ブギウギ:あふれる母性が起用の決め手に “村山トミ”小雪の“ラスボス感”は「予想以上」 スズ子は「さぞ怖かったんじゃないかと」

NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で小雪さん演じる村山トミ(C)NHK
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NHK連続テレビ小説「ブギウギ」で小雪さん演じる村山トミ(C)NHK

 俳優の趣里さんがヒロインを務める2023年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「ブギウギ」(月~土曜午前8時ほか)。第60回(12月22日放送)で、ヒロイン・スズ子(趣里さん)と恋人の愛助(水上恒司さん)が、愛助の母で「村山興業」社長のトミ(小雪さん)と対面する場面が描かれ、この場面での小雪さんの演技が「怖すぎる」「迫力がすごい」と視聴者から注目された。小雪さん起用の理由や撮影の裏側を、制作統括の福岡利武さんに聞いた。

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 ◇大阪ことばに苦戦 オファーを受けるか「大分悩まれていた」

 第57回(12月19日放送)で初登場したトミ。わずか18秒ほどの出演にもかかわらず、圧倒的な存在感を放ち、SNSでは「ラスボス感がある」と話題になった。

 小雪さんの起用理由について、福岡さんは「小雪さんが出演している映画を見たのですが、母性あふれるステキなお芝居をしていらっしゃって、すごく感動したんです。トミの怖さや“ラスボス感”を表現することはあまり意識していなくて、『母性がゆえにそうさせる』みたいなところを演じていただきたいなと思い、小雪さんにお声がけしました」と明かす。

 このオファーに小雪さんは、それまで大阪の言葉を話す役を演じた経験がなかったといい、役を受けるか「大分悩まれていた」という。

 「最初は不安だとおっしゃっていたのですが、ちょっと大阪の言葉を練習してみて、自分がやれるかどうか挑戦してみたいと言っていただきました。やっぱりすごく難しかったようで、感情的な表現をしようとすると、どうしても大阪の言葉が出てこないと苦労されていて。本当に悩まれた上で『やります』とお返事をいただきました」

 出演が決まってからは、「大阪の言葉、せりふの練習をたくさんして撮影に臨んだ」といい、「衣装部が仕立てのいい着物を選んで、衣装合わせや髪形を作っていったら、完璧に“ラスボス”が出来上がってしまって」と笑う。

 「お着物もとても似合いますし、昭和の日本髪もすごく似合う。そんな存在感あるいでたちで大阪ことばを話して、その大阪ことばがまた達者なんです。ご本人は相当難しいとおっしゃっていましたけど、予想以上に押し出しがいいお母ちゃんができたのでびっくりしました。村山興業東京支社長の坂口を演じる黒田有さんも、『すごく怖い』って話していました(笑い)」

 ◇多くを語らないトミ 小雪の絶妙な演技が「ちょうどいいあんばいに」

 第60回では、初めて対面するスズ子に「あんたはんのことはよう存じております。ええ歌を歌いなはる」「USKの下積みで苦労もしてはるやろうし、分別のあるお人や思います」と語りかけたトミ。続けて「愛助は村山興業の跡継ぎになる人間だす。そのことを重々ご理解ください」と伝え、「ほなら、話は終わりです。あとは2人でよう話しなはれ」と言い残し、部屋を出て行った。

 このトミの言葉を、愛助は「僕らに任せてくれはったんかな」と解釈するが、そんな愛助にスズ子は「ちゃうわ。きっぱり別れろいうことや」「ワテみたいな歌手はふさわしない思いはるのも分かりますわ」と応えた。

 多くを語らずとも、スズ子にすべてを悟らせるトミのこのせりふについて、福岡さんは「足立紳さんが書く脚本はせりふが多い印象がありましたが、トミは多くは語らず、言いたいことを一言伝えて、『ほな任せるわ』って出て行ってしまう。トミは、スズ子にはそれで伝わると思ったのでしょうね。足立さんもトミに関しては非常に苦労をされたと思いますが、とても素晴らしいシーンになりました」と足立さんの脚本をたたえた。

 「小雪さんのお芝居も絶妙で、愛助は『あれ? いいのかな』って思ってしまうけれど、スズ子はとても身が引き締まって怖い思いをしているという。トミのせりふから、スズ子のことを歌手としても、人としても認めていることも分かります。ちょうどいい塩梅(あんばい)のシーンになって良かったですし、スズ子もさぞ怖かったんじゃないかと思います」と振り返った。

 トミの存在が、スズ子と愛助の関係にどのような影響を及ぼしていくのか。燃え上がる2人の恋模様と共に、トミの今後の活躍にも注目していきたい。

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