新・信長公記:ドラマならではのアプローチは「当然」 原作者・甲斐谷忍が語る実写化への思い

マンガ「新・信長公記~ノブナガくんと私~」作者の甲斐谷忍さん
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マンガ「新・信長公記~ノブナガくんと私~」作者の甲斐谷忍さん

 「LIAR GAME」などの甲斐谷忍さんによるマンガ「新・信長公記~ノブナガくんと私~」(講談社)を実写化した連続ドラマ「新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~」(日本テレビ系、日曜午後10時半)。戦国武将のクローン高校生たちが学園のトップを目指して戦う物語で、原作を基にしつつも、ドラマとして“新しい軸”を加えて描き出していく。“生みの親”の甲斐谷さんは、そんな今回の実写化について「ドラマだからできることをふんだんにやってほしい」と期待を寄せる。作品が生まれたきっかけや、映像化への思いを聞いた。

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 ◇戦国武将たちが同時代に集結 原作が生まれたきっかけは…

 本作は、明治以降の歴史の授業が廃止され、織田信長の存在すらも知られなくなった2122年が舞台。銀杏高校1年の特進クラスに入学してきたのは、戦国武将と同じ名前の生徒ばかり。彼らは15歳になった戦国武将のクローンたちだった……という斬新な設定だ。

 原作が生まれたきっかけは、甲斐谷さん自身が抱いていた「戦国武将たちがもし同じ時代に生まれていたら、どんな結果になっていただろう」という興味だった。「100年近くある戦国時代の中で、歴史上では最終的に徳川家康が覇者となりますが、僕は単に遅く生まれたからでは?とも思ったりしていて(笑い)。どこかで彼らがフェアに戦える場所があったらと考えていました」と明かす。

 そこから、担当編集者との「不良が自分たちの力だけで戦うようにしたら……」といった雑談を通して企画が進行。社会的な権力関係を持たない存在であれば“平等に”戦えると、15歳の高校生として描くことになった。

 ◇原作で描きたかったものとこだわり 映像化ならではのアプローチも「当然」

 さらに、甲斐谷さんは「僕は戦国武将を描きたかったのですが、古くさい不良も描きたかったんですよ」と話す。「だから制服は学ランにして、短ランだったり、長ランだったり、首元のホックまで止めていたりと、それぞれのキャラクターの個性が分かるようにこだわりました。その中で唯一学ランを着ていない徳川家康にも意味があって。そういった小さなところで個性を出したかったのが僕のアプローチです」

 一方、ドラマの制服は学ランをベースに、戦国武将たちにまつわるモチーフを取り入れた奇抜なデザインだ。例えば、織田信長(永瀬廉さん)の制服は短パンで、「うつけ(バカ)」と呼ばれていた逸話を基に左右の丈は違う長さ。また、西洋文化を取り入れた人物であることから、腰には洋風のベルトが巻かれている。

 キャラクターの個性が伝わるという部分は共通しながらも、原作とは大きく異なった見せ方。こうした違いに、甲斐谷さんは「ドラマは映像じゃないですか。マンガは白黒だけど、映像はカラーで動く。こういうアプローチになるのは当然だと思います」と語った。

 ◇「原作通りにいくほうが面白くない」 “新しい軸”で描くドラマへの期待

 ドラマでは衣装のほかに、物語にも新たな軸を加え、「戦国武将のクローンたちが自分たちの宿命を打ち破れるのか」というテーマも描いていく。甲斐谷さんは「原作では『クローンに生まれたから』というのは意識していませんでした。それよりも、僕らが歴史で学んだ人物像とは実は違っていたかもしれない、というのを描きたかったんです」と明かす。

 「最近の出来事ですら、後から聞くと実は違ったということもあるじゃないですか。僕自身も、戦国武将ってやっぱり特別な人だと最初は思っていたんですよ。でも、歴史を勉強している中で、思ったよりも普通の人だったのかもしれないと感じるようになりました」

 オリジナルの展開も描かれるドラマの今後については、「シンプルに楽しみしかないです」と語る甲斐谷さん。「僕は原作者なので、原作通りにいくほうが面白くないというか。『ああ、知ってる知ってる』って(笑い)。むしろ、ドラマの新しい軸があるからこそ、一視聴者として単純に楽しみです」と期待を寄せる。

 「僕はマンガを描くときに、マンガだから発揮できるエピソードを考えるんですよ。やっぱり映像に比べると、基本的に白黒だし、動かないし、音もない。かなり制約された媒体じゃないですか。だからこそドラマになるときは、ドラマだからできることをふんだんにやってほしいと思っているんです」

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