井之脇海:「ちむどんどん」矢作 ヒロイン暢子にきつい理由は「憧れの裏返し」?

NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」に出演中の井之脇海さん(中央) (C)NHK
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NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」に出演中の井之脇海さん(中央) (C)NHK

 黒島結菜さん主演の連続テレビ小説(朝ドラ)「ちむどんどん」(NHK総合、月~土曜午前8時ほか)に出演中の井之脇海さん。ヒロイン・暢子(黒島さん)の先輩料理人・矢作を演じている。矢作は料理人としての腕があるが、暢子をはじめ周囲への歯に衣(きぬ)着せぬ発言でもめ事を起こしがちな癖の強いキャラクター。井之脇さんも最初に「思考回路がねじれている人」と思ったと笑う。井之脇さんに矢作への思いや、役作りについて聞いた。

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 ◇最初は「思考回路がねじれている人」 どんどん好きに

 井之脇さん演じる矢作は、かつてイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」で暢子の先輩料理人として働いていたがある日、突然退職し、姿を消してしまった。その後、自身が経営する店がうまくいかず借金を抱えて、フォンターナを危機に陥れる大騒動を起こした。その後、困窮しているところを暢子にスカウトされ、暢子の沖縄料理店「ちむどんどん」で働き始める。

 物語の途中でパタリと消え、悪人顔になって再登場したりと、SNSをざわつかせてきた矢作。井之脇さんは視聴者からの反響について、「矢作に注目していただいていることを感じています。僕は結構影響されてしまうのであまりエゴサーチなどはしないようにしていますが、母が矢作へのいい反響の声だけは送ってくれて(笑い)。矢作がフォンターナを辞めた後に『矢作ロス』と言ってくださった方もいたみたいで、とてもうれしかったです。なんだこいつって思う方も多いと思いますが、ただの嫌なヤツではない、という部分も届いてくださっているのかな」と話す。

 最初に、台本を読んだ時は「思考回路がねじれている人」と思ったと笑う。「本当は素直に言いたいことでも、相手にとって嫌な言い方をしてしまう。彼の面白いところではあるんですけど(笑い)。でも、一番好きな料理に関しては素直に言葉が出てくる。いつもきつく当たっている暢子に対しても、暢子の料理には『うめぇ』と反応したり。そういう人に対する気難しさと、料理に対する素直さ、純粋さをうまく表現できたらいいなと演じてきましたし、僕自身、矢作のそういう一面を知っていくうちに、彼のことがどんどん好きになってきました」と話す。

 “気難しさ”の表現については、「なぜ矢作はとげとげしいのか、彼なりの理由があるはずなので、それをしっかりと自分に落とし込んで演じています」という。「最初は矢作をとことん意地悪に演じようかとも考えていたのですが、後半の重要人物でもあると分かったので、ただの嫌なヤツに見えないようには気をつけました」と明かした。

 ◇暢子にきつく当たるワケは? 今後は「とてもいいバディーに」

 暢子に救われ、暢子の沖縄料理店「ちむどんどん」で料理人として再スタートを切った矢作。その腕で、暢子と「ちむどんどん」を支えている。しかし、フォンターナの頃からの暢子への“きつい当たり”は健在。なぜ彼をそうさせるのか? 井之脇さんは「暢子に対する嫉妬心や、あの時代ならではの厨房(ちゅうぼう)で女性が働くことへの偏見などもあって、ああいう態度になってしまうのでは」と考察する。

 暢子への「嫉妬心」は「憧れ」の裏返し、とも続ける。「矢作はずっと努力して好きな料理を一生懸命突き詰めてきたのですが、イタリア料理の経験のない暢子が、いきなりセンスと感覚だけでおいしい料理を作ってしまう様子を目の当たりにしてしまう。矢作は緻密に料理を勉強してきたからこそ、余計にその良さが分かってしまったんです。自分にはない、暢子の天性の料理の才能に憧れを感じていたんじゃないかなと思います」と語る。

 本当は暢子のことを認めているのに、素直に認められないと笑う井之脇さん。「暢子から店に誘われたときも内心本当にうれしかったと思います」と振り返る。今後、物語の終盤に向けて、協力して「ちむどんどん」を運営していく2人。井之脇さんは「矢作もだんだん心に余裕ができてきて、暢子のことを素直に認めていきます。暢子の才能から学んで、矢作自身も培ってきた自身の経験則を暢子に教える。とてもいいバディーになっていきます」とアピールする。

 “バディー”役の黒島さんについては、「朝ドラのヒロインという、膨大な出演量とせりふ量をこなしていてとても大変だと思うのですが、本番では集中を切らさないところがすごいな、と思います。本当は、周りの僕たちが黒島さんに何か良い影響を与えることができたらと思うのですが、逆に黒島さんからパワーをもらうことが多いです。ステキな女優さんだなと思います」と話していた。


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