ムロツヨシ&宮沢氷魚:「ドラフトキング」スカウト役への共感とリンクした感覚 「気が合いすぎる」初共演の印象も語る

WOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW-30『ドラフトキング』」で郷原眼力役を演じるムロツヨシさん(右)と神木良輔役を演じる宮沢氷魚さん
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WOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW-30『ドラフトキング』」で郷原眼力役を演じるムロツヨシさん(右)と神木良輔役を演じる宮沢氷魚さん

 俳優のムロツヨシさんが主演するWOWOWの連続ドラマW-30「ドラフトキング」が4月8日から放送・配信される。本作はスカウトたちを軸に、プロ野球選手獲得の裏側を描く人間ドラマだ。主人公のすご腕スカウト・郷原眼力(ごうはら・オーラ)を演じるムロさんと、自身も元球児で、郷原の後輩で新米スカウト・神木良輔を演じる宮沢氷魚さんに、初共演の印象や役作りなどを聞いた。

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 ◇マンガ原作の作品は「とてつもないプレッシャーとやりがい」

 ドラマは「べー革」「野球部に花束を」などで知られるクロマツテツロウさんの同名野球マンガ(集英社)が原作。プロ球団「横浜ベイゴールズ」のすご腕スカウト・郷原眼力が、その年のドラフト・ナンバーワン「ドラフトキング」を獲得するまでの奮闘を描く。

 郷原という毒舌でアクの強いすご腕スカウトを演じるムロさんは、「いろいろな野球マンガを見てきて、40代になって、スカウト目線という今まで描かれていないであろう野球マンガが現れ、そこに関われてうれしかったです」と喜び、「郷原はスカウトマンで、僕は役者ですけど、プロに対する考え方に相通じるものを見つけられたかな、と思ってやりがいが増えました」と明かす。

 自身も18年間球児として過ごし、一時はプロを目指してもいたという宮沢さんも、演じる元プロの神木とリンクする部分があったという。「神木はプロに入って結果が出せずに引退する。そのもどかしさ、自分が思っているレベルまでパフォーマンスが上げられないフラストレーションはすごく分かります。郷原はじめスカウト部のみなさんにポンコツと言われ、普通なら心が折れるけど、神木は噛(か)みついてどんどん大きくなっていく。たぶん本当に野球が大好きなんだな、と思います。僕も、今は野球をやっていませんが野球が大好きな思いはすごく強いので、そういうところがすごくリンクしていました」と語る。

 マンガ原作の作品で演じることには「とてつもないプレッシャーとやりがいがある」とムロさん。「(原作と)まったく同じようにやろうとすると塗り絵になってしまい、見る人には面白みがなくなる。だから、自分がやる理由ややりがいを大事にしながら、原作で描かれている姿勢や指の使い方など、あえて同じことをして、そこに自分が演じるものをプラスアルファする。それが一番気をつけたことでした」と振り返る。

 ほかに大事にしていたことは“距離感”だ。ムロさんは「氷魚君ともそうでしたが、2人きりで話すシーンの距離感、観客席で少人数で話す時の距離感は、みんなで話し合いました。スタンドで(芝居を)やる時の距離感ってすごく意味を持つと思うので、そこは話し合いました」と説明する。

 宮沢さん演じる神木は、ムロさん演じる郷原に厳しい言葉をかけられながら一人前になっていく。宮沢さんは「郷原がメインの物語ではあるけど、神木の成長物語でもある」と捉え、その成長をどう表現するかを気をつけていたという。「あれだけ言われたら普通は『やーめた』となるけど『ちくしょう、じゃあどうしたらいいんだ』と信念を貫くところはすごくかっこいいなと思うし、芯はしっかり持っている。それを最初から大事にしようと思っていました。郷原に何を言われようが、イラっとしたり悲しくなったりしますけど『すぐ次に行ける』ところは意識しました」と明かす。

 ◇郷原と神木の関係にリンク

 ドラマで息の合った掛け合いをみせるムロさんと宮沢さんは、今回が初共演。ムロさんは、宮沢さんについて「頼むから好青年じゃなくいてくれ、と思っていました。これで好青年だったら参っちゃうから(笑い)。でも好青年だったし、酒を飲むペースがまったく一緒で、気が合いすぎるという」と冗談めかして語りつつ、「僕らの世界ではまだ残っている体育会系の部分も、野球(経験)を通じての礼儀正しさも見えました」と印象を明かす。

 宮沢さんは、もともと周囲の役者仲間たちからムロさんとの共演の感想を聞いており、不安なく撮影に臨めた、という。「僕と歳の近い役者でムロさんと共演したことがある方はみんな、口をそろえて『ムロさんはいい人で楽しい』『一緒にお仕事をしていても楽しいし、プライベートで食事に行った時も楽しい』って言うんです。じゃあ絶対楽しいじゃん、と思って、何の不安もなく初日を迎えました。ムロさんは現場でも、飲みに行った時も本当に優しくて、誰に対してもフラットでリスペクトがあるんです。全員に対してイーブンで、その姿勢がすばらしいなと思いました」と魅力を語る。

 そう話す宮沢さんは、ムロさんと共演する中で、役柄とリンクする感覚があったという。「最初は神木も、郷原がどういう意図で動いているのかは一切分からない。でも、郷原とどんどん距離が縮まって、神木は神木で成長していく。僕とムロさんがその場で役者同士として距離が近づいていく感じと、神木と郷原が近づいていく感じは、すごくリンクするものがありました」としみじみと語る。

 ◇常にベストな作品を残していく

 郷原を演じる中で、「“プロ”に対する考え方に、相通じるものを見つけられたかなと思った」と語るムロさん。本作でも、郷原の“プロ意識”が色濃く描かれる。ムロさん自身も役者として「自分の芸やパフォーマンス、お芝居に価値はあるのかって、嫌というほど悩まされましたし、思い知らされる毎日でした」とかつて苦悩したことを明かす。そのうえで、「『(人を)くすりとも笑わせられない人間が、お金をもらっていいのだろうか』ということを考えてから、『じゃあ、お金をもらってもいい自分になるためには……?』という考え方を構築していったんです」と振り返る。

 「結局、僕たちは評価や結果がすべて」と宮沢さん。「どんなにチャンスが与えられようが、何らかの結果を残していかないとキャリアは終わってしまうので。僕たちは、いい作品を作って次につなげていく。野球選手の場合も、その年に活躍して結果を残したら『じゃあ翌年も契約しよう』となるので、すごく近いものを感じます。僕たちも『この作品は、まあ別にいいか』ということは一切許されない。常にベストなものを残していかないとという思いは、プロである以上は必要だと思っています」と自身が考えるプロ意識について力強く語ってくれた。

 ドラマはWOWOWプライム・WOWOW 4K・WOWOWオンデマンドで4月8日スタート。毎週土曜午後10時から放送・配信される。全10話。

 ※ヘアメーク/スタイリスト

 ムロツヨシ=ヘアメーク:池田真希/スタイリング:森川雅代 宮沢氷魚=ヘアメーク:吉田太郎(W)/スタイリング:庄将司

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