堀田真由:喜怒哀楽の激しさも「抜きんでた表現力」で 「大奥」家光役がハマったワケ 

「ドラマ10『大奥』」で徳川家光を演じる堀田真由さん (C)NHK
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「ドラマ10『大奥』」で徳川家光を演じる堀田真由さん (C)NHK

 よしながふみさんの人気マンガを実写化したNHKの時代劇「大奥」(総合、火曜午後10時)に、徳川家光役で出演している堀田真由さん。昨年、話題となった小栗旬さん主演の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、主人公・北条義時の2人目の妻・比奈を好演したことも記憶に新しい。10代後半から数々のドラマ、映画に起用され、着実にステップアップしてきた堀田さんだが、今回の家光のような喜怒哀楽の激しい役がなぜハマったのか。その理由を探ってみた。

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 ◇バレエで培われた凛としたたたずまい、気持ちの強さも魅力

 堀田さんは1998年4月2日生まれ、滋賀県出身の24歳。特技は、6歳から10年間続けたバレエで、役者として必要な想像力や表現力、劇中で時折見せる凛(りん)としたたたずまいは、バレエによって培われたものであることはまず間違いないだろう。

 その素顔は、実は「負けず嫌い」。2015年公開の映画「ソロモンの偽証」(成島出監督)の出演者オーディションの最終選考で落選したことが、女優として上を目指す大きなきっかけとなった。

 堀田さんは「(自分が)この場に来るのが『間違った』と思うぐらい、同年代の方たちのお芝居、人柄が素晴らしかったです。落選してしまって、もっと、このお仕事を頑張りたい!って強く思いました」と当時を振り返っていて、気持ちの強さも大きな魅力なのではないだろうか。

 そんな堀田さんが、最初に大きな注目を集めたのが2017年度後期の連続テレビ小説(朝ドラ)「わろてんか」だ。同作で葵わかなさん扮(ふん)するヒロインの妹役に抜てきされると、2018年の「チア☆ダン」(TBS系)や2019年の「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(日本テレビ系)といった話題の学園ドラマに出演。10代女子特有の気持ちの揺れや複雑な心情を丁寧に演じてみせた。

 さらに、2作目の朝ドラとなった2020年度前期の「エール」では、窪田正孝さん演じる主人公をふってしまう“踊り子の志津”として、その悪女ぶりと共に視聴者に強い印象を残した。

 ◇以前から“心の機微”をすくい上げるのが巧みだった

 そして堀田さんは、2021年3月放送の「第32回フジテレビヤングシナリオ大賞『サロガシー』」でドラマ初主演を果たす。“若手脚本家の登竜門”と言われる「フジテレビヤングシナリオ大賞」大賞作を映像化した同作は、LGBTQやサロガシー(代理母出産)が題材で、堀田さんはゲイの兄のために代理母として出産することを決意する主人公・江島環を熱演。役を通じて「出産」と「母になること」の二つを初めて経験する。

 一方、キャリアを重ねてきて、「これまでは、役を演じるってことが『楽しい』とか、すごく前向きなものが多かったように思うのですが、最近は作品を積み重ねてきて、いろいろな方が知ってくださっている上で、その期待に応えたいという意味での『不安』というものは少し出てきたのかなって感じています」と告白。その上で「テーマや役は作品によって全然異なるのですが、どこかに前作を超えていかなければならない、という気持ちはあって。そこは常にもがきながらやっていくしかないのかなって思っています」と改めて芝居への思いを語っていた。

 昨年3月に公開された劇場版アニメ「ブルーサーマル」(橘正紀監督)では、“空”に恋して次第にグライダーで飛ぶことに夢中になる主人公・都留たまき役で声優に初挑戦。アフレコでは、音響監督の「もうちょっと笑顔で」「間を取ってみてください」「うっとりしている感じをもう少し」など細かなオーダーに対して、即座にさまざまな表情を見せるなど瞬発力、対応力の高さも見せたという。また、同年6月からの登場となった初の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも、比奈の芯の強さや情の深さを体現。高い評価を得た。

 今から4年前の「3年A組」出演時点で、すでに役の“心の機微”をすくい上げるのが巧みだった堀田さん。ドラマ主演や大河ドラマなどを経て、そこにさらに“力強さ”が加わったからこそ、「大奥」の家光のような、喜怒哀楽が激しく、感情の振り幅の大きい役も、時に大胆に繊細に演じきることができたのではないだろうか。堀田さんは今後も、持ち前の「抜きんでた表現力」で、新たなハマり役を増やしていくに違いない。

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