舞いあがれ!:「パンチの強いキャラ」我妻社長を登場させたワケ 制作統括が語る東大阪の女性社長の描き方

NHKの連続テレビ小説「舞いあがれ!」で久保田磨希さんが演じる我妻花江 (C)NHK
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NHKの連続テレビ小説「舞いあがれ!」で久保田磨希さんが演じる我妻花江 (C)NHK

 福原遥さん主演のNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「舞いあがれ!」(総合、月~土曜午前8時ほか)。第23週(3月6~10日放送)では、舞(福原さん)が起業した「こんねくと」で、東大阪の町工場の技術を生かした製品開発の様子が描かれた。試作を手伝った町工場の我妻花江社長(久保田磨希さん)は、ヒョウ柄のシャツを着た「パンチの強いキャラクター」だ。我妻社長を登場させた理由などを、同作の制作統括・熊野律時(くまの・のりとき)さんに聞いた。

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 ◇東大阪で生まれ育った「たたき上げでタフなキャラクター」

 久保田さん演じる我妻は、東大阪で板金加工を専門とする工場の女性社長。エネルギッシュでなんでもはっきり言う性格で、ものづくりへの情熱にあふれている人物だ。

 ここで我妻社長を登場させた理由を、熊野さんは「舞はこれまでもいろんな町工場の社長さんとか職人さんと関わってきましたけど、(身内のめぐみ以外で)女性の社長さんは登場していなかったなというのがあって、大事なキャラクターとして出したいと思った」と説明する。

 熊野さんは「(事前取材で)女性の社長さんにも何人もお会いしていて、非常にエネルギッシュな方が多くて。圧倒的に男性の方が多い世界ではあるので、その中で会社をやってきた女性は、やはりエネルギーがすごい」と感じた。

 そこで、「めぐみさんとは違うタイプの、東大阪に生まれ育ち、ものづくりの現場にがっちり関わってきた、たたき上げでタフなキャラクターを、新たな舞の味方として出していきたいという思いもあって、ああいうキャラクター造形になりました」と語る。

 ◇我妻の設定「極端なデフォルメはしていない」

 我妻社長は、工場の作業服の下にヒョウ柄や花柄のシャツを合わせた服装、「あかん!」といったはっきりとした物言い、アイスコーヒーを飲み干したり、肩をバーンとたたいてツッコミを入れるなど、典型的な“大阪のおばちゃん”に見える。

 3月7日に放送された第108回で、ヒョウ柄の服を着て登場すると、SNSでは「ヒョウ柄の衣装の効果も相まって、圧の強い我妻さん」「我妻さんのヒョウ柄衣装、パンチあるなあ」「我妻さんのヒョウ柄にすべてを持っていかれた」と盛り上がった。

 熊野さんは「僕も大阪育ちですけれど、実感として、そんなに極端なデフォルメはしていない。ああいうタイプの方は、普通にいますよ。取材でお会いした何人かの女性社長をミックスしてキャラクター化しています」と明かす。

 ◇舞と一緒に「新しいことをやりたいという雰囲気」

 演じる久保田さんは1973年2月27日生まれ、京都府出身。大阪芸術大学を卒業し、関西を中心にして活動していたが、2003年に出演したフジテレビ系ドラマ「大奥」でのせりふ「美味でございます」が話題となり、全国区の人気となった。

 熊野さんは、久保田さんの起用理由を「朝ドラ『てっぱん』(2010年後期)でご一緒したことがあって、関西のご出身ですし、迫力のあるパワフルな社長をやっていただくのはぴったりだなと思ってご出演いただきました」と語る。

 久保田さん本人も「すごく面白がって、楽しんでやっていただけました」という。

 「こんねくと」では、我妻社長や御園(山口紗弥加さん)という強烈な女性キャラに囲まれる形となった舞だが……。

 「福原さんが、すごく柔らかくて明るい雰囲気なので、2人とも舞と一緒に新しいことをやりたいという雰囲気があっという間に出来上がっていきました。一緒に進んでいく仲間として、現場に自然とすんなり溶け込んでいるという感じでした」と良い雰囲気の現場だったことを明かした。

 ちなみに、劇中に登場するパンチングメタルの技術を使ったランプや金属アレルギーの人でもつけられるアクセサリーは、「実際に東大阪の町工場の人たちに相談して、いくつかの工場にご協力いただき」ドラマオリジナルのものとして制作したという。技術を持った東大阪の町工場の人らと手を取り合い、さらに舞が飛躍していく姿を、最後まで見届けたい

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