塩谷瞬:「100歳超えるまで走り続けたい」 ハリケンジャー、スーパー戦隊への熱き思い

「忍風戦隊ハリケンジャーでござる!シュシュッと20th anniversary」に出演する塩谷瞬さん
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「忍風戦隊ハリケンジャーでござる!シュシュッと20th anniversary」に出演する塩谷瞬さん

 2002~2003年にテレビ朝日系で放送されたスーパー戦隊シリーズ第26作「忍風戦隊ハリケンジャー」の新作「忍風戦隊ハリケンジャーでござる!シュシュッと20th anniversary」が、6月16日から期間限定で劇場公開される。椎名鷹介・鷹之介/ハリケンレッド役の塩谷瞬さんは、本作について「いかに社会や皆さんに還元できるかを伝える番だと思いました。社会に問題が起きた時こそ人間が奮い立って頑張る時で、今こそこういう作品を見てもらいたい」と力強いメッセージ。そんな塩谷さんに、ハリケンジャーが愛され続ける理由や、自身にとってのスーパー戦隊の意味、特撮出身の俳優が活躍する現状などを聞いた。

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 ◇「一緒に成長していける物語」がハリケンジャーの魅力

 「忍風戦隊ハリケンジャー」は、2002年2月17日から2003年2月9日まで放送。2013年には番組終了10周年を記念して制作された「忍風戦隊ハリケンジャー 10 YEARS AFTER」が話題を集めた。テレビシリーズから20年、「10 YEARS AFTER」から10年を経た今回の新作は、江戸時代を舞台に、ハリケンジャーたちの先祖である5人の忍者が、世界を滅ぼすといわれる「天翔石」を狙う最悪最強の敵“ウラ七本槍(やり)”と激突。そこに、未来からハリケンジャー、ゴウライジャーたちがタイムスリップしてくるというストーリー。

 長年ファンに愛され続けている「ハリケンジャー」について、塩谷さんは、「戦隊の中でも当時新しい試みをしていて、レッドは兄気分的でアツい性格でみんなを支えて引っ張る人が主流でしたが、第1巻の台本を見たらコミカルなキャラクターになっていた」と切り出し、「自分のせいで落ちこぼれ忍者になってしまったのか、なんでこんなカッコ悪くなってしまったのだろうという思いがあった」と当時の心境を明かす。

 撮影の日々が続く中、「制作の方たちが、僕のオーディションの勢いを見てキャラクターを書き直し、1年かけて成長していくプレーイングストーリーになったことに気づき、今考えるとぜいたく」と捉え方に変化が生まれ、「等身大で壁にぶつかりながら成長していく軌跡の物語が愛される要因の一つだし、戦隊ファン以外の人にも見てもらえたのは、一緒に毎回成長していける物語だったからなのでは。そこがハリケンジャーの一番の醍醐味(だいごみ)」と分析する。

 ◇椎名鷹介は何年演じても「魂は変わらない」

 今も演じ続けている椎名鷹介役だが、塩谷さんは20年前と比べて、「魂は変わっていない」と答え、「いろんなことを経験したり応援してくれる人が増えたり、関わる人たち全員が大きくなって今回参加できた。どんどん縁が大きくなっていくのを感じます」と成長を実感したという。

 第26作目のレッドとして、「当時はシュリケンジャー役で戦隊の先輩が来て、熱いことを言って時にはぶつかって帰っていくので、『何でそんなことを言われなきゃいけないんだ』と思ったこともあった」と冗談交じりに話すも、「自分たちの戦隊が築いてきた魂を渡しに来てくれたのはすごいこと」と魂のバトンタッチに感謝する。

 そんな塩谷さんも後輩たちには、「頑張れと、夢や願いは必ずかなうからと言いたい」とエールを送る。「『絶対あきらめるな。何回落ちてもやれ。夢がかなわないのは努力不足か自分があきらめているから。やればかなう』と手をつないだ少年が、(炎神戦隊)ゴーオンジャーレッドの古原靖久君。そういう気持ちがあると思った」と裏話を明かした。

 そして、「役者だけでなく、いろいろな施設や海外で子供たちに会って話してきましたが、20年経って僕らが残したものは本物だったと、大人になったその子たちから教えられている。だからこそまた頑張れる。命がけで熱を送った分、戻ってくると思うと、これから先も熱を送り続けたい」と意気込みを新たにする。

 ◇スーパー戦隊は自分の“もと”

 スーパー戦隊や仮面ライダーなど特撮出身の俳優が多くの作品に出演して活躍している現状を、塩谷さんは「うれしい」と喜び、「特撮俳優は今では誰もが憧れて、ヒーローになることで世界の人に何かを届けられるポジションになった。夢を持ちづらい時代だし、情熱もセンスも才能を持っているのにスポットライトを浴びていない人もたくさんいる。そういった人たちを照らしていきたい」と使命感を口にする。

 自身も歴史の一部となったスーパー戦隊シリーズの魅力については、「キャスト、スタッフ含め歴代すべての人が愛情とプライドを持ち、命懸けて作っている。1年続けるのは難しいけど、変化しつつも愛情やモチベーションはずっと変わらない。こんなすてきな人たちが集まる現場はなかなかない」としみじみ語る。

 俳優として、スーパー戦隊は「すべての“もと”」と表現。「戻ってこられる場所にしていただけたことが一番ありがたい。時代の変化や自分の選択でいろいろ一周してまた原点に戻れるのはうれしい。実際は15歳には戻りたくても戻れないけど、40代の頭脳で鷹介という若いキャラクターに命を吹き込むという、現実ではできないことをやらせてもらっているのには感謝ですね」と笑顔を浮かべる。

 ◇30周年「すぐにでもやりたい」

 少し気が早いが30周年はと水を向けると、塩谷さんは「僕は準備ができたらすぐにでもやりたい」と意欲。「みんなが応えてくれないと次に進めない。社会がピンチになったり僕らにしかできないことがあったりした時、僕らはヒーローとして立ち上がる。それが明日かもしれないし来年かもしれないけど、僕はいつでもやる」と拳を握る。

 さらに「10周年の時も盛り上がったからこそ、20周年(で新作)が作れた。その後、デカレンジャーなどでも(周年作品が)作られ、そのバトンがまた回ってきた」といい、「つないでくれるのはファンの人。ファンになってくれる人たちが増えればバトンが大きくなっていく。100歳超えるまでは走り続けたいので、本作を絶対に見ていただき、ハリケンジャーを末永くよろしくお願いします!」と呼びかけていた。

「忍風戦隊ハリケンジャーでござる!シュシュッと20th anniversary」は期間限定で上映。10月25日にブルーレイディスク(BD)とDVDが発売される。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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