らんまん:“子役バトンリレー”のワケ 万太郎と学問の出会いを「スルーするわけにはいかない」

NHK連続テレビ小説「らんまん」で2代目の槙野万太郎を演じた小林優仁さん(C)NHK
1 / 1
NHK連続テレビ小説「らんまん」で2代目の槙野万太郎を演じた小林優仁さん(C)NHK

 神木隆之介さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「らんまん」(総合、月~土曜午前8時ほか)。4月14日放送の第10回では、最後に神木さん演じる18歳に成長した槙野万太郎が登場した。第1週(4月3~7日)では森優理斗君、第2週(4月10~14日)では小林優仁さんと、主人公の「子役バトンリレー」により、二つの子供時代が描かれた今作。その意図と、優理斗君、小林さんを抜てきした理由を、制作統括の松川博敬さんに聞いた。

ウナギノボリ

 ◇第2週は「少し悩んだ」 神木隆之介に早くバトンをという意見も

 第1週では、5歳の万太郎が、母のヒサ(広末涼子さん)との悲しい別れを経験したが、主人公のこれからを描くのに欠かせないものだった。

 松川さんは「(万太郎の)モデルの牧野富太郎さんも5歳の時に母親を亡くされています。これまで牧野博士の伝記や小説は多数出版されてきましたが、母親とのエピソードを深く描いたものはありませんでした。しかし幼い子供にとって母親との死別は、その後の人生に大きな影響を及ぼす出来事だと思い、『らんまん』第1週では植物に興味を抱くエピソードと共に描きました」と話す。

 一方で、9~12歳の万太郎が、学問所「名教館」の学頭・池田蘭光(寺脇康文さん)と出会い、“学ぶ楽しさ”を知るが描かれた第2週については、「少し悩みました」と打ち明ける。松川さんによると「物語序盤のプロット開発の時点で、主演を神木さんにお願いすることは決まっていた」といい、実際「早く本役(神木さん)にバトンを渡した方がいい」という意見もあった

 それでも「万太郎の研究人生において、少年時代に経験した『学問との出会い』は最も大きな出来事であり、そこをスルーするわけにはいかない」と思い至ったことで、今回のような“子役リレー”が実現したという。

 ◇昨夏に子役オーディション 求められた“高い演技力”

 万太郎、姉の綾、お目付役の竹雄と、2世代計6人の子役を選ぶオーディションは昨夏に行われた。

 第1世代の万太郎は「天真らんまん」「幼くて弱々しい」という二つの条件から候補者を絞りつつ、子役には「かなり高い芝居のレベル」が要求された。

 最終オーディションでは、第5回(4月7日放送)で登場した「病床の母に花を渡すシーン」を候補者に演じてもらった。そのときの優理斗君について、松川さんは「芝居が抜群に素晴らしく、満場一致で決まりました」と振り返る。

 第2世代の万太郎については「天真らんまん」に加え、「“天才の片りん”を感じさせてほしいと思っていました。小林君を選んだ大きな理由も、彼の持つ『天真らんまん』な魅力、『天才の片りん』を感じさせるスター性だと思います。少年万太郎が『学問』という大好きな道をいちずに爆走するさまを描くにあたり、最もふさわしい俳優だと思いました」と納得の人選となった。

 ◇共に大河出演経験あり “2人の万太郎”をどう見た

 そんな2人の演技を見て、「第1週については収録現場や試写、オンエア含めて何十回と見てきたと思いますが、森(優理斗)君のお芝居にはいつも必ず泣かされています。特に素晴らしいのは4月7日放送の第5回ラストシーンの神社で、母の幻を見るところ。その幻が消えたあとの森君の表情が絶品です」と舌を巻く。

 小林さんに対しても「見ていてすがすがしい、さわやかな気持ちになります。第2週のテーマは『学問的目覚め』ですが、覚醒した後の万太郎の突き抜けた感じや、いちずに我が道を爆走していくときの疾走感を小林君が見事に表現してくれています」と、物語の土台をしっかりと作ってくれた子役たちに最大限の敬意を払う。

 SNSでは、大河ドラマへの出演経験がある優理斗君と小林さん両名を、それぞれ「チビ金剛」「チビ栄一」と親しみを込めて視聴者は呼ぶと共に、2人の“演技力”を絶賛する声が相次いだ。

 物語は、いよいよ主演の神木さんにバトンが受け継がれる。「天真らんまん」という言葉がぴったりな神木さんが、優理斗君と小林さんが作った土台に、どう物語を積み上げていくのか、これからの放送に期待したい。

テレビ 最新記事