと思っています。私もアニメやマンガが好きなぶん、すごくファンの方々の気持ちが分かるんです。『ここ再現してくれないと悔しい』とか見ていて思うことはたくさんあります。『これ実写化するんだ……』という気持ちにもなりますし。だから、自分がいちファンとして見て、違和感がないかどうか。そして『この人がやってもしっくりくるな』と納得できる位置に持っていけるかどうかが一番重要だと思っています。ただ、どうして実写化するのかというと、また違った楽しみがあるので、実写化によって新たな一面が見えるように微調整をすることが多いです」
その上で、「作品によって再現度は変わるけど、今回は実写化ならではのものを出せればと思ったので、原作が本当に参考書みたいな感じでした」と振り返った。
恋愛ドラマへの出演経験は豊富ではなく、撮影中は難しさも感じたが、同世代との共演を通して新たな一面を発見することができ、「人生の中で記憶に残る作品」になったという。
「今までは大人の方々とお仕事をさせていただく機会が多く、頼る側だったのですが、初めて今回頼ってもらえる側になって。あまり今までになかった状況に置かれて、どういう立ち位置でいればいいんだろう、とすごく悩んで……。ただ、やっぱり自分が引っ張っていかないと成立しない場面もあったりして、自分って意外としっかりしてるんだなとか、仕事に対してこういう考え方してるんだなっていう、新たな一面に出会いました」
現場では、同世代の共演者と共に成長できた、と桜田さん。
「この作品で私自身も成長できたし、何より藤原君と窪塚君と舞良ちゃん(鳥居鈴役の新井舞良さん)の顔つきが、最初に出会ったころとまったく違うんですよ。みんなが成長していく姿を見て、追いついていこう、と私もみんなを見ながら吸収できましたし、刺激し合っていました。結構特殊な環境だったというか……それは自分にとって初めての経験でした」
今作は、中身が別人に入れ替わる話だが、桜田さんは「ほかの人間になりたい願望」はあるのだろうか?
「生まれ変わったら自分にはなりたくないなって思います。自分にもう一度生まれ変わりたいか、と言われたら、あんまり生まれ変わりたくないなって思いますね。1回生きているんで、もういいかな、と(笑い)。どうせなら違う人に生まれ変わってみたいです」
昨年の12月で19歳に。映画にドラマにと大活躍だった10代、さまざまな出会いと経験を積み重ね、心境にも変化があったという。
「いろいろな方と出会って、いろいろな意見を聞いて……。もともと、人っていうものにあまり興味がなかったんですよ。ただ18歳の1年でいろいろな方に触れることで、いろいろな考えを持って。『人間ってすごくいいな』と思った部分もあり、人に興味が湧きました。今までは、本当に興味なかったんですよ(笑い)。でもそれなのに、ちょっとした言葉で傷ついたり、ちょっとしたことでへこんだりしていたんです。興味がなかったからこそ、膜を張っていて。その膜に触れてくるものすべてが攻撃だと思っていたんですが、膜を破ることで、『こういうものだよな』と受け入れられるようになりました。ちょっと自分の心が広くなったような感じがします」
撮影では、同世代の成長していく様を目の当たりにして、「若いってすごいなと思いました」と驚いた。自身も10代最後の1年は、さまざまなことを吸収したい、という。
「高校生、制服、という縛りから解放されて、大人の世界に入る段階。そこで、いろいろなものをどう吸収するかによって、今後どういう人間になっていくのか、根っこの部分が決まってしまう。“ラストティーン”ということで、この1年はいろいろなものに触れて、もっともっといろいろなことを吸収しようと思っています。いいことも悪いこともあると思うんですけど、そこでどう対処できるかによって、20歳になって自分がどう変わるか、それがどう定着するかが決まる部分があると思うので。『私はラストティーンなんだ、吸収できる年なんだ』ということに、改めて気づかされました」
10代最後の1年で、何をつかもうとしているのか。
「できる限り自分の根元の人格を作っていきたい、と思っています。“揺るがないもの”を19歳の1年で見つけていきたい。それがあるのとないのとでは多分、全然違うと思うんです。揺るがないものを一つ持っているだけで見える世界が変わってくると思うので、20代はそれを楽しみにしています」と桜田さんはほほ笑みながら語ってくれた。
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