ライオンの隠れ家
最終話 僕たちの新しい始まり
12月20日(金)放送分
松本潤さん主演のNHK大河ドラマ「どうする家康」(総合、日曜午後8時ほか)の第39回「太閤、くたばる」が、10月15日に放送され、ムロツヨシさん演じる秀吉と松本さん扮(ふん)する家康との“最後の会話”が描かれた。10分近くにも及んだ同シーンについて、チーフ演出の村橋直樹さんが裏側を語った。
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第39回では、茶々(北川景子さん)に拾(後の秀頼)が生まれた。家康の説得により、明との和睦を決めた秀吉。しかし、石田三成たちが結んだ和議がウソと分かると、朝鮮へ兵を差し向けると宣言、秀吉の暴走が再び始まった。
都が重い空気に包まれる中、家康は息子の秀忠(森崎ウィンさん)を連れて、京に隠居していた忠次(大森南朋さん)を訪ねた。忠次から最後の願いを託され悩む家康に、秀吉が倒れたとの知らせが届く。そして家康は、どうしても話がしたいという秀吉の元を訪れ……と展開した。
力なく「秀頼を頼む」という秀吉に、家康は最初「弱気になってはいけまん」と諭しつつ、「殿下にはまだまだやっていただかねばならぬことが」と進言するも、秀吉は秀頼の心配ばかり。やがて家康は、「世の安寧だと知ったことか。天下なんぞどうでもええ」と他人ごとを決め込み、全てを放り出そうとする秀吉に対して、「唐、朝鮮の怒りを買い、秀次様を死に追いやり、諸国大名の心も離れ、民も怒っている。こんなめちゃくちゃにして放り出すのか」と怒りをあらわにする。
そんな家康を前にし、秀吉は「なんもかも放り投げて、わしはくたばる。あとはおめえがどうにかせえ」と言ってから笑い声を上げると、やがてせき込み床に這いつくばる。家康は「まだ死なさんぞ、秀吉」と声を荒らげるが、これは秀吉の“猿芝居”だった。
「大嫌いじゃ」と吐き捨てる家康だが、秀吉は「わしゃあ、おめえさんが好きだったにぃ」と口にし、かつての主君・信長は、家康が後継者になるであろうと思っていたことを「悔しい」と本音を漏らす。
一方で家康は、天下を引き継いだのは秀吉であり「見事であった」と、こちらも本心を口にする。そこで秀吉は「すまんのう」となぜか謝罪の言葉をつぶやき、家康に「うまくやりなされや」と後を託す。家康もまた「二度と戦乱の世には戻さぬ。あとは任せよ」と秀吉の思いを受け止めた。
チーフ演出の村橋さんは「天下をメチャクチャにしたまま家康に放り投げる、という流れのシーンでしたが、最後に『すまんのう』とボソリとつぶやきます。いくらボケていてもこれはウソではないと分かる真剣で誠実な表情で。これは、ムロさんが一言だけ足したい、と提案してくれたものでした」と秘話を明かす。
「自由に芝居をやっているように見えて、実は台本のせりふを大切にしてくれるムロさんが、珍しく足した言葉。これが、のちのち強く効いてきます」とも語った。
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