カムカムエヴリバディ:「I hate you」から「I love you」へ 「ひなた編」で100年のファミリーストーリーが大団円

NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」のメインビジュアル (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」のメインビジュアル (C)NHK

 女優の上白石萌音さん、深津絵里さん、川栄李奈さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「カムカムエヴリバディ」(総合)の総集編が、5月4日午後2時から総合で放送される。SNS上には視聴者からの感想であふれ、近年まれに見るほどの盛り上がりとなった本作では、名言、名シーンが次々と誕生した。総集編の放送を前に、そんな珠玉の名言の数々を「安子編」「るい編」「ひなた編」で振り返る。今回は「ひなた編」を取り上げる。

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 ◇ひなたの言葉、るいの心の傷癒やす

 「カムカムエヴリバディ」は、朝ドラ史上初の3人のヒロインが織りなす100年のファミリーストーリーで、昭和、平成、令和の時代に、ラジオ英語講座と共に歩んだ祖母、母、娘の3世代親子を描く。上白石さんは祖母の安子役、深津さんは母のるい役、川栄さんは娘のひなた役として、バトンをつないだ。

 るいの娘・ひなた(新津ちせさん)は、時代劇が大好きな少女に成長していた。ある時、ガキ大将の吉之丞(石坂大志さん)と一升瓶を取り合いになり、転倒してけがをしてしまう。るいは、幼少期に母がこぐ自転車に引かれたリアカーに乗っていた際、オート三輪と接触。その事故で、額に一生ものの傷が残ってしまったことを思い出す。ひなたは足に切り傷ができた程度で済み、るいは「よかった、顔切っていたらどないしようと思っていた」と、ひなたを抱きしめて、安堵(あんど)の表情を浮かべていた。

 夜、ひなたが「今日は心配かけてごめんなさい」と謝りに来て、るいの傷を触り「お母ちゃんのこれ、旗本退屈男みたいでかっこええなあ」と声を掛けると、るいは笑顔で応える。額の傷にコンプレックスを抱いていたるいだが、この言葉で心の傷が癒やされ、徐々に傷を隠すことがなくなっていった。

 ◇るい、稔と初対面

 その後、成長したひなた(川栄さん)は条映太秦映画村に就職。英語を学び、窮地にあった時代劇を盛り上げるために奮闘する。そんなひなたが、自身のルーツに触れることになったのは、失踪していた大叔父・算太(濱田岳さん)が、映画村に現れたことがきっかけだった。サンタと名を偽っていた算太は、振付師として活躍していて、映画村のCM撮影が行われることになり、映画村にやってきたのだ。自身の大叔父であるとも知らず、ひなたは算太と交流を深めていたが、ある日、実家の回転焼き屋「大月」へ案内することに。るいが回転焼き屋を営んでいることを知り、算太は再び逃げ出してしまう。

 それから数年後、クリスマスイブに算太が再び現れる。算太は病気を患っており、るいやひなたたちに見取られ、天国へ旅立った。算太の死をきっかけに、るいはひなたたちを連れて、十数年ぶりに岡山へ里帰りする。そこでるいは父親・稔(松村北斗さん)の幻影と会う。

 稔は初めて会った娘に「どこの国とも自由に行き来できる、どこの国の音楽でも自由に聴ける、自由に演奏できる……」と、「るい」の名前の由来となった言葉を語り、「るい、お前はそんな世界を生きとるよ」と優しくほほ笑む。終戦の日のサイレンが響くと、稔の幻影は消えてしまうが、この出来事で、るいは母親・安子を捜すことを決意する。

 ◇安子&るい、劇的な再会へ

 京都へ戻った後、映画村ではハリウッドが製作する時代劇映画の話題で持ちきりとなる。視察のため来日したハリウッドの映画製作チームの一員に、日系人キャスティングディレクターのアニー・ヒラカワ(森山良子さん)の姿があった。

 ある時、「大月」の回転焼きを食べたアニーは、差し入れをしたひなたに、「どうしてあんなにおいしいのかしら」と尋ねる。ひなたは「それはおまじないをかけているからです」と明かし、るいから教わった「小豆の声を聞け、耳を澄ませ、目を離すな。何をしてほしいか、小豆が教えてくれる。食べる人の幸せそうな顔を思い浮かべえ。おいしゅうなれ、おいしゅうなれ、おいしゅうなれ」と、“あんこのおまじない”を英語で説明。それを聞いた途端、アニーは「ありがとう。でも、ごめんなさい。行かなくちゃ」と、靴も履かずに逃げるようにその場を立ち去ってしまう。

 後日、アニーは映画の宣伝のため、磯村吟(浜村淳さん)がパーソナリティーを務めるラジオ番組に生出演。「初めて見た映画を覚えてらっしゃいますか?」と聞かれたアニーは、日本での思い出がよみがえり、ついに自身が安子であることを告白する。

 岡山で行われたクリスマスライブで、安子とるいが半世紀の年月を経てついに再会。2人は熱い抱擁を交わし、るいは安子に「I love you」と万感の思いを告げ、歯車が狂い続けていた母娘関係が、ようやく雪解けを迎える。幼少期のるいが、安子を拒絶した際に放った言葉は「I hate you(大嫌い)」。「I love you」は「I hate you」の半世紀越しのアンサーであり、2人の和解を象徴する言葉となった。

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